白薔薇を唇に

ジャム

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「矢島・・嫌い!お前、キライ!もうヤダっもう、シない・・!」
蘭が軽口にした最大級の拒絶の言葉に、矢島の表情が固まった。
「そうですか・・坊ちゃん。すごく、残念ですよ・・。坊ちゃんのココに這入りたくて、オレのモノがこんなに硬くなって・・ほら、触って下さい。坊ちゃんの中に挿れて貰えると思って、こんなになってるのに」
無理に掌の中へ握り込まされた矢島の熱い肉塊に驚き、蘭は顔を真っ赤にして手を引っこめようとするが、
「ちゃんと触って」
と、矢島に諫められ、蘭はおっかなびっくり矢島の張り詰めた凶器を握りしめた。
その滑らかに張り詰めた皮膚の下には、黒にも近い血管があからさまに脈打ち、ぶっくりと浮き出ている。
他人のモノを、それもこんな状態のものに触れたのも初めての蘭は、その掌の中の熱にどうしていいのかわからず、頭に血が昇って目眩を起こしそうになった。
その手の上から、矢島の手が重ねられ、ゆったりと上下に動かされる。
「ね?坊ちゃんに絞り出して貰いたくて、パンパンに膨れてるでしょう?坊ちゃんの中に、出したくて・・」
と、矢島は蘭の、まだ柔らかな胸の突起に唇を押し当てると、そこを強く吸った。
「アッ・・」
「坊ちゃんの中へ、這入りたい。坊ちゃんの中へ出したい・・。オレの種を坊ちゃんに植え付けたい・・」
と、呟きながら、矢島は蘭の尻の狭間を指で貫いた。
「ヒャッ・・!や、じま・・っあ、あ、まって・・まって・・っ」
長い指で蘭の肉壁を押し広げていき、矢島は蘭の乳首を口の中で転がす。
「やじまっやめろ・・っやだ・・っそれ・・っ」
蘭が矢島の髪を掴んで、そこから引き剥がさせようとするが、そんな事は構わずに矢島は滑りの良くなった指で蘭の中を掻き回し、あるだろうモノを探し出す。
「や、やだあっ矢島ってば・・やだあ・・っそこ、ヤあ・・!」
探り当てたモノを、やさしく指の腹で押してやれば、蘭の細い腰が面白いように跳ねた。
「ダメっダメっしちゃヤだ・・あ!」
蘭の懇願を無視し、矢島は執拗に一点を攻めた。
「う・・っんっあ、あ、・・んっんんッだめっ矢島っ・・矢島・・!矢島あ!」
「なんですか?」
答えながら、ぐちょぐちょと蘭の腹の中を指で掻き回す。
「指・・っだめっあ、ああっダメ・・!」
「ああ、物足りなくなっちゃいましたか」
そう言って矢島がもう1本指を増やす。
肉の輪を2本の指先が縦に広げるように割り、指先で入り口の内側を円を描くように撫で廻して、ようく解していく。
矢島の太い指が3本でも難なく潜り込めるくらいに弛ませ、充血して硬くなった男性器で中が傷付かないよう、丁寧に肉襞をなぞり上げていく。
中を擦られる快感に、蘭は目をギュッと閉じて顔を振って身悶えた。
「う、あ・・っ矢島・・だ、め・・」
股の間で矢島の指を3本根元まで捩じ込まれ、蘭の膝が、矢島を挟むようにガクガクと痙攣した。

