11 / 233
第1話 悪役令息は、弟の失敗の責任を取らされる
02-1.
「そ、それで、どうだったんだ?」
丁重にジェイドを見送った後、レオナルドはトムに呼び出されていた。
「機嫌は良さそうだったが……」
帰り際、ジェイドの機嫌を損ねていなかったことを執事から聞いたのか、こっそり覗き見をしていたのか、トムは落ち着かない様子だった。
「とんでもない条件を告げて満足して帰られましたよ」
レオナルドは執務室に用意されている客人用のソファーに座る。
疲れ果てたと言わんばかりの態度を見せるレオナルドに対し、トムは何を思ったのか、傍にいた執事に甘い菓子を用意するように言い付けていた。
……成人を過ぎても子ども扱いのままか。
世間知らずだと言われるのは慣れている。
レオナルドが表舞台に出ることを酷く嫌っている七歳上の兄、セドリックが都合の良い御託を並べて学院の入学を拒否したことによる影響が大きいのは、レオナルドも理解をしていたが、どうすることもできなかった。
「そ、そうか。それで、条件はなんだったんだ?」
言い付け通り、菓子を手配している執事の目を盗むようにしてトムは問いかける。
「俺を嫁に欲しいと言われました」
レオナルドは要求されたことを隠さずに口にした。
「結婚をして子供を産んでほしいとも言っていましたね。世間知らずの俺をからかっているのかと思えば、本気だと口説いてきましたよ」
レオナルドはやっていられないと言わんばかりの表情を浮かべる。
要求は聞いた。それをどうするのか、判断をするのは伯爵であるトムの役目だ。
……間抜けな顔。
トムは目を見開き、口も情けなく開いていた。
レオナルドがそうであったように言われた内容を理解できていないのだろう。
「受け入れないのならば、慰謝料とそれなりの見せしめを要求すると言っていました。侯爵家の権力を限界まで使ってくるつもりのようでしたよ」
殺害予告をしていたことは口にしない。
トムの性格を考えれば、そのまま気絶をしかねないからだ。
「明日、返事をすることになっています」
レオナルドは執事が運んできた菓子を掴む。
「父上。父親としてではなく、伯爵として判断をなさるべきかと思います」
初めて対峙した相手だった。しかし、ジェイドの言葉は冗談ではないだろう。
判断を誤れば伯爵家の血筋は絶やされてしまうことになりかねない。
丁重にジェイドを見送った後、レオナルドはトムに呼び出されていた。
「機嫌は良さそうだったが……」
帰り際、ジェイドの機嫌を損ねていなかったことを執事から聞いたのか、こっそり覗き見をしていたのか、トムは落ち着かない様子だった。
「とんでもない条件を告げて満足して帰られましたよ」
レオナルドは執務室に用意されている客人用のソファーに座る。
疲れ果てたと言わんばかりの態度を見せるレオナルドに対し、トムは何を思ったのか、傍にいた執事に甘い菓子を用意するように言い付けていた。
……成人を過ぎても子ども扱いのままか。
世間知らずだと言われるのは慣れている。
レオナルドが表舞台に出ることを酷く嫌っている七歳上の兄、セドリックが都合の良い御託を並べて学院の入学を拒否したことによる影響が大きいのは、レオナルドも理解をしていたが、どうすることもできなかった。
「そ、そうか。それで、条件はなんだったんだ?」
言い付け通り、菓子を手配している執事の目を盗むようにしてトムは問いかける。
「俺を嫁に欲しいと言われました」
レオナルドは要求されたことを隠さずに口にした。
「結婚をして子供を産んでほしいとも言っていましたね。世間知らずの俺をからかっているのかと思えば、本気だと口説いてきましたよ」
レオナルドはやっていられないと言わんばかりの表情を浮かべる。
要求は聞いた。それをどうするのか、判断をするのは伯爵であるトムの役目だ。
……間抜けな顔。
トムは目を見開き、口も情けなく開いていた。
レオナルドがそうであったように言われた内容を理解できていないのだろう。
「受け入れないのならば、慰謝料とそれなりの見せしめを要求すると言っていました。侯爵家の権力を限界まで使ってくるつもりのようでしたよ」
殺害予告をしていたことは口にしない。
トムの性格を考えれば、そのまま気絶をしかねないからだ。
「明日、返事をすることになっています」
レオナルドは執事が運んできた菓子を掴む。
「父上。父親としてではなく、伯爵として判断をなさるべきかと思います」
初めて対峙した相手だった。しかし、ジェイドの言葉は冗談ではないだろう。
判断を誤れば伯爵家の血筋は絶やされてしまうことになりかねない。
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃がはじまる──! といいな!(笑)
本編完結済、ロデア大公立学園編、はじめました!
本編のあと、恋愛ルートやおまけのお話に進まずに、すぐロデア大公立学園編に続く感じです。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけです!
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。校正も自力です!(笑)
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません
カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」
ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。
(これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!)
妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。
スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。
スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。
もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます?
十万文字程度。
3/7 完結しました!
※主人公:マイペース美人受け
※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。
たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)