自衛官のスキル【正当防衛】はモンスターにも適用される 〜縛りがエグい異世界行軍〜

鹿

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29 キングとクィーン

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~ラムドールの村『白い雄鶏亭』~

ゼンジたちが大型のブラックヴァンパイアと遭遇した頃、ロックジョー、村長、テープル、リオたち四人は食事をしていた。

「何だと!?何故それをもっと早く言わない!!」

そして、ロックジョーは怒鳴り散らしていた。

「そ、そ、そんなに大変な事ですか?」

テープルは、突然怒り出したロックジョーに面食らい、食べていたパンを吐き出した。

「大変どころの話ではない!!それが事実なら、あいつらは死ぬぞ!」

「えっ!?ど、どうして?ワ、ワイバーンに、角が生えてるだけですよ」

「お前は商人のくせに、そんな事も知らんのか!!角が生えたワイバーンは、ワイバーンキングだ!ワイバーンの上位種だ!!」

「え~っ!!お、雄のワイバーンには、角があるものだと思ったのです!す、すみませんでした!」

「今更遅い!作戦中止だ!リズ!おい!リズベス!ひとっ走り頼む」

ロックジョーは、その場に居ない者の名を呼んだ。

「はぁ。やっぱりそうなるんですね。ゆっくりしてて良いって言ったじゃないですか。はぁ。全く人使い荒過ぎです」

突如、誰も居なかったロックジョーの背後に女性が現れた。彼女は軽装で武器は何も装備していない。

リズベスと呼ばれたその女性は、面倒臭そうに溜息を吐くと、その美しい切れ長の目でロックジョーを見下ろした。

「状況が変わった!ワイバーンキングが現れた!そいつに寄生しているクィーンヴァンパイアが、湖付近に繁殖している可能性がある」

「はぁ。それは大変ですね。Cランクのモンスターじゃないですか」

「クィーンヴァンパイア?」

村長は、初耳であるモンスターの名前をオウム返しする。それにテープルが続く。

「シ、Cランクですか!?ワイバーンと同じではないですか!」

「そうだ。危険度が分かったか!リズ!あいつらに伝えてくれ!作戦中止。直ちに戻るようにと……生きていたらな……くそっ!」

「はぁ。ちょっと行ってきます」

その言葉を最後にリズベスは姿を消した。

「くそっ!見積もりが甘かった!無事でいてくれ」

ロックジョーは、持っていたコップを握りつぶした。

~~~

ー同時刻ー

~蠢きの森 湖畔~

目の前の脅威に全員が震えていた。

「小銃が……効かない……」

「ウォ~ン!耳が聞こえない!キンキンいってる」

人間よりも、聴覚の発達したノックとリッキーは、小銃の発砲音により、耳を塞いで悶えている。

「ゼンジ何をしておるのじゃ!!早く次をハッポウするのじゃ!」

千切れた尻尾のような、巨大なモンスターが起き上がり、ジワジワと開き出した。

中身はブラックヴァンパイアとほぼ同じだった。
しかし、完全に開くと驚くほど大きく感じる。
そして鎌首をもたげると、ゼンジたちの真上に吸盤がきた。
同時に雨が当たらなくなった。

「た、食べられるのじゃ!早くハッポウするのじゃ!」

ポーラの他は状況に追い付けず、声を出す事も出来ない。ただ震えて事の成り行きを見届けている。

「ゼンジ!しっかりせい!あの吸盤を撃ち抜くのじゃ!」

ゼンジは、その言葉で我に返ると空の弾倉を外し、予め出していた弾倉をポケットから取り出した。
しかし手が震えて上手く装着出来ない。

『ゼンジ落ち着け!』

メロンにそう言われるが体の震えは止まらず、小銃と弾倉がカチャカチャとぶつかる音が、その場の雰囲気を更に恐怖に落とし込んだ。

「落ち着け!あいつを倒せるのは、お主しかおらんのじゃ!」

ようやく弾倉がはまると、慌てて真上にある吸盤に向けて発砲した。

だが、吸盤に当たると金属音と共に火花が飛び散り、弾丸が弾かれてしまった。

「き、効かない……くそっ!」

ゼンジは連射に切り替えて、再び真上に射撃を開始した。

「おおおおお!!!」

三発では止めず、全ての弾丸を撃ち尽くした。
しかし発砲音と、弾丸が弾かれる金属音が鳴り響いた。撃ちがらの薬きょうが散乱し、硝煙が辺りに充満する。

そして、クィーンヴァンパイアは、無傷でゼンジたちの上で広がっていた。

「ダメだ!!いや、まだだ!」

空の弾倉を取り外し、弾の詰まった弾倉を手に取った。
その瞬間、ゼンジが持っていた小銃が消えた。

「何!?どうした??MP切れ?まさか正当防衛が発動してないのか?くそっ!!!違う、24時間経過したんだ!」

慌てたゼンジは、衣のうから手榴弾を取り出した。

その時、ゼンジの目の前に黄色い液体が落ちて来た。
ゼンジは恐る恐る上を見上げると、巨大なクィーンヴァンパイアの吸盤が開いていた。

「うわぁ~!これでも喰らえ!」

開いた吸盤の中に、ピンを抜いた手榴弾を投げ込んだ。体内に入ったのを確認し、我に帰ったゼンジは叫び声を上げた。

「逃げろぉ~!!爆発するぞぉ~!」

ゼンジは走り出した。しかし焦りと恐怖で足がもつれて上手く走れない。
5秒間が、先ほどとは違い長く感じた。

