324 / 331
第四章 鳥像の門
嫉妬の影9
しおりを挟む
「ナイトが帰って来るまでの間なら、シロキさんの悪魔でいる。それより、俺とならこれからいくらでも遊ぶ時間がある。ナイトと一緒にいなくていいのか?」
振り返りナイトを見ると、人間の神様の肩に顔を寄せていた。シロキさんと同じ顔だった。造形が似ているのを通り越して、目の前のシロキさんと同じ表情でいる。
二人とも、再会したと思ったらまた百年になるかも知れない別れだ。
何だってそれぞれ別の相手にくっついて悲しんでいるんだ。
「何? 痛いよ」
身体が勝手に動き、シロキさんの腕を掴み立ち上がっていた。それだけではなく歩き出していた。
鏡の床を引きづってナイトの前まで連れていく。
「へえ、あなた頼もしいねえ」
ナイトの肩を片腕で支えたまま、人間の神様が目を細めた。
だらしなく座っていても品が良く見えるのはシロキさんとの共通点だ。
「ほら、わたし達にあんんまり気をつかわせないでよ。シロキさん、明日の夜に移動するつもりなんでしょ? あんまり時間ないよ」
「ぐすっ、うん」
本当にぐすっと言ながらシロキさんが顔を上げる。大人っぽい容姿で行動は俺より若く感じる。最初の神様だから、うんと甘やかされて成長したのは明らかだ。
「ナイト、行かないで欲しいけど、お前はその子の魂を最後まで守るのが願いだろ。蜘蛛を助けた男が極楽から堕ちてきた時からずっとそれが変らないお前の願いだ。叶えてあげげたい。だからお願い僕の—―」
涙ぐんでいたナイトが立ち上がり、シロキさんの顔をじっと見た。
氷の目が透きとおって青味を帯びる。シロキさんも言葉を呑み込んだ。
「お前、もしかして……」
そう言ってシロキさんの顔を両掌で包んだ。
「どうして気がつかなかったんだろう」
やっとか――シロキさんの願いも叶うな、そう確信した。
カドと俺と作成者だけが知る、シロキさんの隠したかった気持ち。
その話は、みんなが去った後の鏡の空間でじっくり聞くことにしよう。
ナイトの記憶が嵌って、シロキさんはやっと完成される。作成者がトリプガイドから出した時のシロキさんは未完成の欠片。それでここまで頑張ったのだ。
ナイトが初めて見る表情で、シロキさんを愛おしそうに抱き寄せた。
駄目だ、泣きそうだ。そうだ、カドはどう思っているだろう。何も言わない――。
その時、シロキさんとナイトの周りの鏡がわずかに騒めいて、色を変えた。
シロキさんの魂のような白銀だった鏡が金色を帯びた白にゆっくり変化する。
これは、強いて言えば太陽の色だ。それが手を取っているシロキさんとナイトを包んで丸く形作られていく。
完成されてトリプガイドから取り出される前みたいだ。もっともあれは青の球体だったが。
「太陽みたいだろ? 今の俺にはこれしかできないけど、マツリくんとイサリのくんの魂なら極楽に太陽を造ることもできるのかな」
カドが呟いた。
これからガジエアもトリプガイドも生命の神様に返す。極楽は神様や悪魔を造る場所ではなくなってしまうだろう。
全然悲しくない。マツリくんとイサリくんの魂が造る極楽が楽しみで、百年も待ちきれない気分だ。
「二人ともきれいだね。一つの作品に見える」
「そうだな、間違えて二つにされたみたいだ。夜までこのままにして置いてやるんだろ?」
鏡の門に浮かぶ太陽の中で、溶けるように寄り添っている二人を見てカドに尋ねた。
「うん、俺にだって願いは叶えられるんだよ」
そう言って笑いながら、腕に纏わりついてきた。
ルキルくんも、雷の神様も、人間の神様も、アドバンドも時間が経つのを忘れてその小さな太陽を眺めて過ごした。
振り返りナイトを見ると、人間の神様の肩に顔を寄せていた。シロキさんと同じ顔だった。造形が似ているのを通り越して、目の前のシロキさんと同じ表情でいる。
二人とも、再会したと思ったらまた百年になるかも知れない別れだ。
何だってそれぞれ別の相手にくっついて悲しんでいるんだ。
「何? 痛いよ」
身体が勝手に動き、シロキさんの腕を掴み立ち上がっていた。それだけではなく歩き出していた。
鏡の床を引きづってナイトの前まで連れていく。
