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第四章 鳥像の門
嫉妬の影6
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エンド
ファミドすら尻尾をぱたぱたと作成者の肩にぶつけて「気にしてないよ」と言っているようだ。
しかし、そんな柔らかな空気をシロキさんは許さない。
「だったら僕を刺したのは?」
「あれはお前が刺さりに行ったんだろ。忘れっぽいのか」
勝手に恋され嫉妬され続けているナイトが呆れたようにシロキさんを見た。
「それでも避ければ良いじゃない」
シロキさんは引かない。ナイトが更にシロキさんを戒めようとした時、作成者が俺を見た。
「君はどう思う?」
この流れで俺? こいつ俺に何か恨みでもあるのか。
「シロキさんが仕組んでいたんだろう? 最初からそう思っていた。俺たちはシロキさんの思うように誘導されているだけだ」
今度はシロキさんが俺の方を向く。最初に会った時、カドから急に変わった時から感じていた。この神様はそんなに純粋でも世間知らずでもない。
妖しく、周囲を巻き込みながら、自分の目的に向かって突き進んでいる。
「君は本当に腹立たしいな。僕に惑わされないから」
目を伏せてシロキさんが呟いた。ぞっとするほどきれいだ。
「僕、カドが門と融合して最初に人間の世界に降りた時、生命の神様に会ったんだ。確かに生きていた。美しかった。ただ、美しかった」
作成者が顔を輝かせた。ルキルくんも人間の神様も雷の神様も何か言いかけたが、作成者に時を譲ったようだ。
「シロキ……お前にわたしの神様が姿を現したのかい? 良かった、復活が近いんだ。バラバラの身体を集めるだけの、生きる意志が地上に戻って来たんだ。お前たちのおかげだ。地獄が生命を救ったんだよ」
青白い顔を紅潮させて早口でしゃべる作成者はもう子どものようだ。
「――欠けていたけどね。両手、両足も、片目も心臓も。それでも完全に美しかった。僕はね、あの日から決めている。僕の目を神様に返すこと。自分からガジエアに刺されることなんて怖くない。僕は生命の神様の欠片なんだから」
シロキさんの言葉に被せるようにナイトが強く言った。
「目を返す必要ないだろ。生命の神様だって、死にたがりの人間のせいで修復ができなかっただけで、もう大丈夫だ。自分でどうにかするさ。俺を怖がらせないでくれよ。お前の目が好きなんだ」
シロキさんがもじもじしている。
――なんだよ、決心したようなことを言って、ナイトに気のある台詞を言われると一瞬で揺らいでいるじゃないか。
「君、少し黙ってなよ。ある意味、君が一番の神様殺しなんだから。みんな君のせいでおかしくなっちゃう」
人間の神様が溜息混じりにナイトに言った。
こいつも可哀想だな。何もしてないのにしゃべるなとまで言われるのか。
それをいうなら俺は何もしていないのにシロキさんに嫌われている。何故だかわからないけれど。
しゃがみ込んでカドに触れる。どうしたら良い?
「大丈夫、シロキさんが何かしたら俺が守ってあげる」
床がさざ波を立てて手を包んでくれた。
「ああ、若い炎の悪魔、お前は心配しなくていいんだ。シロキとお前は対になる魂だから、反発しているだけだよ。シロキは昔から子供っぽいんだ」
作成者が目を細める。
こいつもさっきからシロキさんに敵意を露わにされているのに、やっぱり自分が最初に造った神様はかわいいんだろう、声が優し過ぎる――というか、俺とシロキさんが対ってなんだよ。対はナイトではないのか。
そのシロキさんはまた冷たい表情に戻り、アドバンドに手を差し出した。
ファミドすら尻尾をぱたぱたと作成者の肩にぶつけて「気にしてないよ」と言っているようだ。
しかし、そんな柔らかな空気をシロキさんは許さない。
「だったら僕を刺したのは?」
「あれはお前が刺さりに行ったんだろ。忘れっぽいのか」
勝手に恋され嫉妬され続けているナイトが呆れたようにシロキさんを見た。
「それでも避ければ良いじゃない」
シロキさんは引かない。ナイトが更にシロキさんを戒めようとした時、作成者が俺を見た。
「君はどう思う?」
この流れで俺? こいつ俺に何か恨みでもあるのか。
「シロキさんが仕組んでいたんだろう? 最初からそう思っていた。俺たちはシロキさんの思うように誘導されているだけだ」
今度はシロキさんが俺の方を向く。最初に会った時、カドから急に変わった時から感じていた。この神様はそんなに純粋でも世間知らずでもない。
妖しく、周囲を巻き込みながら、自分の目的に向かって突き進んでいる。
「君は本当に腹立たしいな。僕に惑わされないから」
目を伏せてシロキさんが呟いた。ぞっとするほどきれいだ。
「僕、カドが門と融合して最初に人間の世界に降りた時、生命の神様に会ったんだ。確かに生きていた。美しかった。ただ、美しかった」
作成者が顔を輝かせた。ルキルくんも人間の神様も雷の神様も何か言いかけたが、作成者に時を譲ったようだ。
「シロキ……お前にわたしの神様が姿を現したのかい? 良かった、復活が近いんだ。バラバラの身体を集めるだけの、生きる意志が地上に戻って来たんだ。お前たちのおかげだ。地獄が生命を救ったんだよ」
青白い顔を紅潮させて早口でしゃべる作成者はもう子どものようだ。
「――欠けていたけどね。両手、両足も、片目も心臓も。それでも完全に美しかった。僕はね、あの日から決めている。僕の目を神様に返すこと。自分からガジエアに刺されることなんて怖くない。僕は生命の神様の欠片なんだから」
シロキさんの言葉に被せるようにナイトが強く言った。
「目を返す必要ないだろ。生命の神様だって、死にたがりの人間のせいで修復ができなかっただけで、もう大丈夫だ。自分でどうにかするさ。俺を怖がらせないでくれよ。お前の目が好きなんだ」
シロキさんがもじもじしている。
――なんだよ、決心したようなことを言って、ナイトに気のある台詞を言われると一瞬で揺らいでいるじゃないか。
「君、少し黙ってなよ。ある意味、君が一番の神様殺しなんだから。みんな君のせいでおかしくなっちゃう」
人間の神様が溜息混じりにナイトに言った。
こいつも可哀想だな。何もしてないのにしゃべるなとまで言われるのか。
それをいうなら俺は何もしていないのにシロキさんに嫌われている。何故だかわからないけれど。
しゃがみ込んでカドに触れる。どうしたら良い?
「大丈夫、シロキさんが何かしたら俺が守ってあげる」
床がさざ波を立てて手を包んでくれた。
「ああ、若い炎の悪魔、お前は心配しなくていいんだ。シロキとお前は対になる魂だから、反発しているだけだよ。シロキは昔から子供っぽいんだ」
作成者が目を細める。
こいつもさっきからシロキさんに敵意を露わにされているのに、やっぱり自分が最初に造った神様はかわいいんだろう、声が優し過ぎる――というか、俺とシロキさんが対ってなんだよ。対はナイトではないのか。
そのシロキさんはまた冷たい表情に戻り、アドバンドに手を差し出した。
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