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第二話「花は花でも彼女は毒花である」

03-1.可憐な花には毒がある

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「はい、そこまでー。ダリア、本題とは違う話になっているよ」

「それよりも大変なことが発覚した」

「そうだね、でも、友人がいないのは個人的な問題だよ。ジェイドの人見知りを治さない限りはどうすることもできないだろうし、そこまで介入している時間はないよ? 貴族として生まれた限りには下手な交流は足を引っ張られるだけなのは常識でしょ」

「今まで領外に出る機会がなかったのだから人見知りもするだろう」

「甘すぎるよ。その結果がライラック・ロベリアの餌食になっているんだから」

 パーシヴァルの言う通りだ。

 しかし、友人いないのは危機的な状況だと思うのは間違いだろうか。

「君は弟を甘やかすのをやめるべきだね。それではなにも変わらないよ」

「甘やかしているつもりはない」

「甘いよ。喧嘩になると容赦ないのに、どうして、普段はすぐに庇おうとするのかな? ダリアが甘やかすからジェイドは成長をしようとしないんだよ。いい機会だから弟離れをしてみたら?」

「売られた喧嘩は倍以上にして返すのはブラッドウッド辺境伯爵家の方針の一つだ。それとジェイドを可愛がるのは別の問題だろう」

「あのね、弟を溺愛している暇は僕たちにはないよ? ――そうだ。ジェイドが抱いている気持ちが友情か、恋心か、判断する方法を思いついたから。それを試してみるのはどうかな?」

 名案だった。

 判断する方法があるのならば、それを試してみるのもいいだろう。

「パーシヴァル。その方法は効率が良いのだろうな?」

「まあね、君たちの抜けている会話を続けるよりは効率が良いと思うよ」

「そうか。それでその方法とはどのようなものだ?」

 パーシヴァルは笑っていた。

 最高の方法を思いついたのだろう。

「簡単だよ。本人に教えてもらうんだよ」

「問いかけても泣くだけだろう」

「直接は言わないよ。僕たちの目的はジェイドが抱いている気持ちを確かめること、それなら、ライラック・ロベリアの行動を見ればわかることだよ」

「どういうことだ?」

「うーん、どうやって説明をしようかな……。彼女の行動を遠目で見てみるんだよ。そうすれば、ジェイドの抱いている気持ちがどちらかわかるはずだから」

 ライラックが男子生徒を口説く姿でも見せるのだろうか。
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