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第2話 婚約を結んだ悪役令息は引きこもりたくない
03-17.
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「同時に食べると苦味が強くなって、食べられないと聞いたことがある」
イキシアの名物は同時に口にするべきではないと、幼い頃に誰かに聞いた覚えがあった。
なぜかイキシアでしか栽培をされていない為、名物となっているだけであり、多くの観光客が体験をするイベントの一つのようなものである。
「ははっ。そうなのか。騙されるところだった」
ジェイドは上機嫌だった。
同僚に騙されそうになったことを根に持ってはいないのだろう。
「レオナルドは博識だな」
「偶然だ。聞いたことがあっただけだ」
「偶然でも覚えていたのなら立派なことじゃねえか」
ジェイドはレオナルドの髪を撫ぜる。
それは子どもを褒めるような仕草だった。
「誰から聞いたのか、覚えているか?」
ジェイドの言葉に対して、レオナルドは首を左右に振った。
否定する言葉に声にするのは、なんとなく、したくはなかった。
「そうか。それなら、また、思い出せるようになるさ」
同情ではない。失望をしたわけでもない。
向けられたことのない感情に戸惑うレオナルドに対し、ジェイドは何度も髪を撫ぜる。
「気にするな。今日は俺だけに集中していればいい」
「……お前といるとろくな目に遭わない気がするんだが」
ジェイドの甘く囁くような声を拒絶する。
油断をしていると甘い言葉に踊らされそうになるのは、毎日、送り届けられている手紙のやり取りを続けたことにより、先週、抱いたはずの嫌悪感が薄れ始めている自分自身の体験からよくわかっていることだった。
「ははっ、そう思うのも仕方がないだろうな」
先週とは別人のような振る舞いだ。
ジェイドはレオナルドを撫ぜるのを止める。
「この前は悪かったと思ってる」
黄色の果実をレオナルドの袋に入れながら言った。
「焦りすぎた。それから浮かれすぎていたんだ」
心の底から思っているわけではないだろう。
謝罪の言葉なのにも関わらず、冗談を口にしているかのような軽さを感じる。
「ごめんな。レオナルド」
ジェイドの謝罪に対し、レオナルドは対応に困ってしまった。
イキシアの名物は同時に口にするべきではないと、幼い頃に誰かに聞いた覚えがあった。
なぜかイキシアでしか栽培をされていない為、名物となっているだけであり、多くの観光客が体験をするイベントの一つのようなものである。
「ははっ。そうなのか。騙されるところだった」
ジェイドは上機嫌だった。
同僚に騙されそうになったことを根に持ってはいないのだろう。
「レオナルドは博識だな」
「偶然だ。聞いたことがあっただけだ」
「偶然でも覚えていたのなら立派なことじゃねえか」
ジェイドはレオナルドの髪を撫ぜる。
それは子どもを褒めるような仕草だった。
「誰から聞いたのか、覚えているか?」
ジェイドの言葉に対して、レオナルドは首を左右に振った。
否定する言葉に声にするのは、なんとなく、したくはなかった。
「そうか。それなら、また、思い出せるようになるさ」
同情ではない。失望をしたわけでもない。
向けられたことのない感情に戸惑うレオナルドに対し、ジェイドは何度も髪を撫ぜる。
「気にするな。今日は俺だけに集中していればいい」
「……お前といるとろくな目に遭わない気がするんだが」
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心の底から思っているわけではないだろう。
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