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第二話 【あやかし喫茶】は縁を結ぶ
01-6.
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「半妖は厄介なものです。伊織さんも知っているでしょう? 散々、手こずって自衛団の若様に笑われたって言ってたじゃないですか」
「それと坊やは違うだろ。若頭の姪御様は警戒心が強かっただけだし、あの坊やは人間だ」
「かろうじて人に寄っているだけではないんですか。どちらにしても、若葉は賛成できませんねー」
若葉は呆れたように笑ってみせた。
「でも、どーしても諦めないんでしょー?」
若葉は伊織を説得するのを諦めたのだろうか。
もしかしたら、真面目な口調で話すのに疲れただけかもしれない。
「仕方がないから、若葉さんも手伝ってあげましょう。その代わり! あの坊やが人じゃなくて半妖になった途端に外に放り出してやるので覚悟はしておいてくださいねー!」
「放り出すのは止めてくれ。その時は自警団に連れて行くようになってるんでな」
「ええー? どこまで甘ちゃん集団ですねー。昔の酒呑童子様たちの自由奔放さはどこに行っちゃったんでしょう。若葉は昔の自由気ままな鬼たちの方が好みでしたけどねー」
若葉はへらへらと笑いながら言う。
……頭領の気質は変わっていないと思うが。
伊織は若葉が語る昔の話を知らない。歴史の授業でも習わないようなあやかしの昔話は、伊織にとってはおとぎ話のようなものだ。
「半妖の保護団体にでもなるつもりですかー?」
「ちげえよ。頭領のお孫様の一人が半妖だからな。そのお友達にでもしようと言い出したんだよ」
「なるほどー。今は現世にいるんでしたっけー?」
若葉は興味を抱いていない。
それでも興味があるように話を続けていた。
「睡蓮様が世話をしてる」
伊織は喫茶店の常連である酒呑童子の末息子、睡蓮のことを思い出す。
酒呑童子の子どもたちの中で、もっとも自由奔放な末息子はおもしろい酒を探すのだと告げて現世に向かい、時々、現世で見つけてきた地酒をお土産に帰ってくる。
愉快なあやかしだ。
しかし、不運なところは母親譲りらしく、今は行方知らずとなった姉の娘である半妖の姪の世話に頭を抱えていると噂に聞いたことを思い出した。
「それと坊やは違うだろ。若頭の姪御様は警戒心が強かっただけだし、あの坊やは人間だ」
「かろうじて人に寄っているだけではないんですか。どちらにしても、若葉は賛成できませんねー」
若葉は呆れたように笑ってみせた。
「でも、どーしても諦めないんでしょー?」
若葉は伊織を説得するのを諦めたのだろうか。
もしかしたら、真面目な口調で話すのに疲れただけかもしれない。
「仕方がないから、若葉さんも手伝ってあげましょう。その代わり! あの坊やが人じゃなくて半妖になった途端に外に放り出してやるので覚悟はしておいてくださいねー!」
「放り出すのは止めてくれ。その時は自警団に連れて行くようになってるんでな」
「ええー? どこまで甘ちゃん集団ですねー。昔の酒呑童子様たちの自由奔放さはどこに行っちゃったんでしょう。若葉は昔の自由気ままな鬼たちの方が好みでしたけどねー」
若葉はへらへらと笑いながら言う。
……頭領の気質は変わっていないと思うが。
伊織は若葉が語る昔の話を知らない。歴史の授業でも習わないようなあやかしの昔話は、伊織にとってはおとぎ話のようなものだ。
「半妖の保護団体にでもなるつもりですかー?」
「ちげえよ。頭領のお孫様の一人が半妖だからな。そのお友達にでもしようと言い出したんだよ」
「なるほどー。今は現世にいるんでしたっけー?」
若葉は興味を抱いていない。
それでも興味があるように話を続けていた。
「睡蓮様が世話をしてる」
伊織は喫茶店の常連である酒呑童子の末息子、睡蓮のことを思い出す。
酒呑童子の子どもたちの中で、もっとも自由奔放な末息子はおもしろい酒を探すのだと告げて現世に向かい、時々、現世で見つけてきた地酒をお土産に帰ってくる。
愉快なあやかしだ。
しかし、不運なところは母親譲りらしく、今は行方知らずとなった姉の娘である半妖の姪の世話に頭を抱えていると噂に聞いたことを思い出した。
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