2 / 25
2.聖女と王子のすれ違い【王子視点】
しおりを挟む
僕が九歳の時だった。
僕は、婚約をすることになった。
なんと、『神託』を受ける聖女様と婚約することになったのだ。
聖女の名はソフィア。
僕より一歳年上だった。
年齢が近い息子、つまり僕がいたことを王も……女王も……つまり、僕のお父さんもお母さんも喜んでいた。
僕も、あの愛らしい姿の少女とやがて結婚すると考えると嬉しくなった。
「やぁ、ソフィア」
王宮の庭でソフィアは、羊皮紙に向かって何か書き物をしていた。また神託があったのかもしれない。
聖女は神託によって、人知を越えた知識を神様から授かる。
それは大変なことであると簡単に想像することができた。王国にとっても、神託を受けることは名誉なことであり、国が豊かになるということだ。
神託を受ける。
ソフィアは、羊皮紙に向かいながら、ときどき頭を抱えたり、難しい顔をして空を見上げたりしている。
神託というのは、錬金術師たちでさえ考えもしなかったことを実現させる。僕も将来、王様になるために、家庭教師から難しい本を読まされている。
それよりも、ずっと、ずっと、きっと聖女は大変なのだろう。
「どうされたのです? 王子」
ソフィアが机の上の羊皮紙から顔を上げた。
年齢が1歳上なだけだとは信じられないほど大人びた、僕の愛しいフィアンセだ。
王様や神官、錬金術師たちから、神託を受けているときには邪魔をしてはいけないよ、と言われていた。
だけど、僕は我慢することができなかった。ソフィアと話したり、街に遊びに行ったりしたかった。
異国の商人が来た時に、珍しい品物があった。ソフィアにプレゼントしたらきっと喜ぶとおもった。
「これを見てくれ!」
両手で後ろに隠していたプレゼントをソフィアに差し出した。
異国から輸入された珍しい品物だ。紫や赤色、青色と沢山の鮮やかな色があり、世界中の宝石を集めたようだ。
「ソフィア……これは異国の珍しい品で————」
「ガラス玉? おはじき……ですか?」
驚き、喜んでくれると僕は思っていた。
ソフィアは悲しそうな目で、僕の掌の上を見つめている。
ソフィアはこの透明な物のことを知っているらしい。
「おはじき遊びをされたいのですか? もしよろしければご一緒いたしますが……」
異国の珍しい品の正体を一瞬で見破られた。それに……おはじき遊び? それはどんな遊びだ? 分からない……。
「ち、ちがうんだ。こ、これは……」
「あっ」
ソフィアはハッとした後、悲しい顔をした。顔に涙を溜めていた。
「申し訳ありません……このおはじきを造る技術……改良していけば、このようなコップや……平らで大きなガラスの板を造れば建物の窓にも使えて、部屋の中に効率よく太陽の光を採り入れることができるのですが……。私には、ガラスの製法はおろか、ガラスを造るための材料もわからないのです。申し訳ありません、王子。ガラスに関わるような『神託』はきっと、私には降りないでしょう」
ソフィアはそう言って、顔をしわくちゃにした。
今にも泣きそうな顔だった。
僕にはソフィアが何を言っているのか分からなかった。
ただ、僕が分かったのは、僕はソフィアを悲しませてしまったということ。そして、ソフィアは僕が『神託』を要求したと思ったということだ。
違うんだ……。
僕は君を悲しませようと思ったんじゃない。ただ、君にプレゼントを渡したくて。
君の喜んだ顔が見たくて。
僕はどうしたら良いのか分からなくなって、庭から逃げ出してしまった。
ソフィアを悲しませたガラス玉。
僕も持っていたくなかった。だから、たまたま王宮に来ていた貴族の娘に何の気なしに渡した。
『こんなに珍しい品を下賜してくださるなんて』
花咲くような笑顔でその貴族令嬢は大喜びしてくれた。
僕がソフィアに求めていた反応そのものだった。
・
・
・
寒い冬の日だった。
