22 / 40
首都 ラーバンへ
<22>身に纏うはレースと絹の鎧
しおりを挟む
開戦は早朝だった。
まだ薄暗い時間帯、ノックの音で目を覚ましたシャンテナは、手櫛で髪を梳かしながら鍵を開けた。ドアの向こうから声を掛けてきたのがアリーサで、朝食よ、と明るい調子で言ったからだ。起きたままの格好で悪いな、と思いつつも、そのまま待たせておくわけにもいかない。こんな朝早くに、ということが思いつかなかったのは、きっと寝ぼけていたのだ。
ドアを開け、前日と同じように後退った。なにせ、そこにいたのは、前日よりも人数の多い、女性たちだったからだ。
女性たちはその全員が思い思いの化粧をし、動きやすいお仕着せのドレスを纏っている。昨日のミサとソフィよりも、華やかさのあるドレスだ。その上から白いエプロンをつけて、手首には針刺しが。首には巻尺がさがっている。これが彼女たちの仕事着なのだろう。
室内に、布の匂いと香水の甘い匂いが満ちる。金属の臭いのするシャンテナの作業場とはなんと大きなへだたりがあることか。しかしここが自分たちの仕事場だというような顔で、彼女たちはてきぱきと、抱えていた品物を広げだした。綺麗な色の箱から鮮やかな青い布地が、小箱から華やかなかんざしが出てきた。他にも日傘、扇子にハンカチなど、何でも出てくる。
後から入室した、別のお仕着せの女性が、テーブル上にトレイを置いて退室した。トレイの上には軽食の載った皿がある。湯気を上げるスープも。
「さあシャンテナ、すぐに食べてしまって。その間に髪を梳かしてあげるから」
有無を言わせぬ調子でアリーサに促され、シャンテナはぎくしゃくと椅子に腰を下ろした。パンを齧っていると、後ろから髪を摑まれ念入りに櫛を通される。食べにくい。
横目で女性たちの作業を見ていると、いつの間にか運び込まれたトルソに、青いドレスが掛けられていた。綺麗な色だが、自分がこれから着るのかと思うと、ピンとこなかった。
「シャンテナ、もうそのくらいにしておきなさいな。あまり食べると気分が悪くなるわよ」
まだパンの半分も食べてないのに、トレイを取り上げられた。腹半分にも至っていないと、シャンテナは恨みがましく思ったが、すぐに「いっそ食事抜きのほうがよかった」と後悔することになった。
「アリーサさん、く、るしい……っ!」
「我慢我慢。もうちょっとよ」
着ていた服をまたあっという間に剥ぎ取られたかと思えば、やたらごてごてした下着を着せられた。しかもこの下着、ひとりでは着られないのである。硬い素材の骨が入った、鎧のようなもの。ふたり掛りで着付けをし、挙句の果てに腰をこれでもかというほど締め上げられる。
何の拷問だろうか。
その上から着せられた重たい青のドレスは、まるで桎梏のように彼女を拘束した。たくさんの釦とリボンが、逃さんと食らいつく。
とどめは、爪先立ちになるほど踵の高い靴だった。これではろくに走ることもできない。足を差し入れた途端、指先が痛んだが、
「おしゃれは我慢よ」
アリーサのその一言で不平は流されてしまった。
ばたばたと鎖骨の下まで化粧を施され、髪は梳られ背に流され、耳の上に真珠をあしらった金の花の髪飾りをつけられた。
「これも外してくださいな。調和が崩れます」
着付けをしてくれた婦人が指差したのは、エヴァンスの家宝の首飾りだ。
簡素な円柱形の翡翠は、鏡に映った姿を見る限りさほど目立たなかったが、シャンテナは言われたとおりにした。胸元へしまいこむ。ついでに、いつも髪をまとめていたピンも自分のハンカチに包んで、手荷物にしまう。
代わりに首にかけられたのは、粒ぞろいの真珠の首飾りだった。こんな時でなければ、真珠の間に挟まれた金の飾りの加工をもっとしっかり観察したいのだが――。
「さて仕上げよ」
