20 / 32
第一話 母の再婚
03-2.
しおりを挟む
「泣くほど痛いの? 靴を脱がしてあげるから、壁に捕まってて」
「……ありがとう」
「いいよ。裕太君のことだから、なんでも手伝ってあげたくなっちゃうだけだから」
歩に手伝ってもらい、なんとか靴は脱げた。
情けないところばかりを見せている気がする。これも、なんたら先輩のせいだ。退学になって当然だな!
「裕太君。手を繋ごうか」
また手を差し出される。
周囲の目はない。でも、母さんの目がある。
「洗面台までの間だけだよ」
俺の戸惑いに気づいていたんだろうか。
洗面台までと条件を付けられた。なんとか、学校から歩いて帰ってきたものの、かなり体力を消費してしまっている。正直、玄関に座り込みたいくらいだった。
これは絶好の機会だ。
手を繋いで嫌だったら、俺は恋をしていない。
手を離したくないって思えば、俺は恋をしている。
その二択を確かめる絶好の機会だ。
「……よろしく頼む」
「うん。任せて。僕に体重をかけても大丈夫だからね」
「そんなことしたら歩きづらいだろ」
手を繋ぐ意味なんてなかった。
手を繋いだところで腹の殴られたところは痛いままだし、無駄に緊張してしまうし、ドキドキと胸の音がするのがわかる。
「裕太君」
手を繋ぎながら、洗面台に向かう。
その足取りはゆっくりだった。
「かわいいね、好きだよ」
歩の何気ない言葉にドキッとする。
どうせ、従順な義弟が手に入ったとか。そういう意味に決まっている。
「かわいくなんかねーよ」
好きじゃない。って、言うつもりだった。
それなのに言葉が口にできなかった。
嘘でも言えなかった。
……好きなんだ。って、自覚をした。
手を離したくないと思ってしまった。かわいいって言葉も、好きって言葉も、俺だけに向けられていればいのに。そんなことを思ってしまった。
「……ありがとう」
「いいよ。裕太君のことだから、なんでも手伝ってあげたくなっちゃうだけだから」
歩に手伝ってもらい、なんとか靴は脱げた。
情けないところばかりを見せている気がする。これも、なんたら先輩のせいだ。退学になって当然だな!
「裕太君。手を繋ごうか」
また手を差し出される。
周囲の目はない。でも、母さんの目がある。
「洗面台までの間だけだよ」
俺の戸惑いに気づいていたんだろうか。
洗面台までと条件を付けられた。なんとか、学校から歩いて帰ってきたものの、かなり体力を消費してしまっている。正直、玄関に座り込みたいくらいだった。
これは絶好の機会だ。
手を繋いで嫌だったら、俺は恋をしていない。
手を離したくないって思えば、俺は恋をしている。
その二択を確かめる絶好の機会だ。
「……よろしく頼む」
「うん。任せて。僕に体重をかけても大丈夫だからね」
「そんなことしたら歩きづらいだろ」
手を繋ぐ意味なんてなかった。
手を繋いだところで腹の殴られたところは痛いままだし、無駄に緊張してしまうし、ドキドキと胸の音がするのがわかる。
「裕太君」
手を繋ぎながら、洗面台に向かう。
その足取りはゆっくりだった。
「かわいいね、好きだよ」
歩の何気ない言葉にドキッとする。
どうせ、従順な義弟が手に入ったとか。そういう意味に決まっている。
「かわいくなんかねーよ」
好きじゃない。って、言うつもりだった。
それなのに言葉が口にできなかった。
嘘でも言えなかった。
……好きなんだ。って、自覚をした。
手を離したくないと思ってしまった。かわいいって言葉も、好きって言葉も、俺だけに向けられていればいのに。そんなことを思ってしまった。
10
あなたにおすすめの小説
すれ違いがちなヒカルくんは愛され過ぎてる
蓮恭
BL
幼い頃から自然が好きな男子高校生、宗岡光(ヒカル)は高校入学後に仲間と自然を満喫したいという思いから山岳部へ入部する。
運動音痴なヒカルは思いのほか厳しい活動内容についていけず、ある日ランニング中に倒れてしまう。
気を失ったヒカルが見たのは異世界の記憶。買い物中に出会った親切な男が、異世界ではヒカルことシャルロッテが心から愛した夫、カイルだったのだと思い出す。
失神から目が覚めたヒカルの前には、記憶の中のカイルと同じ男がいた。彼は佐々木賢太郎、ヒカルの同級生で山岳部の部員だと言う。早速ヒカルは記憶が戻った事を賢太郎に話した。
過去に仲睦まじい夫婦であったという記憶を取り戻したからなのか、ヒカルは賢太郎の事を強く意識するようになる。
だが現代での二人はただの同級生で男同士、これから二人の関係をどうするのか、賢太郎の言葉だけでははっきりと分からないままその日は別れた。
溢れた想いを堪えきれずについDMで好きだと伝えたヒカルだったが、賢太郎からの返信は無く、酷く後悔することに。
主人公ヒカルをはじめとした、登場人物たちの勘違いによって巻き起こる、すれ違いストーリーの結末は……?
君と僕との泡沫は
七天八狂
BL
【ツンデレ美貌✕鈍感平凡の高校生】
品行方正才色兼備の生徒会長と、爪弾きの底辺ぼっちが親の再婚で義兄弟となった青春BLドラマ。
親の再婚で義兄弟となった正反対の二人の青春BL。
入学して以来、ずっと見つめ続けていた彼が義兄弟となった。
しかし、誰にでも親切で、みなから慕われている彼が向けてきたのは、拒絶の言葉だった。
櫻井優斗は、再婚を繰り返す母のせいで引っ越しと転校を余儀なくされ、友人をつくることを諦め、漫画を描くという趣味に没頭し、孤独に生きていた。
高校で出会った久我雅利の美貌に見惚れ、彼を主人公にした漫画を描くことに決めて、二年間観察し続けていた。
底辺ぼっちだった優斗は、周りから空気のように扱われていたから、見えない存在として、どれほど見ていても気づかれることはなかった。
そのはずが、同じ屋根の下に住む関係となり、当の本人に、絵を描いていたことまでもがバレてしまった。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる