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第四章 鳥像の門
嫉妬の先2
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人間の神様がさっきより深い溜息をついた。
「ほんと、悪魔は甘いから。君も、ナイトも、シアン――マツリくんも、みんなかっこ良くてずるいよね」
「あなたは強いですね」
作成者の代わりにルキルくんが人間の神様に声をかけた。
「求められてるって無敵ですね。危うさと引き換えに最強を手に入れて、僕らを喰っていくんですよ、あなたは。あなた達なんて、生命の神様の愛情だけで、かろうじて次の世界に進むのを引き留めてもらっているだけなのに」
確かに、さっき鏡の中で渦巻いていた記憶だと、あの鳥の門があとわずかに開いただけで、この世界は見捨てられる。
「進むなら進めよ、それが生命の本当の願いなら、叶ってなによりだ」
「二人ともやめなさい。まあ、いいじゃないですか、せっかく許し合えたんですから、これからの事を話し――」
これを許し合っていると言えるのかわからないが、大人な雷の神様がせっかく場を収めようとした時、冷たい言葉が鏡の空間に響いた。
「僕はお前を許してない」
いつもと全然違う、揺らいでいないシロキさん本来の声だろう。
「シロキ……」
容赦のない声をぶつけられた作成者が、シロキさんに手を伸ばしかけて、引っ込めた仕草がたまらなく悲しかった。
「強情なやつだな、いい加減にしろ」
ナイトがシロキさんを睨む。
「お前の頼みでもこれだけは聞けない。黙ってて」
シロキさんも引かない。思わずカドに声をかけてしまう。
「おい、止めなくていいのか」
カドの言うことならシロキさんはきっと聞き入れる。
「シロキさんが望むなら、それは俺の望みでもあるんだよ」
どうしよう、俺が止めに入っても意味がないだろうし――。
「僕はお前を消すためにこうして極楽から引きずり出したんだよ、わかっているよね」
シロキさんが本気で怖い。もう、何でもいいから時間稼ぎをしよう。
「そう言えば、何であなたは祈りの鳥を奪ったりしたんだ?」
作成者が俺を見て優しく笑った。こんな自然な顔できるのなら、もっと早くこうして笑え。
「そうだな……言い訳をさせてくれるか」
そう言って、ちらりとシロキさんに視線をやった。
「すれば? 消すことはいつでもできるから。もう無理やり鏡に映したりしない。勝手に話せ。僕、乱暴なことは嫌いなんだ」
良かった――実は今作成者の話にあまり興味はない。
話が終わる前に、シロキさんの意志を変える方法を考えないと。
「ほんと、悪魔は甘いから。君も、ナイトも、シアン――マツリくんも、みんなかっこ良くてずるいよね」
「あなたは強いですね」
作成者の代わりにルキルくんが人間の神様に声をかけた。
「求められてるって無敵ですね。危うさと引き換えに最強を手に入れて、僕らを喰っていくんですよ、あなたは。あなた達なんて、生命の神様の愛情だけで、かろうじて次の世界に進むのを引き留めてもらっているだけなのに」
確かに、さっき鏡の中で渦巻いていた記憶だと、あの鳥の門があとわずかに開いただけで、この世界は見捨てられる。
「進むなら進めよ、それが生命の本当の願いなら、叶ってなによりだ」
「二人ともやめなさい。まあ、いいじゃないですか、せっかく許し合えたんですから、これからの事を話し――」
これを許し合っていると言えるのかわからないが、大人な雷の神様がせっかく場を収めようとした時、冷たい言葉が鏡の空間に響いた。
「僕はお前を許してない」
いつもと全然違う、揺らいでいないシロキさん本来の声だろう。
「シロキ……」
容赦のない声をぶつけられた作成者が、シロキさんに手を伸ばしかけて、引っ込めた仕草がたまらなく悲しかった。
「強情なやつだな、いい加減にしろ」
ナイトがシロキさんを睨む。
「お前の頼みでもこれだけは聞けない。黙ってて」
シロキさんも引かない。思わずカドに声をかけてしまう。
「おい、止めなくていいのか」
カドの言うことならシロキさんはきっと聞き入れる。
「シロキさんが望むなら、それは俺の望みでもあるんだよ」
どうしよう、俺が止めに入っても意味がないだろうし――。
「僕はお前を消すためにこうして極楽から引きずり出したんだよ、わかっているよね」
シロキさんが本気で怖い。もう、何でもいいから時間稼ぎをしよう。
「そう言えば、何であなたは祈りの鳥を奪ったりしたんだ?」
作成者が俺を見て優しく笑った。こんな自然な顔できるのなら、もっと早くこうして笑え。
「そうだな……言い訳をさせてくれるか」
そう言って、ちらりとシロキさんに視線をやった。
「すれば? 消すことはいつでもできるから。もう無理やり鏡に映したりしない。勝手に話せ。僕、乱暴なことは嫌いなんだ」
良かった――実は今作成者の話にあまり興味はない。
話が終わる前に、シロキさんの意志を変える方法を考えないと。
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