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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
05-3.
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「応接室に向かう。セバス、同行してもらえるか?」
「はい。もちろんです。メイドだけではなにかご不便なことでもありますか?」
「いや。……俺が殿下を殴りそうになったら、止めてくれ」
ブラッドの言葉に対し、セバスは目を見開いた。
……驚くのは当然か。
王族に無礼を働いたメイドを解雇しようとするほどに貴族らしい考え方を有しているのにもかかわらず、手を出してしまうかもしれないと言われてしまえば、驚くのは当然のことである。
「キャロラインを修道院に追いやった相手だ。俺は妹をかわいがっていたからな。冷静に対応できるとは思えない」
「ご令嬢のお話は聞かされております。大変でしたね」
「そうだな。大変だった。両親が俺を売るほどにはな」
ブラッドは軽口を叩きながら執務室を出る。
既に慌ただしくメイドたちが動き回っていた。
応接室にウォルトとミレイが案内されたことだろう。彼らは持ち前の我儘を口にして、公爵邸のメイドたちを翻弄している可能性が高い。
「ブラッド坊ちゃまはアルバート坊ちゃまを恨んでおいでですか?」
セバスは申し訳なさそうに言葉を口にした。
……恨む?
ブラッドは心当たりがなかった。
しかし、すぐに言葉の意図に気づき、首を左右に振る。
「いいや」
ブラッドは否定した。
「やり方は強引だが。まあ、……俺も好きでいるんだ。問題はないだろ」
ブラッドは気まずそうに答えた。
ここで本音を隠しても、誤解を生むだけだ。
「安心いたしました」
セバスは安堵したようだ。
話をしながら廊下を歩いていると、応接間の前に到着した。部屋の仲は既に大騒ぎになっており、廊下までウォルトの喚く声が響いている。
……冷静になれ。
自分自身に言い聞かせる。
そうしなければ、踵を返して執務室に戻ってしまいそうだった。
「ウォルト殿下、ミレイ殿。お待たせをいたしました」
ブラッドはセバスを伴い、入室する。
入室許可を得る為に扉を叩いていたが、おそらく、聞こえていなかっただろう。
「はい。もちろんです。メイドだけではなにかご不便なことでもありますか?」
「いや。……俺が殿下を殴りそうになったら、止めてくれ」
ブラッドの言葉に対し、セバスは目を見開いた。
……驚くのは当然か。
王族に無礼を働いたメイドを解雇しようとするほどに貴族らしい考え方を有しているのにもかかわらず、手を出してしまうかもしれないと言われてしまえば、驚くのは当然のことである。
「キャロラインを修道院に追いやった相手だ。俺は妹をかわいがっていたからな。冷静に対応できるとは思えない」
「ご令嬢のお話は聞かされております。大変でしたね」
「そうだな。大変だった。両親が俺を売るほどにはな」
ブラッドは軽口を叩きながら執務室を出る。
既に慌ただしくメイドたちが動き回っていた。
応接室にウォルトとミレイが案内されたことだろう。彼らは持ち前の我儘を口にして、公爵邸のメイドたちを翻弄している可能性が高い。
「ブラッド坊ちゃまはアルバート坊ちゃまを恨んでおいでですか?」
セバスは申し訳なさそうに言葉を口にした。
……恨む?
ブラッドは心当たりがなかった。
しかし、すぐに言葉の意図に気づき、首を左右に振る。
「いいや」
ブラッドは否定した。
「やり方は強引だが。まあ、……俺も好きでいるんだ。問題はないだろ」
ブラッドは気まずそうに答えた。
ここで本音を隠しても、誤解を生むだけだ。
「安心いたしました」
セバスは安堵したようだ。
話をしながら廊下を歩いていると、応接間の前に到着した。部屋の仲は既に大騒ぎになっており、廊下までウォルトの喚く声が響いている。
……冷静になれ。
自分自身に言い聞かせる。
そうしなければ、踵を返して執務室に戻ってしまいそうだった。
「ウォルト殿下、ミレイ殿。お待たせをいたしました」
ブラッドはセバスを伴い、入室する。
入室許可を得る為に扉を叩いていたが、おそらく、聞こえていなかっただろう。
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