アリーサは、一晩、シャンテナが保湿のために嵌めていた手袋を脱がせ、絹の手袋を嵌めさせた。肘まである長手袋だ。
「できあがりよ! うーん、我ながらなかなかの目利きだったわね」
アリーサが、満足げに頷いた。他の女性たちも、納得の面持ちである。
促され、シャンテナは鏡を覗き込んだ。そこには、全身を見慣れないきらびやかな服飾品で覆われた自分が映っていた。
何種類かの青の生地を重ねて作られたドレスを、涼やかだが華やかにも見せるのは、袖や襟ぐりから覗く小花柄の紺色の布地の効果だろう。クリーム色のレースとつややかな生地で作ったフリルが飾り付けるスカートは、やや直線的ですとんとしている。胸の下で太い青色のリボンを結び、締め上げる形で、たしかにこれならお直しはあまり必要ないだろうと納得する。
そこにいる自分は、いつもの自分とは違う。化粧もしているし、髪型も違う。違和感ばかりが先にたって、正直、出来の良し悪しなんかわからない。どことなく恥ずかしい気分にはなった。
「よし、じゃああなた、クルトを呼んできて。シャンテナ、すぐに裏に馬車を呼ぶから、クルトと一緒に降りてきて。ああ、裾を踏まないようにね、転んで怪我したら大変だから」
「えっ、クルト帰ってきてるんですか」
「もちろんよ。さっきからずっとそわそわして待ってたんだから」
アリーサたちが出ていって、シャンテナは落ち着かない心持ちだった。
こんな格好をクルトに見られるのが恥ずかしい。似合わないだろうし。昨日、彼は、ここに宿泊している他の客との違いは服一枚だと言ったが、やはり違うのではないか。だってドレスを着たところで、しっくりこなくて、とてもここにふさわしいようには思えないのだ。
だが、彼女の内心の葛藤なんて知る由もないクルトは、今日も呑気な声音でドアの向こうからうかがいをたてるのだった。
「シャンテナさん、おはようございます。入ってもいいですか」
「だめ」
「え? 大丈夫ですか? なにかありましたか」
「だめって言ったのになんで入ってくるの!?」
「いや、だって、それは……」
入室するなりシャンテナの剣幕に負けて踵を返そうとしたクルトは、途中で立ち止まった。目を見開いて。次にその顔は満面の笑みになる。
「わあっ、シャンテナさん綺麗ですよ! すごく似合ってます!」
「……あんまりそうとは思えないけどっ」
結局、入ってくるし。クルトの反応に、いたたまれなくて逃げ出したい気持ちになりながら、シャンテナはそっぽを向いた。逃げ出したくても、高い靴を履いた足がろくに動かない。スカートも邪魔だ。
「似合ってますよ、本当に。キナさんのところで、ワンピース着ていたときも可愛かったですけれど、今回のはすごく綺麗ですよ! さすが、ねえさん。任せてよかった」
顔が熱い。なぜこの男は恥ずかしげもなく、そんなことを言えるのか。お世辞だってろくに言えそうにないくせに。いや、その考えでいくと、これがお世辞ではないということになってしまう。よけいに頬のあたりが、かっと熱くなってしまった。自爆である。
「どこから見ても、綺麗ですよ! あー嬉しいなー!」
何が嬉しいのか分からないが、クルトは上機嫌で歩み寄り、シャンテナに手を差し伸べた。彼も今朝はしばらくぶりの軍服姿で、なんだか見慣れない。
「はい」
「何?」
「掴まってください。こういうの、役得って言うんですよね」
意味がわからないが、手助けがなければ歩く事もまともにできない。
ためらいながらも掴んだ手は、やはりしっかりと自分を支えてくれる。安心するのに、とても落ち着かない。
× × × × ×
縋るようにしてクルトの手を掴んで、昨日も通ったホールの階段を、ゆっくり下る。足が痛い。彼が急かしたりせず、ちゃんと待ってくれるのだけが救いだ。
