竹本義兄弟の両片思い

佐倉海斗

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第一話 母の再婚

03-3.

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「手を洗える?」

「洗えるから。手を離せよ」

「名残惜しいね」

 名残惜しいのに決まっているだろうが。

 でも、家の中で手を繋いでいたら変な目で見られる。

「先にリビングにでも部屋にでも行ってろよ」

 かわいくない言葉を口にする。

 一緒にいたいと言えれば少しは改善するのだろうか。苦手意識は残ったままだ。それでも、好きの気持ちが勝っている。

「心配だから、階段も後ろからついててあげるよ」

「大丈夫だって。手すりがあるんだし」

「手すりを持たなきゃいけないほどでしょ? リビングで横になっていた方が良いんじゃないのかな」

 それはそうだ。

 すぐにでも横になりたいほどに体力が消耗している。

 でも、昨日の夜中の配信を聞き逃しているんだよ。なんとしても、録音が消える前に配信を聞かないといけないから、俺には残された時間が少ないんだ。

「部屋に行くから」

 手を洗い終わり、歩き出す。

 歩が心配しているのもわかっている。

「わがままだね。でも、いいよ。部屋の前まで一緒にいてあげるね」

 歩は一歩も引かなかった。

 結局、階段から落ちないように下で待機していた。俺が階段を上り切ると勢いよく階段を登ってきた。そんなに急がなくても、俺は逃げないっての。

「手を繋ごうか?」

「なんのためにだよ。手を繋いだって、痛いものは痛いんだけど」

「僕が裕太君と手を繋ぎたいから、手を繋ぐんだよ」

 今度は強引に手を繋いできた。

 いつ母さんに見られるか、わからないのに。

 こいつは不安じゃないのか?

 そもそも、俺と手を繋ぎたがる理由はなんだ?

 意味がわからない。

「理由は教えてあげたよ」

 歩は悪戯が成功したように歩き出した。

 目的地は俺の部屋の前だ。二階の角部屋にある俺の部屋までの間、廊下を手を繋いでいるつもりなんだろう。悪い気はしなかった。
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