18 / 38
第十八話
しおりを挟む
ポーション問題を解決したユーゴはキャティナからもらった魔物の資料を改めて確認するため、自宅に戻っていた。
「しかし、見れば見るほど詳細に書かれているな。これはまるで……ゲームの攻略本みたいだ」
街を中心とした周辺の地図があり、近隣の森や山などが記されている。
それらは別の資料では各場所ごとの地図が記されている。
さらには、生息する魔物の難易度、特徴、弱点などが書いてあり、イラストまである。
とれる素材や、その素材の使い道まで書いてあるのを見た時は、ユーゴも驚いてしまった。
「これを自分の足で調べて、自筆でまとめたとはな……しかも、これを活用するやつがいないなんて……」
これをまとめたキャティナに驚き、これが他の者に認められていないことに呆れる。
「とにかく、これがあれば素材集めも簡単にできそうだ」
データをもとに魔物を倒して、素材を集める。現実のファンタジーな世界と、地球でプレイしていたゲームとがリンクした感覚はユーゴを自然と笑顔にさせていた。
賢者としてのユーゴは、勇者の仲間として数多くの魔物や魔族を倒してきたが、それらはあくまで使命だった。
今のユーゴはゲームという存在を知っており、魔物を倒すことで色々なものが手に入ったり経験が増えたりすることもわかっている。
「改めてそんな知識があると……ワクワクする!」
鍛冶師であり、学生であり、賢者でもあるユーゴ。それらがまじりあうことで、知っていることですら新しい感覚で楽しめていた。
その日は、夜遅くまでキャティナの資料を確認しており、明日の出発をいまかいまかと楽しみにしていた。
「はっ……寝てた」
目を覚ましたのは窓から朝日が差し込んできたころだった。
資料を見ていたユーゴは、いつの間にか寝落ちしていたらしく、資料を散乱させたままベッドの上にいた。
「ふう、起きるか」
ユーゴは一つ大きく息を吐くと起きることを決め、散乱している資料を空間魔法でしまいながら身支度を整えていく。
今日の目的地は資料にあった街の北東の山になる。
山では、木の実などの素材、山にしかいない魔物の素材など目標にするものがいくつもあるため、今のユーゴにはうってつけの場所だった。
ユーゴの作ったポーションが売れた。武器も売れた。
しかし、元となる素材が乏しいため、今後色々なものを作るにおいてはとにかく様々な素材が欲しい。それがユーゴの考えだった。
一旦街へと向かうユーゴ。
いつもの通りの魔法で街に到着すると、中には入らず城壁に沿って移動していく。そして、北門前に到着するとそこから北東の山に向かって行った。
周囲に人がいないのを確認すると、一気に魔法で飛んでいくユーゴ。
到着するのに、さほど時間はかからなかった。
「さて、この岩山なら色々素材が手に入りそうだな」
キャティナの資料では、岩石系、鉱物系の魔物が多くいるとのことだった。
それらの魔物は表皮が特別な岩や鉱物に覆われており、倒すことでそれらを素材として手に入れることができる。
その情報を頼りにユーゴは山に足を踏み入れた。
しかし、キャティナの資料の中でこの山だけはやや情報が古いことにユーゴは気づいていなかった。
山頂へと向かう道中では、情報にあったとおり、表皮が強固な岩で覆われている猪ロックボア。
燃える石の羽を持つフレイムロックバード。金属を食べることで、肉体が強化されているメタルウルフ。
これらの魔物が次々に襲い掛かってくるが、事前に手に入れていた情報を活かし、ユーゴは魔法を駆使してあっさりと撃破していく。
ここまでは想定の範囲内だった。
しかし、山頂に到着したところでユーゴは強い気配を感じ取る。
「……こんなに近くに来るまで気づかなかっただと?」
地面が大きく揺れ、気配の正体が姿を現す。
『GOOOOOOO』
雄たけびと共に姿を現したソレら。
「こいつは壮観だ」
山頂はソレらで埋め尽くされていた。