天井から伸びた豪華なシャンデリアを、視界の隅に捉えながらシャンテナは思う。今だったら、自分たちはこの場にふさわしいように見えるのだろうか、と。もしこの姿を、他の客が見たら、どう思うのだろう。
廊下を抜け、裏口から出ると、アリーサとハイラントが見送りに出ていてくれた。すぐそこに黒塗りの馬車が待っている。
「シャンテナ、いい報告を待ってるわ」
「行ってらっしゃいませ」
アリーサに肩を叩かれ、ハイラントには深々と頭を下げられ、送り出された。
なんとか乗り込み、一息つくと、馬車が走り出した。窓にはレースのカーテンがかけられ、外はあまりよく見えない。外からもきっと同じだろう。
「さて、それでは行きましょう。――王宮へ」
正面の席に座ったクルトが、励ますように強い調子で言った。どうしてだろう。いつもの薄汚れた旅装ではないからか、頼もしく見えるのは。
「ええ」
シャンテナも気合を入れるために、顎を引いた。
しかし、一区画も進まぬうちに、
「なんか、気分悪い。息苦しい」
下着で締め上げられているせいか馬車の揺れのせいか、シャンテナは軽い吐き気を催していた。
顔色の悪い彼女を見て、クルトが慌てる。
「ちょ、しっかりしてくださいよシャンテナさん!」
「さすらないで、吐く……!」
「うわ、じゃあ扇ぎます!」
ハンカチでぱたぱた扇がれながら、彼女は馬車の窓のカーテンの隙間から見つめていた。
真っ青な空に、存在を誇示するように聳え立つ、王城を。
まだ薄暗い時間帯、ノックの音で目を覚ましたシャンテナは、手櫛で髪を梳かしながら鍵を開けた。ドアの向こうから声を掛けてきたのがアリーサで、朝食よ、と明るい調子で言ったからだ。起きたままの格好で悪いな、と思いつつも、そのまま待たせておくわけにもいかない。こんな朝早くに、ということが思いつかなかったのは、きっと寝ぼけていたのだ。
ドアを開け、前日と同じように後退った。なにせ、そこにいたのは、前日よりも人数の多い、女性たちだったからだ。
女性たちはその全員が思い思いの化粧をし、動きやすいお仕着せのドレスを纏っている。昨日のミサとソフィよりも、華やかさのあるドレスだ。その上から白いエプロンをつけて、手首には針刺しが。首には巻尺がさがっている。これが彼女たちの仕事着なのだろう。
室内に、布の匂いと香水の甘い匂いが満ちる。金属の臭いのするシャンテナの作業場とはなんと大きなへだたりがあることか。しかしここが自分たちの仕事場だというような顔で、彼女たちはてきぱきと、抱えていた品物を広げだした。綺麗な色の箱から鮮やかな青い布地が、小箱から華やかなかんざしが出てきた。他にも日傘、扇子にハンカチなど、何でも出てくる。
後から入室した、別のお仕着せの女性が、テーブル上にトレイを置いて退室した。トレイの上には軽食の載った皿がある。湯気を上げるスープも。
「さあシャンテナ、すぐに食べてしまって。その間に髪を梳かしてあげるから」
有無を言わせぬ調子でアリーサに促され、シャンテナはぎくしゃくと椅子に腰を下ろした。パンを齧っていると、後ろから髪を摑まれ念入りに櫛を通される。食べにくい。
横目で女性たちの作業を見ていると、いつの間にか運び込まれたトルソに、青いドレスが掛けられていた。綺麗な色だが、自分がこれから着るのかと思うと、ピンとこなかった。
「シャンテナ、もうそのくらいにしておきなさいな。あまり食べると気分が悪くなるわよ」
まだパンの半分も食べてないのに、トレイを取り上げられた。腹半分にも至っていないと、シャンテナは恨みがましく思ったが、すぐに「いっそ食事抜きのほうがよかった」と後悔することになった。
「アリーサさん、く、るしい……っ!」
「我慢我慢。もうちょっとよ」
