奇跡の神様

白木

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第四章 鳥像の門

嫉妬の先1

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エンド


 鏡の空間に作成者が落ちて来てうずくまっていた。

 それを神様たちが取り囲んでいる。

 さっきまでの混沌が嘘のように静まりかえっている。

 みんなの言う「若い」俺の全く知らなかった過去が――今まで、鏡の空間全面に映し出されていた光景が、まだ頭の中で渦巻いてる。

 これは真面目な場面だ。それなのに、俺には鏡の空間がわずかに揺れて、カドが笑いを堪えているのがわかった。

「おい、まずいだろ、何がおかしいんだ」

 揺れが強くなってくるのを感じて、小声で注意した。

「んんっ」

 返事なのか息なのかわからない音が鏡の壁からするのに、みんな真剣そのもので気がついていない。

 でも、この光景はなんだか作成者を神様たちでいじめているようで良くない。

 やっぱり俺が間に入って……と思った時、ナイトが作成者の目線に膝をついて、静かな、良く通る声で言った。

「ごめんな」

 青白い顔を上げる作成者を見て溜息をついたのは人間の神様だった。

「あなたは全然悪くないよ。すっかり忘れているだろうけど、わたしはあなたのことを良く知っている。昔も今も、あなたは何にも悪くない」

 もっともだけれど、少しは作成者に同情してやっても……

「わたしも悪かったけどさ、良く考えると全部、生命の神様のせいだよね」

 場が凍りつく。良く飄々と言えるな。

「だって、人間の魂を救おうとしたんだか知らないけど、何、自分と繋がれるようにって。世界中に鏡をばらまいたあげくに逆に自殺者を増やしちゃうし。人間を救うのはわたしの役割だから。それだってナイトに――あの時は人間か、いい顔したかっただけじゃないの。いくら金色のきれいな魂だからって人間のおじさんに恋しちゃっうってどうなのさ。たしかに魅力的な人間だったよ。わたしだってもっと一緒に居たかった。年取って、弱って、みすぼらしく死んでいくのを見守って、また新しく生まれてくるのを待っていたかった。あんた達にはわからないだろうな。勝手に永遠存在している奴らになんか。生命の神様の我がままで世界に放たれて、独りぼっちで不安な命のことなんて。わたしからも勝手に人間を奪っておいて被害者面だもん、本当にいらいらするよ。あー言えてすっきりした。あとは太古の神様同士、好きにやりなよ。わたし、元人間の悪魔の方が気が合うと思う、ね?」

「え?」

 どうして急に俺にふるんだ。三歩離れた場所で目立たないように聞いていたのに。せっかく笑いを押さえていたカドがまた震えだす。

 笑ってないで助けて欲しい。

 悪魔ならこの場にナイトだってアドバンドだっているじゃないか。全員の視線を集めやっと言えたのは

「――生命の神様にだって願いがあったんじゃないか……言えなかった願いが。今はただ、浄化が俺たちで出来るようになったこの世界を、生命の神様にも見せてやりたい」

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