紅葉もすっかりと葉を落とし、王国の大地は茶色に染まる。
花が咲き誇る春。新緑が萌えいでる夏や、黄金色の実がなる秋に比べたら、冬の景色は殺風景だ。
ソフィアは、景色を観るのが好きなのだろう。
だけど、冬はやはり殺風景でつまらないかもしれない。
「ソフィア、乾燥した地方で造られた、枯れない花だよ。君のこの部屋が少し明るくなればと思って……持って来たんだ」
花はうつろう。だけど、このように加工された花は、永遠に咲き続ける。貴族が恋人に永遠の愛の印として、枯れない花を贈るのが流行しているのだ。
僕もそれに倣ってソフィアに、枯れない永遠の愛の花束を贈ろうと思った。
「ドライフラワーですか……。たしかに、乾燥剤の造り方が分かれば、そのような小さな、乾燥させやすい花だけでなく、薔薇だって色合いそのままにドライすることができるんですが……。それに、冬は作物の収穫が減ります。シリカゲルを食品の保存などに応用して使えるようになれば、塩漬けや砂糖漬けで保存するより、衛生的で手軽に湿気を防ぎ、食品を乾燥保存できるようになりますね……」
そしてソフィアは首を振った。
「乾燥剤の造りかたも、私には……分かりません。そのような『神託』はきっと降りないでしょう」
ソフィアは悲しそうに言った。
僕はまた、ソフィアを悲しませてしまった。
違うんだ。
僕が求めているのは『神託』じゃなくて君の笑顔なんだ。
ソフィアは、どこまでも聖女だった。僕とはまったく違う人間のように思えた。
僕は王子とはいえ、普通の人間だ。しかし、ソフィアは神託を受ける聖女だ。
僕は、ソフィアの存在が恐くなった。
乾燥させた永遠に枯れない花束。
たまたま王宮の廊下を歩いていた貴族の令嬢に渡してみたら、頬を真っ赤に染めて喜んでくれた。
僕がソフィアに求めていた反応そのものだった。
ソフィアを悲しませることしか僕はできない。
僕はいつしか、ソフィアを避けるようになった。
僕は、婚約をすることになった。
なんと、『神託』を受ける聖女様と婚約することになったのだ。
聖女の名はソフィア。
僕より一歳年上だった。
年齢が近い息子、つまり僕がいたことを王も……女王も……つまり、僕のお父さんもお母さんも喜んでいた。
僕も、あの愛らしい姿の少女とやがて結婚すると考えると嬉しくなった。
「やぁ、ソフィア」
王宮の庭でソフィアは、羊皮紙に向かって何か書き物をしていた。また神託があったのかもしれない。
聖女は神託によって、人知を越えた知識を神様から授かる。
それは大変なことであると簡単に想像することができた。王国にとっても、神託を受けることは名誉なことであり、国が豊かになるということだ。
神託を受ける。
ソフィアは、羊皮紙に向かいながら、ときどき頭を抱えたり、難しい顔をして空を見上げたりしている。
神託というのは、錬金術師たちでさえ考えもしなかったことを実現させる。僕も将来、王様になるために、家庭教師から難しい本を読まされている。
それよりも、ずっと、ずっと、きっと聖女は大変なのだろう。
「どうされたのです? 王子」
ソフィアが机の上の羊皮紙から顔を上げた。
年齢が1歳上なだけだとは信じられないほど大人びた、僕の愛しいフィアンセだ。
王様や神官、錬金術師たちから、神託を受けているときには邪魔をしてはいけないよ、と言われていた。
だけど、僕は我慢することができなかった。ソフィアと話したり、街に遊びに行ったりしたかった。
異国の商人が来た時に、珍しい品物があった。ソフィアにプレゼントしたらきっと喜ぶとおもった。
「これを見てくれ!」
両手で後ろに隠していたプレゼントをソフィアに差し出した。
異国から輸入された珍しい品物だ。紫や赤色、青色と沢山の鮮やかな色があり、世界中の宝石を集めたようだ。
「ソフィア……これは異国の珍しい品で————」
「ガラス玉? おはじき……ですか?」
驚き、喜んでくれると僕は思っていた。