着ていた服をまたあっという間に剥ぎ取られたかと思えば、やたらごてごてした下着を着せられた。しかもこの下着、ひとりでは着られないのである。硬い素材の骨が入った、鎧のようなもの。ふたり掛りで着付けをし、挙句の果てに腰をこれでもかというほど締め上げられる。
何の拷問だろうか。
その上から着せられた重たい青のドレスは、まるで桎梏のように彼女を拘束した。たくさんの釦とリボンが、逃さんと食らいつく。
とどめは、爪先立ちになるほど踵の高い靴だった。これではろくに走ることもできない。足を差し入れた途端、指先が痛んだが、
「おしゃれは我慢よ」
アリーサのその一言で不平は流されてしまった。
ばたばたと鎖骨の下まで化粧を施され、髪は梳られ背に流され、耳の上に真珠をあしらった金の花の髪飾りをつけられた。
「これも外してくださいな。調和が崩れます」
着付けをしてくれた婦人が指差したのは、エヴァンスの家宝の首飾りだ。
簡素な円柱形の翡翠は、鏡に映った姿を見る限りさほど目立たなかったが、シャンテナは言われたとおりにした。胸元へしまいこむ。ついでに、いつも髪をまとめていたピンも自分のハンカチに包んで、手荷物にしまう。
代わりに首にかけられたのは、粒ぞろいの真珠の首飾りだった。こんな時でなければ、真珠の間に挟まれた金の飾りの加工をもっとしっかり観察したいのだが――。
「さて仕上げよ」
アリーサは、一晩、シャンテナが保湿のために嵌めていた手袋を脱がせ、絹の手袋を嵌めさせた。肘まである長手袋だ。
「できあがりよ! うーん、我ながらなかなかの目利きだったわね」
アリーサが、満足げに頷いた。他の女性たちも、納得の面持ちである。
促され、シャンテナは鏡を覗き込んだ。そこには、全身を見慣れないきらびやかな服飾品で覆われた自分が映っていた。
何種類かの青の生地を重ねて作られたドレスを、涼やかだが華やかにも見せるのは、袖や襟ぐりから覗く小花柄の紺色の布地の効果だろう。クリーム色のレースとつややかな生地で作ったフリルが飾り付けるスカートは、やや直線的ですとんとしている。胸の下で太い青色のリボンを結び、締め上げる形で、たしかにこれならお直しはあまり必要ないだろうと納得する。
そこにいる自分は、いつもの自分とは違う。化粧もしているし、髪型も違う。違和感ばかりが先にたって、正直、出来の良し悪しなんかわからない。どことなく恥ずかしい気分にはなった。
「よし、じゃああなた、クルトを呼んできて。シャンテナ、すぐに裏に馬車を呼ぶから、クルトと一緒に降りてきて。ああ、裾を踏まないようにね、転んで怪我したら大変だから」
「えっ、クルト帰ってきてるんですか」
「もちろんよ。さっきからずっとそわそわして待ってたんだから」
アリーサたちが出ていって、シャンテナは落ち着かない心持ちだった。
こんな格好をクルトに見られるのが恥ずかしい。似合わないだろうし。昨日、彼は、ここに宿泊している他の客との違いは服一枚だと言ったが、やはり違うのではないか。だってドレスを着たところで、しっくりこなくて、とてもここにふさわしいようには思えないのだ。
だが、彼女の内心の葛藤なんて知る由もないクルトは、今日も呑気な声音でドアの向こうからうかがいをたてるのだった。
「シャンテナさん、おはようございます。入ってもいいですか」
「だめ」
「え? 大丈夫ですか? なにかありましたか」
「だめって言ったのになんで入ってくるの!?」
「いや、だって、それは……」
入室するなりシャンテナの剣幕に負けて踵を返そうとしたクルトは、途中で立ち止まった。目を見開いて。次にその顔は満面の笑みになる。
「わあっ、シャンテナさん綺麗ですよ! すごく似合ってます!」
「……あんまりそうとは思えないけどっ」