「へえ、あなた頼もしいねえ」
ナイトの肩を片腕で支えたまま、人間の神様が目を細めた。
だらしなく座っていても品が良く見えるのはシロキさんとの共通点だ。
「ほら、わたし達にあんんまり気をつかわせないでよ。シロキさん、明日の夜に移動するつもりなんでしょ? あんまり時間ないよ」
「ぐすっ、うん」
本当にぐすっと言ながらシロキさんが顔を上げる。大人っぽい容姿で行動は俺より若く感じる。最初の神様だから、うんと甘やかされて成長したのは明らかだ。
「ナイト、行かないで欲しいけど、お前はその子の魂を最後まで守るのが願いだろ。蜘蛛を助けた男が極楽から堕ちてきた時からずっとそれが変らないお前の願いだ。叶えてあげげたい。だからお願い僕の—―」
涙ぐんでいたナイトが立ち上がり、シロキさんの顔をじっと見た。
氷の目が透きとおって青味を帯びる。シロキさんも言葉を呑み込んだ。
「お前、もしかして……」
そう言ってシロキさんの顔を両掌で包んだ。
「どうして気がつかなかったんだろう」
やっとか――シロキさんの願いも叶うな、そう確信した。
カドと俺と作成者だけが知る、シロキさんの隠したかった気持ち。
その話は、みんなが去った後の鏡の空間でじっくり聞くことにしよう。
ナイトの記憶が嵌って、シロキさんはやっと完成される。作成者がトリプガイドから出した時のシロキさんは未完成の欠片。それでここまで頑張ったのだ。
ナイトが初めて見る表情で、シロキさんを愛おしそうに抱き寄せた。
駄目だ、泣きそうだ。そうだ、カドはどう思っているだろう。何も言わない――。
その時、シロキさんとナイトの周りの鏡がわずかに騒めいて、色を変えた。
シロキさんの魂のような白銀だった鏡が金色を帯びた白にゆっくり変化する。
これは、強いて言えば太陽の色だ。それが手を取っているシロキさんとナイトを包んで丸く形作られていく。
完成されてトリプガイドから取り出される前みたいだ。もっともあれは青の球体だったが。
「太陽みたいだろ? 今の俺にはこれしかできないけど、マツリくんとイサリのくんの魂なら極楽に太陽を造ることもできるのかな」
カドが呟いた。
これからガジエアもトリプガイドも生命の神様に返す。極楽は神様や悪魔を造る場所ではなくなってしまうだろう。
全然悲しくない。マツリくんとイサリくんの魂が造る極楽が楽しみで、百年も待ちきれない気分だ。
「二人ともきれいだね。一つの作品に見える」
「そうだな、間違えて二つにされたみたいだ。夜までこのままにして置いてやるんだろ?」
鏡の門に浮かぶ太陽の中で、溶けるように寄り添っている二人を見てカドに尋ねた。
「うん、俺にだって願いは叶えられるんだよ」
そう言って笑いながら、腕に纏わりついてきた。
ルキルくんも、雷の神様も、人間の神様も、アドバンドも時間が経つのを忘れてその小さな太陽を眺めて過ごした。
0
あなたにおすすめの小説
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
【完結】エレクトラの婚約者
buchi
恋愛
しっかり者だが自己評価低めのエレクトラ。婚約相手は年下の美少年。迷うわー
エレクトラは、平凡な伯爵令嬢。
父の再婚で家に乗り込んできた義母と義姉たちにいいようにあしらわれ、困り果てていた。
そこへ父がエレクトラに縁談を持ち込むが、二歳年下の少年で爵位もなければ金持ちでもない。
エレクトラは悩むが、義母は借金のカタにエレクトラに別な縁談を押し付けてきた。
もう自立するわ!とエレクトラは親友の王弟殿下の娘の侍女になろうと決意を固めるが……
11万字とちょっと長め。
謙虚過ぎる性格のエレクトラと、優しいけど訳アリの高貴な三人の女友達、実は執着強めの天才肌の婚約予定者、扱いに困る義母と義姉が出てきます。暇つぶしにどうぞ。
タグにざまぁが付いていますが、義母や義姉たちが命に別状があったり、とことんひどいことになるザマァではないです。
まあ、そうなるよね〜みたいな因果応報的なざまぁです。
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる