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第四章 鳥像の門
嫉妬の影7
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そこにはにはマツリくんとイサリくんの美しい魂が燃えていた。
「また、お願いしてしまっても良いかな。この子たちを、炎の地獄から人間の世界へ戻して。僕が魂に刻んだ以前の姿のままで。この子を思っていた人間にそれと直ぐわかるように。こんなの特例だろうけど、お願いだよ。もう二度と我ままは言わないから」
「シロキさん、これからも永遠に我ままを聞かせてくれよ。神様の願いを叶える悪魔、なんてかっこいいだろ」
そんなことしなくも格好いいくせに、まだ足りないのか。俺がアドバンドになれるまであと何百年かかるだろう。
「はぁ、シロキさんは悪魔たらしだし、本当に鏡の世界で純粋なのはカドだけだね。わたし、お前がいいよ」
勝手に人間の神様が鏡を撫でながら頷いている。カドがまた手元で笑うのがわかる。くすぐったい。
シロキさんと共鳴するはずのカドが、鏡と再融合してから、ずっと楽しそうなのが気になる。あの神様まだ本音を――
「それで、お前はこれから僕が人間の世界に堕とす。極楽からも、地獄からも消してやる。そしてその姿も消す」
シロキさんが作成者に言い放った。
「ん?」
黙っていろと言われたナイトが控えめに一文字、声を発した。
「わたしが人間の世界に降りたら極楽は……」
作成者の声が震えている。さっきからこの人が可哀想でならない。
「僕とカドが支えていてやるよ」
「どういう意味ですか」
ずっと静かだったルキルくんが発した声は少し掠れていた。
「このまま鏡の門を極楽に押し込んで、極楽の中心で支える。僕が熱量を与え続けるし、カドと一つになった門の強度なら難しくないよ」
涼しい顔でシロキさんは言う。
「そんな……シロキさんは、鏡の世界はどうなってしまうんですか」
ルキルくんの頭には極楽も地獄も人間の世界もないのかも知れない。幾度も世界を渡り歩いて来たのだから、この世界なんてその中の一つに過ぎない。それを特別なものに変えている存在がシロキさんだ。
不自然な神様のシロキさんは次の世界には連れて行けない。
「大丈夫、どうせ百年もかからないよ。だから、アドバンドに金と銀の魂を託すんだ。あの少年には約束した通り、あの姿のまま、自然に生きて、自然に死んでもらう。でも生命の神様へは返さない。僕の所に戻ってきて、作成者の代わりに、これからの極楽を支えてもらう。僕は、ただの極楽の留守番だよ。その間、僕の役割をルキルくんに頼んでも良いかな? 魂の運搬だよ。ここまで運んでくれたら、地獄に振り分ける時だけ、門を極楽から降ろす。短時間なら問題ないよ」
「良かった……」
ルキルくんの純粋な安堵の顔につい引きずられそうになるが、いいのか?
「どんなに長くてもあと百年以上は生きないだろ、人間なんて。あっという間だよ」
もう到底神様の言葉とは思えなかった。
「また、お願いしてしまっても良いかな。この子たちを、炎の地獄から人間の世界へ戻して。僕が魂に刻んだ以前の姿のままで。この子を思っていた人間にそれと直ぐわかるように。こんなの特例だろうけど、お願いだよ。もう二度と我ままは言わないから」
「シロキさん、これからも永遠に我ままを聞かせてくれよ。神様の願いを叶える悪魔、なんてかっこいいだろ」
そんなことしなくも格好いいくせに、まだ足りないのか。俺がアドバンドになれるまであと何百年かかるだろう。
「はぁ、シロキさんは悪魔たらしだし、本当に鏡の世界で純粋なのはカドだけだね。わたし、お前がいいよ」
勝手に人間の神様が鏡を撫でながら頷いている。カドがまた手元で笑うのがわかる。くすぐったい。
シロキさんと共鳴するはずのカドが、鏡と再融合してから、ずっと楽しそうなのが気になる。あの神様まだ本音を――
「それで、お前はこれから僕が人間の世界に堕とす。極楽からも、地獄からも消してやる。そしてその姿も消す」
シロキさんが作成者に言い放った。
「ん?」
黙っていろと言われたナイトが控えめに一文字、声を発した。
「わたしが人間の世界に降りたら極楽は……」
作成者の声が震えている。さっきからこの人が可哀想でならない。
「僕とカドが支えていてやるよ」
「どういう意味ですか」
ずっと静かだったルキルくんが発した声は少し掠れていた。
「このまま鏡の門を極楽に押し込んで、極楽の中心で支える。僕が熱量を与え続けるし、カドと一つになった門の強度なら難しくないよ」
涼しい顔でシロキさんは言う。
「そんな……シロキさんは、鏡の世界はどうなってしまうんですか」
ルキルくんの頭には極楽も地獄も人間の世界もないのかも知れない。幾度も世界を渡り歩いて来たのだから、この世界なんてその中の一つに過ぎない。それを特別なものに変えている存在がシロキさんだ。
不自然な神様のシロキさんは次の世界には連れて行けない。
「大丈夫、どうせ百年もかからないよ。だから、アドバンドに金と銀の魂を託すんだ。あの少年には約束した通り、あの姿のまま、自然に生きて、自然に死んでもらう。でも生命の神様へは返さない。僕の所に戻ってきて、作成者の代わりに、これからの極楽を支えてもらう。僕は、ただの極楽の留守番だよ。その間、僕の役割をルキルくんに頼んでも良いかな? 魂の運搬だよ。ここまで運んでくれたら、地獄に振り分ける時だけ、門を極楽から降ろす。短時間なら問題ないよ」
「良かった……」
ルキルくんの純粋な安堵の顔につい引きずられそうになるが、いいのか?
「どんなに長くてもあと百年以上は生きないだろ、人間なんて。あっという間だよ」
もう到底神様の言葉とは思えなかった。
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