「メタルロックデーモン。まさかこんな場所で出くわすことになるとはな……」
賢者の記憶にある魔物。
名前の通りメタル=金属が身体に含有されている。ロック=硬い岩で表皮が覆われている。デーモン=悪魔と言われる種で、魔界と呼ばれる場所で生息している魔物である。
「ここと相性がよかったのか、誰かが道を作ったのか。なんにせよ、放置はできないな。”穿て、氷の槍”」
氷魔法を一番近くにいるメタルロックデーモンへと放つ。
『GAAA!』
氷の槍が突き刺さり、声をあげるメタルロックデーモンだったがそれを自らの手で抜きさる。
「凍りつく前に引き抜いたのか……これはこれは、なかなか強い」
強いと評するユーゴだったが、焦る様子はなくむしろ余裕たっぷりの態度である。
『GUOOOOOOOOOOOOO!!』
ユーゴの攻撃が大したものではないと判断したメタルロックデーモンたちは、一斉にユーゴに向かってきた。
「そんな単調な動きじゃ……俺はやれないぞ?」
そう口にしたユーゴの姿は空中にあった。
メタルロックデーモンのうちの何体かは近場の岩を持ち上げてユーゴめがけて放り投げる。
しかし、それはユーゴに触れる前に見えない壁にぶつかってバラバラに崩れ去った。
「その判断はいい。いいが、威力が弱いのと相手が悪かったな」
ユーゴは自らの周囲に障壁を張って、攻撃を全て防いでいた。
「さて……”降り注げ、神の怒り!”」
手を掲げると、ユーゴの周囲から雷が生み出されメタルロックデーモンを貫いていく。
メタルロックデーモン身体のどこかにある核を確実に打ち抜いていた。
声も出せないほど一瞬のうちに弱点である核を破壊されたメタルロックデーモンたちは、その場でバタバタと倒れていく。
「――俺の魔法もまだまださび付いちゃいないみたいで安心したよ」
全ての魔物が倒れたのを確認したユーゴは地上に戻る。
「しかし、見れば見るほど詳細に書かれているな。これはまるで……ゲームの攻略本みたいだ」
街を中心とした周辺の地図があり、近隣の森や山などが記されている。
それらは別の資料では各場所ごとの地図が記されている。
さらには、生息する魔物の難易度、特徴、弱点などが書いてあり、イラストまである。
とれる素材や、その素材の使い道まで書いてあるのを見た時は、ユーゴも驚いてしまった。
「これを自分の足で調べて、自筆でまとめたとはな……しかも、これを活用するやつがいないなんて……」
これをまとめたキャティナに驚き、これが他の者に認められていないことに呆れる。
「とにかく、これがあれば素材集めも簡単にできそうだ」
データをもとに魔物を倒して、素材を集める。現実のファンタジーな世界と、地球でプレイしていたゲームとがリンクした感覚はユーゴを自然と笑顔にさせていた。
賢者としてのユーゴは、勇者の仲間として数多くの魔物や魔族を倒してきたが、それらはあくまで使命だった。
今のユーゴはゲームという存在を知っており、魔物を倒すことで色々なものが手に入ったり経験が増えたりすることもわかっている。
「改めてそんな知識があると……ワクワクする!」
鍛冶師であり、学生であり、賢者でもあるユーゴ。それらがまじりあうことで、知っていることですら新しい感覚で楽しめていた。
その日は、夜遅くまでキャティナの資料を確認しており、明日の出発をいまかいまかと楽しみにしていた。
「はっ……寝てた」
目を覚ましたのは窓から朝日が差し込んできたころだった。
資料を見ていたユーゴは、いつの間にか寝落ちしていたらしく、資料を散乱させたままベッドの上にいた。
「ふう、起きるか」
ユーゴは一つ大きく息を吐くと起きることを決め、散乱している資料を空間魔法でしまいながら身支度を整えていく。
今日の目的地は資料にあった街の北東の山になる。
山では、木の実などの素材、山にしかいない魔物の素材など目標にするものがいくつもあるため、今のユーゴにはうってつけの場所だった。
ユーゴの作ったポーションが売れた。武器も売れた。
しかし、元となる素材が乏しいため、今後色々なものを作るにおいてはとにかく様々な素材が欲しい。それがユーゴの考えだった。
一旦街へと向かうユーゴ。
いつもの通りの魔法で街に到着すると、中には入らず城壁に沿って移動していく。そして、北門前に到着するとそこから北東の山に向かって行った。
周囲に人がいないのを確認すると、一気に魔法で飛んでいくユーゴ。
到着するのに、さほど時間はかからなかった。
「さて、この岩山なら色々素材が手に入りそうだな」
キャティナの資料では、岩石系、鉱物系の魔物が多くいるとのことだった。
それらの魔物は表皮が特別な岩や鉱物に覆われており、倒すことでそれらを素材として手に入れることができる。
その情報を頼りにユーゴは山に足を踏み入れた。
しかし、キャティナの資料の中でこの山だけはやや情報が古いことにユーゴは気づいていなかった。
山頂へと向かう道中では、情報にあったとおり、表皮が強固な岩で覆われている猪ロックボア。
燃える石の羽を持つフレイムロックバード。金属を食べることで、肉体が強化されているメタルウルフ。
これらの魔物が次々に襲い掛かってくるが、事前に手に入れていた情報を活かし、ユーゴは魔法を駆使してあっさりと撃破していく。
ここまでは想定の範囲内だった。
しかし、山頂に到着したところでユーゴは強い気配を感じ取る。
「……こんなに近くに来るまで気づかなかっただと?」
地面が大きく揺れ、気配の正体が姿を現す。
『GOOOOOOO』
雄たけびと共に姿を現したソレら。
「こいつは壮観だ」
山頂はソレらで埋め尽くされていた。
「メタルロックデーモン。まさかこんな場所で出くわすことになるとはな……」
賢者の記憶にある魔物。
名前の通りメタル=金属が身体に含有されている。ロック=硬い岩で表皮が覆われている。デーモン=悪魔と言われる種で、魔界と呼ばれる場所で生息している魔物である。
「ここと相性がよかったのか、誰かが道を作ったのか。なんにせよ、放置はできないな。”穿て、氷の槍”」
氷魔法を一番近くにいるメタルロックデーモンへと放つ。
『GAAA!』
氷の槍が突き刺さり、声をあげるメタルロックデーモンだったがそれを自らの手で抜きさる。
「凍りつく前に引き抜いたのか……これはこれは、なかなか強い」
強いと評するユーゴだったが、焦る様子はなくむしろ余裕たっぷりの態度である。
『GUOOOOOOOOOOOOO!!』
ユーゴの攻撃が大したものではないと判断したメタルロックデーモンたちは、一斉にユーゴに向かってきた。
「そんな単調な動きじゃ……俺はやれないぞ?」
そう口にしたユーゴの姿は空中にあった。
メタルロックデーモンのうちの何体かは近場の岩を持ち上げてユーゴめがけて放り投げる。
しかし、それはユーゴに触れる前に見えない壁にぶつかってバラバラに崩れ去った。
「その判断はいい。いいが、威力が弱いのと相手が悪かったな」
ユーゴは自らの周囲に障壁を張って、攻撃を全て防いでいた。
「さて……”降り注げ、神の怒り!”」
手を掲げると、ユーゴの周囲から雷が生み出されメタルロックデーモンを貫いていく。
メタルロックデーモン身体のどこかにある核を確実に打ち抜いていた。
声も出せないほど一瞬のうちに弱点である核を破壊されたメタルロックデーモンたちは、その場でバタバタと倒れていく。
「――俺の魔法もまだまださび付いちゃいないみたいで安心したよ」
全ての魔物が倒れたのを確認したユーゴは地上に戻る。
2
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界の社交界で、自分の幸せを選べるようになるまでの
ほのぼの甘い逆ハーレム恋愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる