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しおりを挟む「わかんない」
全然わからない。
好きっていうのは・・・兄貴とかチカラさんとか・・・ヨーグルトの上のイチゴとか。
渋木さんにそんな気持ちが沸いたことが一度でもあっただろうか?
ただ、怖くて。
あの存在が怖くて・・、なのに、あんな怖い人がオレの前に跪いて・・・オレを好きだって言って・・・オレは・・・。
気持ちよくて。
ただ、気持ちよくて・・・。
「ワカ、今、オレとキスして・・・どうだった?」
チカラさんがオレの顔を覗き込んでくる。
「・・・ドキドキした」
ベッドに押し倒されたことを思い出して、思わず胸を押さえた。
「今は?」
「今は・・平気・・・」
至近距離でチカラさんの顔が、そっか、と笑って離れた。
「渋木はね、仕事が忙しくて、先に事務所に戻ったんだ」
「そっか・・・」
「ワカ、これ、王に持ってってくれる?」
差し出された本を持って、オレは兄貴の部屋へと向かった。
「これは・・・王の言ってた通りかもな・・・」
机によりかかって、ワカの出て行ったドアを睨んで、腕を組む。
ワカは、まだ恋をしたことがないって。
恋をしないうちに、ただ気持ちいいことを知ってしまった。
だから、相手は誰でも構わないはずだ。
ただ、好きだって囁いて、自分の欲しいものをくれる人間なら、誰だって一緒だ。
快感しか知らないんだ。
今は、それをくれた相手のことを気にするだけだろう。
「どうするよ王様・・・」
兄貴の部屋に行くと、もう兄貴も荷物もなかった。
ただ、備え付けの家具だけが残されていた。
なんとなく、部屋に入ってみて、ベッドにそのまま倒れこんでみた。
さっきのキスを思い出してみる。
ドキドキした。
ベッドに押し倒されて、渋木さんがフラッシュバックした。
眼を瞑れば、今にもそこに渋木さんがいて、オレを犯そうとする。
腕を縛られて、服を脱がされて、しゃぶられた。
思い出してゾクゾクしてくる。
あれから自分で触ってもいない。
そっと、服の上から撫でてみた。
少しずつ、熱が集まってくる。
ダメだとわかっているのに、やめられなかった。
そう、さっきのキスで体にスイッチが入ってしまっていた。
そのタイミングで、兄貴が部屋に戻って来た。
「ワカ・・お前、なにこんなとこで寝て」
オレの顔を見て、兄貴の声が止まる。
「王ちゃん」
兄貴は困ったような顔をしてた。
でも、すぐにドアの方へ戻った。
出て行くのかと思ったら、カチッて音がした。
鍵を閉めたんだ。
それで、オレはその時どう思ったか?
許してくれるんだって思ったんだ。
こんなオレを、こんな頭のおかしくなった弟を、許してくれるんだって・・・。
兄貴はベッドまで歩きながら服を脱ぎ捨てた。
オレを仰向けにさせて、キスした。
「おうちゃ・・・」
「ワカ・・・んな顔しやがって・・・!!」
深く噛みあわされた唇。
口の中いっぱいに兄貴の厚めの舌が入ってきた。
渋木さんと全然違う舌使いに、恥ずかしくなってくる。
王ちゃんは渋木さんの代わりになんかならないのに・・・!
オレは何を王ちゃんに求めて・・!!
ハズカシイ・・・!!
オレは発情して・・・兄貴に助けを求めて・・・
「あぁっ・・・王ちゃん・・・」
兄貴の舌が首筋から乳首まで動いた。
自分が飴みたいに食べられてるみたいだった。
強く吸われて、乳首が痛くなる。
そこを軽く噛まれて、指先で押しつぶされた。
「や・・・イタイ・・・王ちゃんっ」
「このくらいで痛がるんじゃねえよ・・・」
兄貴の笑い声が聞こえて、一気にジーンズを引き摺り下ろされた。
曝け出されたチンポをギュッと握りこまれて、腰が跳ねる。
「ワカ・・・どうされたいんだよ?え?このワガママ若様」
兄貴の手が上下して、オレはベッドのシーツを握り締めた。
「っ・・・な、舐めて・・搾り出して・・王ちゃん」
すぐにチンポが熱い粘膜に包まれる。
兄貴の息遣いが直に伝わってくる。
兄貴に触れられてるところ全部が熱かった。
「あぁ・・・っ」
欲しかった。
王ちゃんが欲しかった。
我慢できずに、自分で穴に指を入れた。
触ると、少しずつ体も感覚を思い出したのか、ヒクヒクと動いた。
王ちゃんの唾液が垂れて、開いた穴に滴る。
指が第一関節を飲み込むと、ビチッと締まってしまった。
その手を王ちゃんの手が押さえた。
指は中から出されて、王ちゃんの口の中に吸い込まれた。
それからオレの指をベロベロに舐めて、自分の指も添えて、穴の中へ押し入れてきた。
ズルッと第一関門を抜けた指が入ってきた。
「あ・・・っっ」
体が反る。
指を押し込みながら、王ちゃんはオレを舐めて扱いた。
指が何かを探して激しく中を動いた。
「だ・・め・・・もぉ出ちゃ・・・っ」
言った瞬間にチンポを動かす手に力が込められた。
「ハッ・・・・くぅっ・・・!」
爆ぜた、と同時に、オレは王ちゃんに犯されていた。
王ちゃんは口元を拭いながら、一突きに入れた腰を揺らす。
渋木さんの何倍かって圧が自分の中に入れられていた。
「あぁ・・・裂けちゃう・・・こんな・・・ムリ・・・」
兄貴はオレの手と、しっかりと指をかみ合わせるように繋いでから腰をゆっくり引いた。
「わがままな若様だ・・・」
ズルッと音がした。
「ヒッ・・・」
突き上げと一緒に腰が飛び上がりそうだった。
「や・・・うそ・・・」
快感に頭がおかしくなりそうだった。
一突きされる度に、チンポが揺れた。
タラリと白い涎を流しながら、真っ赤な口をオレに開いて見せていた。
「あぁ・・・きもちいい・・・いい・・・」
「ワカ・・・シてやるから・・・お前が欲しかったら、いくらでも・・・シてやるからッ」
深く体を折られて、自分の中に兄貴の太いチンポが入ってるのが見えた。
「すごい・・・すごいよ・・王ちゃん、あぁっ」
ずっとイキっぱなしだった。
頭がボーとする。
体が自由にならない。
股間が熱くて、まるで、熱いお酒でも注がれてるみたいだった。
ただ、打ち付けられる腰の動きの反動で体が動いてた。
チンポ以外は。
だって、チンポはオレが王ちゃんにヤられてる間ずっと、ビクビクと動いて、白い粘液を吐き出していたから。
「きもちいぃ・・・」
そうして、オレは意識を手放してしまった。
時間にして、それはたった30分の出来事だった。
兄貴は服を着ると、何事もなかったかのような顔でオレを連れて、皆が待つ車に乗った。
目を瞑る。
強烈な快感が襲ってくる。
体が壊れてしまったみたいに、終わってもずっと勃起してた。
渋木さんと、
「ぜんぜんちがう・・・」
「ん?」
呟くと、兄貴が口の端を上げてオレを見下ろしていた。
それから2週間して、オレの前に渋木さんが現れる。
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