激しくしても良いのに

面蛸とおる

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相思相愛の主人と奴隷

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そう強く言い放って、性別を越える美しさと愛らしさをもつ雪白を、悔しい顔をしながら睨んで。
俺は彼らだけをここに置いて、自分だけ逃げ出す卑怯者のように。

何も言わずに、走ってここから逃げ出せば。

「待ってください!! きっと…」という雪白の声と、

「雪白、放っておけ。 あれはお前にただ…」と諭すテスカトルの声が後ろから聞こえてきたので。

俺はその言葉に振り返ることもなく、怪しくてどこか物騒な路地裏へ全速力で入って行った。

(嗚呼、俺ってなんでこんな風になっちゃうんだよ)

(俺も雪白君みたいに、性別を越えるレベルに美しくて愛らしかったら…。誓愛さんにも深く愛されてるのかな?)

(駄目だ、だめだっ…そんなこと思ったら、これじゃ嫉妬させようとした俺が逆に嫉妬に狂ってる)

(いや…違うか、ずっと前から俺は嫉妬という感情に狂っていたのかもな。だからかまって欲しくて。ウリとかキスとか…そいうので俺だけを見て欲しくて、何度も繰り返してるんだ)

俺はぴたりと止まって、路地裏の壁にもたれ掛かりながら。

やっと気づいた自分の思いに、呆れたようにため息を一度吐き出せば。

「おい、こんな所で何してる?」という聞き慣れた声が聞こえてきたので。

俺はどうして、いつも行っているバーのバーテンダーの隆虎たかとらが居るのかと、心底疑問に思いながらも。
黒髪をワックスで整えた、真面目そうだけど。
どこか俺様感のある彼に。

「お前こそ、何でここに居るんだよ?」

そう問いかければ。

「はぁ!? お前。やりすぎて頭もゆるくなったのか? ここは俺の店の裏だぞ? 居るのは当然だろうが」
「えっ…まじで、ああ、よく見たら見覚えあるわ…俺マジでだせぇじゃん」

「なに落ち込んでるんだよ、どうせ誓愛とかでうだうだもだもだ悩んでるとか?」

隆虎はそう呆れたように言いながら、店から出たであろうゴミを近くにあるダストボックスに入れるので。

「そうだよ…悪いかよ。だってそれだけ俺誓愛さんが大好きなんだもん!!」

「そう言うなら浮気もウリもすんなよ!! 俺だったら絶対に嫌いになるぜ…まあ、誓愛は俺らとは違う考えかただから、俺の意見なんか意味ないけどさ。なんというかその…、悩んでるなら俺の店に来いよ。そこでカクテルでも飲みながら、悩み相談してやるから」

隆虎は俺の肩をポンポンと優しく叩きながら、自分の店を案内するかのように。

俺を派手な装飾とドクロの容器に入ったお酒の瓶が飾られた、妖しくもありどこか民族的でもあるメキシカンバーにグイグイと連れて行くので。

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