自由学園の〈清争〉は超過酷です。

まねきねこ

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2話 その学園は異常

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 自由みゆ学園は、公立という生まれにありながら、多額の寄付金によって支えられている、類稀たぐいまれな学校だ。

 校風はあってないようなもの、生徒の望みに応じた恵まれた環境で、生徒数は2500人。教師などを含めた学校総勢人数は、ついに2700人を突破してしまった。

 しかし閉塞感はまったくない。広大な敷地と校舎の中で、生徒たちはのびのびと学習や部活動に打ちこめる。

 そんなこともあって、毎年の入学試験の争いは苛烈を極めていた。

 しかし、そんな夢ともいえる学園にも、大きな問題があった。

 その多すぎる人数のために、毎日の汚れはひどかったのだ。そんじょそこらの会社や学校とは、比べ物にならない。

 ホコリはもちろん、靴跡や髪の毛など、目に見える汚れは相当な量だ。空気中の汚れさえも、肌で感じ取れるくらいである。

 どの教室も一日に4回は使うのだから、仕方ないと言えば仕方ないが、一日清掃を怠けただけで、見るに堪えない無惨な有様になるのは、先代の試みで明らかだった。

 しかも校舎が広いために、その清掃の範囲はとてつもない。

 あまりの広さに、暇な学校職員は全員清掃に駆り出される始末だった。

 清掃が嫌いな者は、まずこの高校には入らない方がいい、とどの中学も口を酸っぱくして言っているのに、毎年痛い目を見る生徒は数多い。

 だから自由学園には、もっぱらの綺麗好きが多かった。

 だがそんな彼らでもこの汚れには耐えきれなかったらしく、清掃そのものをあきらめる生徒たちが出始めた。

 そして清掃面倒派がついに半数を占めたとき、新たな生徒会企画が打ち出された。

 その名も『清争』。

 一人6平方メートルの正方形の持ち場を与えられ、そこを徹底的に清掃するという、単純な企画だ。

 あまりに利のない企画に、生徒たちは難色を示したが、その後に続けられた内容に、諸手もろてをあげて賛成した。

 いわく、「優秀者は、物理的な願いをひとつ叶えられる」と。

 一日の清掃の評価として、最大10点の点数がつけられる。

 そして、毎日10点を獲得した者の中から、半年に一度、優秀者が選ばれる。

 その優秀者は、物理的に願い事をひとつ、叶えられるのだ。

 例えば、まんじゅうをたらふく食いたいだとか、一日授業を全て自由時間にしてほしいだとか、一日宿題をナシにしてほしいだとか。

 叶えられる最大限の範囲で、教師と生徒のあいだで折り合いをつけられれば、基本的にどんな願いでも叶う。

 生徒たちは燃えた。欲望は果てしない。競争心が火花を散らした。

 生徒会企画『清争』は、かくして、全校の清掃への士気を格段に高め上げたのだった。
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