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二章
王の罪
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「サン、ライオットの前でそういうことを言うな」
無邪気に話していたサンに、ループスは一言叱責をする。しかしサンは何故怒られたのか理解出来ていないのか目を丸くしたまま再び無邪気な顔をして見せた。
「何をムキになっているのループス。アタイが言っているのは大人の人間。そんな醜い大人になっちゃダメよって教えてあげたのよ」
振り返りざまにサンから笑顔が消える。彼女はカウンターの方へコツコツと靴を鳴らしながら戻って行った。
「……すまないなライオット。でもサンは悪い奴じゃないんだ」
トーストを頬張っていたライオットはループスの言葉に食事をする手を止める。
ループスは注文したコーヒーの香しい匂いを堪能しながら、哀しそうに上瞼を下げた。
「ミックスタウンが出来る前は、スピリゥス王国でカフェを経営するために頑張っていたんだ。料理も上手かったし、何より人間に人狼という認識を変えて欲しかったんだろう。僅かだったがあそこも昔は人狼と共存していた国だからな。でも、今の王になってからなんの前触れもなく王国に人狼の立ち入りを禁止したんだ」
スピリゥス王国でカフェを経営する。
そんなサンの夢は、儚く散ってしまった。
きっと道中、胸を高鳴らせたり、緊張したりしていただろう。
だがその全てが無意味だった。
作られたばかりの張り巡らされた防柵を見て、サンはどう思ったのだろう。
人を恨んだか。
それとも自らの性を恨んだか。
カウンターで新しいメニューが浮かばずメモ帳と睨めっこしている友人を横目に、ループスは食事に手をつけた。
「ミックスタウンが出来てからは大分元気になったが、人間は少しだけ嫌いになったらしい。あぁ、人間と言っても大人の人間だからライオットは大丈夫だと思うが」
「そうなんだ……」
人狼も色々大変なんだなと思いながら再びトーストを食べた。
「姉ちゃん」
「なんだ?」
「スピリゥス王国の王様はどうして人狼の立ち入りを禁止したの?」
トーストを頬張りながらライオットはループスに尋ねる。
「……さっきサンが話していた、前の王が処刑されたっていう話から始まるが、それでもいいか?」
これがもし『人間』であるならば子どもに処刑のことなどは話さないだろう。それは教育上の問題でもある故に。
しかしループスは人狼だ。その辺りの考え方はまた違う。
何も知らないライオットが頷いたのを見ると、ループスは再び語りだした。
「……前の王は人としての道を踏み外したと聞く。簡単に言えば、
人間でありながら人間を食べたんだ」
「……!」
ライオットが食事中でもお構い無しにループスは答えた。彼女の発言に思わず押し込んだトーストを嘔吐しそうになる。
「人間を、食べたって……?」
一度頭の中を空っぽにし、噛み砕いてどろどろになったトーストをオレンジジュースで胃の中に流し込んだ。
ループスは涼しい顔のままコーヒーを啜っている。
「そのままの意味だ。しかもそれを何年も続けてきたと聞く。耐えきれなくなった側近がそれを世間に公表したところ、王の処刑が決まったんだ。さらに王の正体は人狼だと囁かれ、スピリゥス王国に住んでいた人狼は皆追放。以後人狼の立ち入りは禁止された」
人ならざるものは人を喰らう。
人々は人狼を恐れ、忌んだ。
だから森に追放した。
しかし人狼は知らぬ間に一国の王となっていた。
人々の恐怖はどれほどのものだったのだろう。
彼の者の処刑の日はどれほどの人が待ちわびたことだろう。
「……なんで?」
「え?」
「なんで、全てが人狼追放されたの?王様が殺されるまで仲良く暮らしてたんでしょう?悪いのはその王様じゃないの?」
自らの意見を訴えるライオット。
そんな彼を見て、ループスは悲しい顔をする。
「人狼から見て人間が全て同じであるように、人間から見て人狼は全て同じだ。個性なんて関係ない。人狼は人を食べる。その認識が広まってしまえば、私たちは人とは共存できないんだ。だからいいか?ライオット。