だが、まだ浅い・・。

矢島は更に指を深く蘭の腹の中へと沈め、そこから指の腹で肉襞を撫でながら抜き差しする。

もっと、もっと、拓いて、オレを欲しがるように・・。

矢島は蘭が簡単に達しないように、蘭の勃起の首を押えた。
それすら蘭にとっては衝撃で、蘭は身体を撓らせて喘いでしまう。
もう何度も、矢島に身体を貫かれてイク事を覚えた蘭の身体は、指から快感を得られる事も知っている。
だが、それを矢島はあと一歩のところで、与えない。
何度も何度も内壁を磨り上げ、襞を欲情させ、もっと強い刺激に飢えさせる。
快感にシビレ、朦朧とする蘭の膝が自然に開く。
脱力し、オレの為すが侭に、身体を委ねる気だろう。
だが、それだけでは、与えない。
オレを嫌いだと、拒絶した事を、心から後悔して貰わなければーーー。
それこそ、自分から挿れて欲しいと言えるように・・・!
言葉にするまで、与えない。
その、つもりだったのに。
それがーーー、
「だいすき・・っ矢島、大好きぃ・・っあ、ああ・・っ矢島あ・・好きだよぉっ」
と、蘭が啼き、今にも爆発寸前の身体を自分に拓いて、腰を揺らめかして淫れている。
そんな蘭の姿に、矢島は急いでベストもYシャツもネクタイもスラックスも、5秒で全てを脱ぎ去り、蘭の膝を掴んで、尻の狭間の小さな緋肉の入り口に自分の欲棒を一息に突き刺していた。
「あああ・・っ矢島っア・・アアッ」
「すみませんでした・・っ坊ちゃん、すみませんっ」
矢島に貫かれた瞬間、蘭は意識を飛ばし掛けながら絶頂へ達し、白濁を自分の胸に腹に噴上らせた。
「坊ちゃん、・・蘭、蘭・・好きだ・・蘭・・っ」
おねだりの仕方を知らなかった蘭は、精一杯我慢した。
いや、我慢するしか無かった。なぜなら、全ては矢島次第で、蘭はいつだって受け身だったのだから、何をどうしたらいいのかわからない蘭は、矢島に与えられるものを、ただ素直に甘受するしかなかったのだ。
矢島の意地の悪い手管に翻弄されて、極限状態。
苦しい程に、欲しかっただろう矢島の熱を、蘭はどう強請ればいいのかわからず、熱くなる身体をどうする事も出来ずに意識を飛ばしかけていた。
それが、蘭にとって、どれ程の苦痛だったか。
蘭の身体は、一度には大量の精を吐き出せないが、矢島に突き上げられる間、少しずつ何度も達してしまう。
その回数たるや、矢島が1度果てるまでに、軽く片手を数えられる。
そんな蘭が、イキたくてもイケナイ状態に長くされれば、意識朦朧としてもおかしくない。
おねだりをする、という発想が無い蘭にとって、お預け程辛いお仕置きは無かっただろう。
それが、わかっていながら、矢島はつい蘭を虐めてしまった。
もっと蘭から欲しいと言わせたい。
もっと自分を強く求めて欲しい。
そんな欲求から出た、矢島の安易な苛虐心が、蘭を酷く追詰める結果となってしまった。
「矢島ぁ・・っお腹・・痛い・・、重くて・・痛いぃ・・」
一度に大量の精を吐き出せない蘭にとって、長く焦らされる事は実際に苦痛となる。
矢島は、浅はかな自分の愚行に舌打ちした。
早くこの痛みから蘭を解放してやらなければ、蘭は、きっと行為自体に恐れを抱くようになってしまうだろう。
本来なら、極上に甘く蕩けて、華が開くような快感を植え付けるつもりが、その真逆の行為になる所だったのだから、矢島は慌てるしかなかった。
「今、治してあげます。全部出せば楽になれます。我慢しないでいい・・。蘭、我慢するな。好きなだけイっていいんだ・・蘭。好きなだけ抱いてやる。いくらでもシてやるから」
「あ、矢島・・っあ、んっんっああっ・・っ」
すぐに矢島の言葉通りに、身体を震えさせて、蘭は塞き止めていたモノを弾けさせた。
「痛いか?」
矢島に聞かれて、蘭は首を横に振った。
「気持ちいい・・。矢島の・・熱い・・すごく、熱い・・」
「もっとシてやる。空になって、泣くなよ?」
そう矢島が蘭の唇に唇を合わせた。
蘭は、矢島の唇を受けて、柔らかく微笑む。
「もう泣いた・・。しあわせで・・涙、出た」
と、自分の手の甲で目元を隠す。
その掌に、矢島は口付ける。
まるで、自分をその手で撫でてくれと、甘えるような矢島の仕草に、蘭は愛しさに目を細めた。
「矢島・・好き。大好き・・」
蘭の言葉に、矢島は目の前が眩んだ。
この一言を聞くためなら、自分はきっと何でもする。
何だって出来るだろう。
「愛してる・・蘭。オレは、お前のものだ。オレの命は、お前のものだ」
その告白が、蘭に届いていたかは定かではない。
その後、失神しかける蘭を起こしては、射精を促し、なんとか蘭の精液の殆どを絞り出せるだけ絞り出すと、矢島は自分の腕の中で眠りに落ちた蘭を、背中から抱き締めた。

もっと蘭が感じるセックスをしよう・・。
もっと、気持ちよくイケるセックスをしてやろう・・。
大事に、壊れないように、セックスが嫌いにならないように・・。
自分を好きになって貰えるように・・大事に抱こう。

そう心に誓って、矢島は蘭の寝顔にキスを落としたのだった。





と、いう訳で、明け方近くまで身体を繋げていたせいで、次の日、目が覚めたのもすっかり日が昇った昼近くだった。
「坊ちゃん、包帯を代え終わったら、水を飲ませてくれますか?」
「ええっ・・な、なんで・・!?」
やっとのこと包帯を代え終わった蘭は、矢島の腹の上から退こうと、膝立ちになった。
「なんでって、オレは起き上がれないんですから・・寝てたら飲めないでしょう?口移しで飲ませてくれないと」
普段、矢島はめったに笑わない。
組事務所に居る時は当然、ニコリともしない。
そんな矢島が、にっこりと口の端を引き上げ、目を細めている。
「水の後は、ここに来て下さい。偶には、オレが坊ちゃんの爪を切ってあげますよ」
と、矢島は起き上がれないと言いつつ、背中にクッションを入れて、自分の胸元へ蘭を誘う。
「え・・、いいの?」
「いいですよ。やって貰うばかりじゃなくて、ちゃんとお返しもしないとダメなんですよ」
ね?と、矢島に手を取られ、蘭は頬を染めた。
まだまだ甘えたがりの恋人は、矢島には可愛くて仕方がない。

とは言え、暫くは。
ケガをネタに、蘭は矢島からの様々な要求に答えなければいけないだろう事は、火を見るよりも明らかだった・・。

それが、極道をその身に受け入れた蘭の宿命ーーー
だが、蘭には魔法の言葉がある。
その使い方さえ間違えなければ、きっと、どんなすれ違いや、思い込みや、妬き持ちを灼いたとしてもーーー矢島は、蘭の虜になってくれる。


「坊ちゃん。あとで体洗わせて下さいね」
「え!?、それ、逆じゃないの・・?」
「坊ちゃんに洗われたら、足の傷に響きますから」
「え!、お、オレ、ちゃんとやさしくやるよ?;」
「いえ、響きますから」(にっこり)
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