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第三話「剣を捧げる男は正義を愛する」
02-5.正義を愛する男は手段を選ばない
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あいかわらず、公爵令嬢とは思えない言動だ。
「心当たりはございませんの?」
贈り物として銃器類を選ぶような人物は一人しか思いつかない。
「……まさか、ジョージ公子が?」
「その通りですわ。警戒心の薄いことを心配なさっていましたのよ」
「昨日の姿を見てもそれを言うかい?」
「相手が弱かったからこその勝利とも言えるでしょう。拳銃と魔法の組み合わせ、剣の魔法による制御は見惚れてしまいましたが、実践ではその程度の戦い方では死は免れないと喚いていましたわ」
「自覚しているよ。それを指摘されたのは初めてだけど」
よく観察をしていたのだろうか。
彼が相手だったのならば、勝てたとは思えない。
「ふふ、そうですの。一度、ゆっくりとお話をしてみてはいかがでしょうか?」
「身分が違うからね。私から声を掛けられるような相手ではないだろう」
「私と同じ立場ですわ」
「リゼは友人だろう? アレクシスの形だけの婚約者と公爵家の次期当主候補とは釣り合わないよ」
「難しく考えますのね。学園は社交場ですのよ? 多少の身分差なんて誰も気にはしませんわ」
簡単に言ってくれる。
こうして対等のように関わっていることが普通ではないのだ。
「リゼ!! ダリアは捕まったか!?」
扉が開くのと声がするのは同時だった。
逃亡犯のような扱いを受けた気がする。
「そのような乱暴な扱いはお止めくださいませ。私の大切な友人ですのよ」
「乱暴に扱ってなんかいねーよ。チッ、睨むな睨むな。めんどくせぇ」
「それがお願いを叶えて差し上げた相手への態度だというのですか?」
「倍以上の値段を吹っ掛けておいてなにを言うんだか」
「適正価格ですわ。大切な友人の時間を差し上げるのです。本来ならば、私も同伴をしたいのですからね」
「ハッ、冗談だろ」
「この話そのものを冗談にして差し上げてもよろしいのですよ?」
従兄妹だったか。
兄妹のように育ったと言っていた覚えがある。
「心当たりはございませんの?」
贈り物として銃器類を選ぶような人物は一人しか思いつかない。
「……まさか、ジョージ公子が?」
「その通りですわ。警戒心の薄いことを心配なさっていましたのよ」
「昨日の姿を見てもそれを言うかい?」
「相手が弱かったからこその勝利とも言えるでしょう。拳銃と魔法の組み合わせ、剣の魔法による制御は見惚れてしまいましたが、実践ではその程度の戦い方では死は免れないと喚いていましたわ」
「自覚しているよ。それを指摘されたのは初めてだけど」
よく観察をしていたのだろうか。
彼が相手だったのならば、勝てたとは思えない。
「ふふ、そうですの。一度、ゆっくりとお話をしてみてはいかがでしょうか?」
「身分が違うからね。私から声を掛けられるような相手ではないだろう」
「私と同じ立場ですわ」
「リゼは友人だろう? アレクシスの形だけの婚約者と公爵家の次期当主候補とは釣り合わないよ」
「難しく考えますのね。学園は社交場ですのよ? 多少の身分差なんて誰も気にはしませんわ」
簡単に言ってくれる。
こうして対等のように関わっていることが普通ではないのだ。
「リゼ!! ダリアは捕まったか!?」
扉が開くのと声がするのは同時だった。
逃亡犯のような扱いを受けた気がする。
「そのような乱暴な扱いはお止めくださいませ。私の大切な友人ですのよ」
「乱暴に扱ってなんかいねーよ。チッ、睨むな睨むな。めんどくせぇ」
「それがお願いを叶えて差し上げた相手への態度だというのですか?」
「倍以上の値段を吹っ掛けておいてなにを言うんだか」
「適正価格ですわ。大切な友人の時間を差し上げるのです。本来ならば、私も同伴をしたいのですからね」
「ハッ、冗談だろ」
「この話そのものを冗談にして差し上げてもよろしいのですよ?」
従兄妹だったか。
兄妹のように育ったと言っていた覚えがある。
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