5秒後、くぐもった爆発音が聞こえ、巨大なクィーンヴァンパイアは大きく後ろに仰け反った。それと同時に吸盤から黒煙が空へ噴き出た。

「ウォーン!やったか!?」

ノックの放つフラグが、音を立てて美しく立った。

巨大なブラックヴァンパイアの腹部が膨らみ、吸盤から黒煙を噴き出した。が、ただそれだけだった。
再び何事もなかったかの様に、鎌首をもたげた。

「効いてないぞ……効いてないぞぉぉぉ!」

ゴードンの叫び声と共に、巨大なクィーンヴァンパイアが勢い良く倒れ込んで来た。

「やばい……」

「ゼンジ~~!」

見上げるゼンジに、ポーラが叫び声を上げた。

「バレットタイム!」

ゼンジ以外の時間が、止まったように遅くなる。
ゼンジは振り向き走り出した。そして仲間の位置を確認した。

(ゴードンは大丈夫だ。まずはポーラとノックだ。リッキー待っててくれよ!)

すでに走り出していたゴードンは、クィーンヴァンパイアの落下地点から外れていた。
しかしゼンジを励ましていたポーラと、耳を塞いで悶えていたノックとリッキーはゼンジの側にいた。

「耳を塞いでる!聞こえてなかったのか!三人運ぶのは無理だ!」

ゼンジはすぐ近くにいたポーラとノックを両手に抱え、落下地点の範囲外へと走り出した。

(くっ、間に合ってくれ!)

スローで流れる時間は、あっという間に終わり、再び元に戻った。

「バレットタイム!ハァハァ。重すぎる。ノック待っててくれ」

二人を両手に抱えて走るのは限界があり、ノックを置きポーラを抱えて走り出した。

「ハァハァ。バレットタイム!頼む間に合ってくれ!」

ゴードンの隣にポーラを置くと、ノックの元へ急いだ。

「ハァハァ。バレットタイム!ハァハァ」

ノックを抱えると、すぐさま振り向き走り出した。

「バレットタイム!ハァハァ」

クィーンヴァンパイアは、すでに手の届く所まで来ていた。

「バレットタイム!嫌だ!頼む!間に合ってくれ!」

ノックをポーラの隣に置き、今度はリッキーへと向かった。
しかし落下地点の範囲外ギリギリのところで、バレットタイムが切れた。
巨大なクィーンヴァンパイアは、激しい音を立て泥水を巻き上げた。

「バレッ、ぐあっ!!」

ゼンジは、地面に着いたクィーンヴァンパイアに吹き飛ばされた。

地面を転がりポーラたちの前に押し戻された。そして、うつ伏せで止まると顔を上げ、クィーンヴァンパイアを見上げた。

「ハァハァ……嘘だろ……」

「どう言う事じゃ?何故ここにいるのじゃ?何があったのじゃ?」

「くそっ!」

ゼンジは拳を握り、地面に叩きつけた。

ポーラとノックは状況が分からず、瞬きを繰り返した。

「ウォ~ン!そうかゼンジだな!助かった!」

「よし!立て!逃げるぞ!」

ゴードンは後ずさりをしながら叫んだ。

「ウォ~ン。待ってくれ!リッキーはどこだ?」

リッキーがいない事に気付いたノックは、ゼンジを見たが、うつ伏せのまま答えようとはしなかった。

「ゼンジ?リッキーは?……まさか……そんな……何故だ!!」

ノックはクィーンヴァンパイアを睨んだ。すると巨大な窪地を残してゆっくりと起き上がった。しかしその窪地にリッキーはいなかった。

「間に合わなかったんだ……すまない」

「ウォ~ン!どうして俺を助けた!どうしてリッキーを助けてくれなかったんだ!!!」

「助けようとしたんだ……」

ゼンジは、ついさっきまでリッキーが立っていた場所を見たが、そこにはやはり何も残っていなかった。周りの雨水が窪地に流れ込み、巨大な水溜りとなっていく。

「ウォォォォン!!リッキーーーー!!!」

「何やってるんだ!早く逃げるぞ!森に入れば何とかなるはずだ!このままじゃ全滅する!」

ゴードンが叫んだ直後、気怠そうな女性の声が聞こえた。

「はぁ、その通りよ。聞いていた人数よりも一人少ないけど、四人残ったのならマシな方だわ」

突如現れた女性に驚くゼンジたちであったが、ゴードンが嬉しそうに叫び声を上げた。

「リズベスさん!ここにいらしたと言う事はギルドマスターも?」

「はぁ。違うわ、私だけ。ギルドマスターの言葉を伝えるわね。作戦中止!直ちに戻れ!はぁ、立ちなさい死にたくなければね」

「聞いたかゼンジ!さっさと立て!ギルマスがいないなら無理だ!逃げるぞ!」

「嫌だ!リッキーの仇を討つ!みんなは先に逃げてくれ!」

泥だらけのゼンジは立ち上がり、衣のうから手榴弾を取り出し次々と投げ出した。そして小銃を出現させると安全装置を『レ』に切り替え、ブラックヴァンパイアに照準を合わせた。

「自分は残る。さあ、早く行け!」

「はぁ。それは無理だわ。この子はクィーンヴァンパイアと言って、ブラックヴァンパイアの上位種なの。はぁ。今の貴方たちには太刀打ち出来ないわ。もちろん私もね」

「うるさい!うわあああああああ!!!」

ゼンジは引き金を引き、全ての弾丸を撃ち尽くした。それと同時に、全ての手榴弾も爆発した。

しかし無常にも無傷のクィーンヴァンパイアが、ゆっくりと近付き始めた。

(女神様、こちら自衛官、
完全に自分の失敗です。どうぞ)
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