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第四話 賢妃は諦めない
02-3.
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「それはできない」
香月は断る。
賢妃として後宮にいる限り、香月の愛はすべて俊熙のものだ。
「ご安心くださいませ。愛してほしいなどと欲張りはしませんわ」
可馨は笑った。
花のように愛らしい笑顔だった。
それは香月にしか見せない表情だ。
「香月様。皇后陛下にふさわしいお方は香月様だけなのです」
「……私は賢妃だ。玄家の人間として賢妃でいなければならない」
「事情は存じておりますわ。ですから、わたくしの独り言だと思って聞き流してくださいませ」
可馨はゆっくりと立ち上がった。
「手紙の件、陛下にお伝え願います」
「私が伝えていいのか?」
「はい。香月様に託します」
可馨は笑った。
今度はなにもかも諦めたような笑顔だった。
「父上の罪を暴いたのはわたくしです。どのような処罰も受け入れる所存だとお伝えくださいませ」
可馨の言葉を聞き、香月は本気なのだと悟る。
「わかった」
香月は返事をした。
その言葉を聞き、可馨は満足そうに微笑んだ。
「香月様」
可馨は愛おしそうに香月の名を口にする。
見返りを求めない愛は純粋なものだった。
「わたくしは香月様の幸せを願いますわ。どうか、玄家の香月様で居続けてくださいませ」
「どういう意味だ」
「そのままの意味ですわ。わたくしの愛する香月様は美しい存在であり続けてほしいだけですの。徳妃のように術に溺れるのは醜いですもの」
可馨の言葉には棘があった。
万姫が呪術を使っていることを知っていたようだ。
「香月様は美しくなければなりません」
可馨は愛を語る。
その言葉は盲目的な愛だった。
香月は断る。
賢妃として後宮にいる限り、香月の愛はすべて俊熙のものだ。
「ご安心くださいませ。愛してほしいなどと欲張りはしませんわ」
可馨は笑った。
花のように愛らしい笑顔だった。
それは香月にしか見せない表情だ。
「香月様。皇后陛下にふさわしいお方は香月様だけなのです」
「……私は賢妃だ。玄家の人間として賢妃でいなければならない」
「事情は存じておりますわ。ですから、わたくしの独り言だと思って聞き流してくださいませ」
可馨はゆっくりと立ち上がった。
「手紙の件、陛下にお伝え願います」
「私が伝えていいのか?」
「はい。香月様に託します」
可馨は笑った。
今度はなにもかも諦めたような笑顔だった。
「父上の罪を暴いたのはわたくしです。どのような処罰も受け入れる所存だとお伝えくださいませ」
可馨の言葉を聞き、香月は本気なのだと悟る。
「わかった」
香月は返事をした。
その言葉を聞き、可馨は満足そうに微笑んだ。
「香月様」
可馨は愛おしそうに香月の名を口にする。
見返りを求めない愛は純粋なものだった。
「わたくしは香月様の幸せを願いますわ。どうか、玄家の香月様で居続けてくださいませ」
「どういう意味だ」
「そのままの意味ですわ。わたくしの愛する香月様は美しい存在であり続けてほしいだけですの。徳妃のように術に溺れるのは醜いですもの」
可馨の言葉には棘があった。
万姫が呪術を使っていることを知っていたようだ。
「香月様は美しくなければなりません」
可馨は愛を語る。
その言葉は盲目的な愛だった。
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