結局、入ってくるし。クルトの反応に、いたたまれなくて逃げ出したい気持ちになりながら、シャンテナはそっぽを向いた。逃げ出したくても、高い靴を履いた足がろくに動かない。スカートも邪魔だ。
「似合ってますよ、本当に。キナさんのところで、ワンピース着ていたときも可愛かったですけれど、今回のはすごく綺麗ですよ! さすが、ねえさん。任せてよかった」
顔が熱い。なぜこの男は恥ずかしげもなく、そんなことを言えるのか。お世辞だってろくに言えそうにないくせに。いや、その考えでいくと、これがお世辞ではないということになってしまう。よけいに頬のあたりが、かっと熱くなってしまった。自爆である。
「どこから見ても、綺麗ですよ! あー嬉しいなー!」
何が嬉しいのか分からないが、クルトは上機嫌で歩み寄り、シャンテナに手を差し伸べた。彼も今朝はしばらくぶりの軍服姿で、なんだか見慣れない。
「はい」
「何?」
「掴まってください。こういうの、役得って言うんですよね」
意味がわからないが、手助けがなければ歩く事もまともにできない。
ためらいながらも掴んだ手は、やはりしっかりと自分を支えてくれる。安心するのに、とても落ち着かない。
× × × × ×
縋るようにしてクルトの手を掴んで、昨日も通ったホールの階段を、ゆっくり下る。足が痛い。彼が急かしたりせず、ちゃんと待ってくれるのだけが救いだ。
天井から伸びた豪華なシャンデリアを、視界の隅に捉えながらシャンテナは思う。今だったら、自分たちはこの場にふさわしいように見えるのだろうか、と。もしこの姿を、他の客が見たら、どう思うのだろう。
廊下を抜け、裏口から出ると、アリーサとハイラントが見送りに出ていてくれた。すぐそこに黒塗りの馬車が待っている。
「シャンテナ、いい報告を待ってるわ」
「行ってらっしゃいませ」
アリーサに肩を叩かれ、ハイラントには深々と頭を下げられ、送り出された。
なんとか乗り込み、一息つくと、馬車が走り出した。窓にはレースのカーテンがかけられ、外はあまりよく見えない。外からもきっと同じだろう。
「さて、それでは行きましょう。――王宮へ」
正面の席に座ったクルトが、励ますように強い調子で言った。どうしてだろう。いつもの薄汚れた旅装ではないからか、頼もしく見えるのは。
「ええ」
シャンテナも気合を入れるために、顎を引いた。
しかし、一区画も進まぬうちに、
「なんか、気分悪い。息苦しい」
下着で締め上げられているせいか馬車の揺れのせいか、シャンテナは軽い吐き気を催していた。
顔色の悪い彼女を見て、クルトが慌てる。
「ちょ、しっかりしてくださいよシャンテナさん!」
「さすらないで、吐く……!」
「うわ、じゃあ扇ぎます!」
ハンカチでぱたぱた扇がれながら、彼女は馬車の窓のカーテンの隙間から見つめていた。
真っ青な空に、存在を誇示するように聳え立つ、王城を。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
捨てられた地味な王宮修復師(実は有能)、強面辺境伯の栄養管理で溺愛され、辺境を改革する ~王都の貴重な物が失われても知りませんよ?~
水上
恋愛
「カビ臭い地味女」と王太子に婚約破棄された王宮修復師のリディア。
彼女の芸術に関する知識と修復師としての技術は、誰からも必要性を理解されていなかった。
失意の中、嫁がされたのは皆から恐れられる強面辺境伯ジェラルドだった!
しかし恐ろしい噂とは裏腹に、彼はリディアの不健康を見逃せない超・過保護で!?
絶品手料理と徹底的な体調管理で、リディアは心身ともに美しく再生していく。
一方、彼女を追放した王都では、貴重な物が失われたり、贋作騒動が起きたりとパニックになり始めて……。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる