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第1話 狐塚町にはあやかしが住んでいる
04-6.
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(しかし、何たる偶然か)
旭は、香織のような存在を見たことがなかった。
強い霊力を浴び続けた羽織には、人の姿を隠す力と霊力を奪う力がある。
それは、香織のように強すぎる霊視の才を抑えることも出来るはずである。
そう考え、貸し与えた羽織は別の可能性を示した。
羽織を身に着けても尚、香織は狭間の世界に立っている。
それは、ただの人間には有り得ない現象だった。
(息絶える前に気付けたのは、幸いであるか)
香織は、霊視の才能が高すぎる人間の枠すらも飛び抜けている。
その高すぎる才能は、人間ともあやかしとも違う。
「香織。お前の才能は素晴らしいものだ。誇るべきものだ」
それに気づいたのは、幸いにも旭だけであった。
「なんと嬉しい誤算か。なんと喜ばしい日であることか」
狐塚一族の中に、あやかしの血が混ざっている者がいたのだろう。
その正体を明かさない道を選んだのか。薄まりすぎた血の正体を知らぬまま、人ならざる者が視える存在として一族に迎え入れられたのかはわからない。
しかし、その血は香織にも流れている。
そして、香織の中で混ざり合った。
人とあやかしの境界線を歩む者としての天命を与えられながらも、それに気づかず、人の道を選んだのだろう。
「お前の才を伸ばしてやらねばならぬな」
「え、あ、あの。旭様。わたし、視えるだけなんです」
「おかしなことを言う。聞こえもするのだろう?」
「え、あ、はい。聞こえも、しますけど」
不安感に押し潰されそうな声を上げる香織に対し、旭は上機嫌のままだ。
「触れはするかい?」
「たぶん、触れます」
「そうかい。それは珍しい」
二人のやり取りを聞いているだけの春博は少々面白くなさそうな顔をする。
両親以外は気にも留めない香織のことを春博は下に見ていた。
なんとなく、気にかかるところはあるが、それは見て見ぬふりを続けていたのは、からかう相手がいなくなってしまうと空しくなるのを知っていたからだ。
旭は、香織のような存在を見たことがなかった。
強い霊力を浴び続けた羽織には、人の姿を隠す力と霊力を奪う力がある。
それは、香織のように強すぎる霊視の才を抑えることも出来るはずである。
そう考え、貸し与えた羽織は別の可能性を示した。
羽織を身に着けても尚、香織は狭間の世界に立っている。
それは、ただの人間には有り得ない現象だった。
(息絶える前に気付けたのは、幸いであるか)
香織は、霊視の才能が高すぎる人間の枠すらも飛び抜けている。
その高すぎる才能は、人間ともあやかしとも違う。
「香織。お前の才能は素晴らしいものだ。誇るべきものだ」
それに気づいたのは、幸いにも旭だけであった。
「なんと嬉しい誤算か。なんと喜ばしい日であることか」
狐塚一族の中に、あやかしの血が混ざっている者がいたのだろう。
その正体を明かさない道を選んだのか。薄まりすぎた血の正体を知らぬまま、人ならざる者が視える存在として一族に迎え入れられたのかはわからない。
しかし、その血は香織にも流れている。
そして、香織の中で混ざり合った。
人とあやかしの境界線を歩む者としての天命を与えられながらも、それに気づかず、人の道を選んだのだろう。
「お前の才を伸ばしてやらねばならぬな」
「え、あ、あの。旭様。わたし、視えるだけなんです」
「おかしなことを言う。聞こえもするのだろう?」
「え、あ、はい。聞こえも、しますけど」
不安感に押し潰されそうな声を上げる香織に対し、旭は上機嫌のままだ。
「触れはするかい?」
「たぶん、触れます」
「そうかい。それは珍しい」
二人のやり取りを聞いているだけの春博は少々面白くなさそうな顔をする。
両親以外は気にも留めない香織のことを春博は下に見ていた。
なんとなく、気にかかるところはあるが、それは見て見ぬふりを続けていたのは、からかう相手がいなくなってしまうと空しくなるのを知っていたからだ。
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