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第一話 脅迫された悪役令息は初恋に溺れる
03-4.
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「なぜ、帰ろうとする?」
アレンは本気で言っているのだろう。
……どうしようか。
ベッドの近くに立っていたからなのか。また頬を掴もうとした手を捕まえ、ディーンは思考を巡らせる。
……逃げる必要もないか。
そのまま、ベッドに腰かけた。
「夜遊びしていると父上がうるさいんだよ」
「宰相なら理解をしてくれるのでは?」
「ある程度のことはな。だが、何日も家を空けるなら話は別だ」
大公邸にいることは父親に伝わっているだろう。
夜通し遊ぶような仲ではないことは父親も把握しているはずだ。
それなのにもかかわらず、連日、家に帰らないとなれば、父親は宰相の仕事を放り出して大公邸を訪ねてきてもおかしくはない。
「手放したくない」
アレンはディーンの事情を理解している。
しかし、それでも離れていくのが怖いのだろう。
「俺の元に戻ってくる保証がないだろう?」
それが、アレンがディーンを帰したがらない理由だった。
……バカか?
ディーンはアレンの言葉を聞き、ため息を零す。
逃がさないと言わんばかりにディーンの背中に抱き着いたアレンを振り払うこともせず、ディーンはそのままアレンの様子を伺う。
……本気か。こいつ。
アレンの顔を見上げる。
不安そうな表情を浮かべ、昨日の余裕はない。
「あのな。実家の命運を握られてるのに、俺が逃げるわけがないだろ?」
「家族を捨てるかもしれないだろ」
「捨てるわけねえだろ。バカ。それができるなら、脅迫状に従ってねえからな」
侯爵家の弱みを握られている。
悪事を隠し通す為、ディーンは脅迫状に従ったのだ。家族を守る為、アレンの要求もすべて受け入れるつもりだ。
「アレンに俺の全部をくれてやるんだ。俺の居場所になってくれるんだろ?」
だからこそ、ディーンに逃げ場はない。
それをアレンもわかっていると思っていた。
アレンは本気で言っているのだろう。
……どうしようか。
ベッドの近くに立っていたからなのか。また頬を掴もうとした手を捕まえ、ディーンは思考を巡らせる。
……逃げる必要もないか。
そのまま、ベッドに腰かけた。
「夜遊びしていると父上がうるさいんだよ」
「宰相なら理解をしてくれるのでは?」
「ある程度のことはな。だが、何日も家を空けるなら話は別だ」
大公邸にいることは父親に伝わっているだろう。
夜通し遊ぶような仲ではないことは父親も把握しているはずだ。
それなのにもかかわらず、連日、家に帰らないとなれば、父親は宰相の仕事を放り出して大公邸を訪ねてきてもおかしくはない。
「手放したくない」
アレンはディーンの事情を理解している。
しかし、それでも離れていくのが怖いのだろう。
「俺の元に戻ってくる保証がないだろう?」
それが、アレンがディーンを帰したがらない理由だった。
……バカか?
ディーンはアレンの言葉を聞き、ため息を零す。
逃がさないと言わんばかりにディーンの背中に抱き着いたアレンを振り払うこともせず、ディーンはそのままアレンの様子を伺う。
……本気か。こいつ。
アレンの顔を見上げる。
不安そうな表情を浮かべ、昨日の余裕はない。
「あのな。実家の命運を握られてるのに、俺が逃げるわけがないだろ?」
「家族を捨てるかもしれないだろ」
「捨てるわけねえだろ。バカ。それができるなら、脅迫状に従ってねえからな」
侯爵家の弱みを握られている。
悪事を隠し通す為、ディーンは脅迫状に従ったのだ。家族を守る為、アレンの要求もすべて受け入れるつもりだ。
「アレンに俺の全部をくれてやるんだ。俺の居場所になってくれるんだろ?」
だからこそ、ディーンに逃げ場はない。
それをアレンもわかっていると思っていた。
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