お前がここにいること自体奇跡なんだ。
見返りを求める訳では無いが、お前だけでも人狼の見方を変えて欲しい。そう約束してくれないか?」
無邪気に話していたサンに、ループスは一言叱責をする。しかしサンは何故怒られたのか理解出来ていないのか目を丸くしたまま再び無邪気な顔をして見せた。
「何をムキになっているのループス。アタイが言っているのは大人の人間。そんな醜い大人になっちゃダメよって教えてあげたのよ」
振り返りざまにサンから笑顔が消える。彼女はカウンターの方へコツコツと靴を鳴らしながら戻って行った。
「……すまないなライオット。でもサンは悪い奴じゃないんだ」
トーストを頬張っていたライオットはループスの言葉に食事をする手を止める。
ループスは注文したコーヒーの香しい匂いを堪能しながら、哀しそうに上瞼を下げた。
「ミックスタウンが出来る前は、スピリゥス王国でカフェを経営するために頑張っていたんだ。料理も上手かったし、何より人間に人狼という認識を変えて欲しかったんだろう。僅かだったがあそこも昔は人狼と共存していた国だからな。でも、今の王になってからなんの前触れもなく王国に人狼の立ち入りを禁止したんだ」
スピリゥス王国でカフェを経営する。
そんなサンの夢は、儚く散ってしまった。
きっと道中、胸を高鳴らせたり、緊張したりしていただろう。
だがその全てが無意味だった。
作られたばかりの張り巡らされた防柵を見て、サンはどう思ったのだろう。
人を恨んだか。
それとも自らの性を恨んだか。
カウンターで新しいメニューが浮かばずメモ帳と睨めっこしている友人を横目に、ループスは食事に手をつけた。
「ミックスタウンが出来てからは大分元気になったが、人間は少しだけ嫌いになったらしい。あぁ、人間と言っても大人の人間だからライオットは大丈夫だと思うが」
「そうなんだ……」
人狼も色々大変なんだなと思いながら再びトーストを食べた。
「姉ちゃん」
「なんだ?」
「スピリゥス王国の王様はどうして人狼の立ち入りを禁止したの?」
トーストを頬張りながらライオットはループスに尋ねる。
「……さっきサンが話していた、前の王が処刑されたっていう話から始まるが、それでもいいか?」
これがもし『人間』であるならば子どもに処刑のことなどは話さないだろう。それは教育上の問題でもある故に。
しかしループスは人狼だ。その辺りの考え方はまた違う。
何も知らないライオットが頷いたのを見ると、ループスは再び語りだした。
「……前の王は人としての道を踏み外したと聞く。簡単に言えば、
人間でありながら人間を食べたんだ」
「……!」
ライオットが食事中でもお構い無しにループスは答えた。彼女の発言に思わず押し込んだトーストを嘔吐しそうになる。
「人間を、食べたって……?」
一度頭の中を空っぽにし、噛み砕いてどろどろになったトーストをオレンジジュースで胃の中に流し込んだ。
ループスは涼しい顔のままコーヒーを啜っている。
「そのままの意味だ。しかもそれを何年も続けてきたと聞く。耐えきれなくなった側近がそれを世間に公表したところ、王の処刑が決まったんだ。さらに王の正体は人狼だと囁かれ、スピリゥス王国に住んでいた人狼は皆追放。以後人狼の立ち入りは禁止された」
人ならざるものは人を喰らう。
人々は人狼を恐れ、忌んだ。
だから森に追放した。
しかし人狼は知らぬ間に一国の王となっていた。
人々の恐怖はどれほどのものだったのだろう。
彼の者の処刑の日はどれほどの人が待ちわびたことだろう。
「……なんで?」
「え?」
「なんで、全てが人狼追放されたの?王様が殺されるまで仲良く暮らしてたんでしょう?悪いのはその王様じゃないの?」
自らの意見を訴えるライオット。
そんな彼を見て、ループスは悲しい顔をする。
「人狼から見て人間が全て同じであるように、人間から見て人狼は全て同じだ。個性なんて関係ない。人狼は人を食べる。その認識が広まってしまえば、私たちは人とは共存できないんだ。だからいいか?ライオット。
お前がここにいること自体奇跡なんだ。
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