ソフィアは悲しそうな目で、僕の掌の上を見つめている。
ソフィアはこの透明な物のことを知っているらしい。
「おはじき遊びをされたいのですか? もしよろしければご一緒いたしますが……」
異国の珍しい品の正体を一瞬で見破られた。それに……おはじき遊び? それはどんな遊びだ? 分からない……。
「ち、ちがうんだ。こ、これは……」
「あっ」
ソフィアはハッとした後、悲しい顔をした。顔に涙を溜めていた。
「申し訳ありません……このおはじきを造る技術……改良していけば、このようなコップや……平らで大きなガラスの板を造れば建物の窓にも使えて、部屋の中に効率よく太陽の光を採り入れることができるのですが……。私には、ガラスの製法はおろか、ガラスを造るための材料もわからないのです。申し訳ありません、王子。ガラスに関わるような『神託』はきっと、私には降りないでしょう」
ソフィアはそう言って、顔をしわくちゃにした。
今にも泣きそうな顔だった。
僕にはソフィアが何を言っているのか分からなかった。
ただ、僕が分かったのは、僕はソフィアを悲しませてしまったということ。そして、ソフィアは僕が『神託』を要求したと思ったということだ。
違うんだ……。
僕は君を悲しませようと思ったんじゃない。ただ、君にプレゼントを渡したくて。
君の喜んだ顔が見たくて。
僕はどうしたら良いのか分からなくなって、庭から逃げ出してしまった。
ソフィアを悲しませたガラス玉。
僕も持っていたくなかった。だから、たまたま王宮に来ていた貴族の娘に何の気なしに渡した。
『こんなに珍しい品を下賜してくださるなんて』
花咲くような笑顔でその貴族令嬢は大喜びしてくれた。
僕がソフィアに求めていた反応そのものだった。
・
・
・
寒い冬の日だった。
紅葉もすっかりと葉を落とし、王国の大地は茶色に染まる。
花が咲き誇る春。新緑が萌えいでる夏や、黄金色の実がなる秋に比べたら、冬の景色は殺風景だ。
ソフィアは、景色を観るのが好きなのだろう。
だけど、冬はやはり殺風景でつまらないかもしれない。
「ソフィア、乾燥した地方で造られた、枯れない花だよ。君のこの部屋が少し明るくなればと思って……持って来たんだ」
花はうつろう。だけど、このように加工された花は、永遠に咲き続ける。貴族が恋人に永遠の愛の印として、枯れない花を贈るのが流行しているのだ。
僕もそれに倣ってソフィアに、枯れない永遠の愛の花束を贈ろうと思った。
「ドライフラワーですか……。たしかに、乾燥剤の造り方が分かれば、そのような小さな、乾燥させやすい花だけでなく、薔薇だって色合いそのままにドライすることができるんですが……。それに、冬は作物の収穫が減ります。シリカゲルを食品の保存などに応用して使えるようになれば、塩漬けや砂糖漬けで保存するより、衛生的で手軽に湿気を防ぎ、食品を乾燥保存できるようになりますね……」
そしてソフィアは首を振った。
「乾燥剤の造りかたも、私には……分かりません。そのような『神託』はきっと降りないでしょう」
ソフィアは悲しそうに言った。
僕はまた、ソフィアを悲しませてしまった。
違うんだ。
僕が求めているのは『神託』じゃなくて君の笑顔なんだ。
ソフィアは、どこまでも聖女だった。僕とはまったく違う人間のように思えた。
僕は王子とはいえ、普通の人間だ。しかし、ソフィアは神託を受ける聖女だ。
僕は、ソフィアの存在が恐くなった。
乾燥させた永遠に枯れない花束。
たまたま王宮の廊下を歩いていた貴族の令嬢に渡してみたら、頬を真っ赤に染めて喜んでくれた。
僕がソフィアに求めていた反応そのものだった。
ソフィアを悲しませることしか僕はできない。
僕はいつしか、ソフィアを避けるようになった。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる