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7話 今までありがとう、私のことは放っておいてくださいね! 元婚約者さん!
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それから、数ヶ月後。
カスタリア国とドラゴンとの間に、正式に同盟が結ばれた。
そして、私とリンドヴルムはカスタリア国王との謁見に臨んでいたのである。予想外で、そして少し痛快だったのは、あのアレンというクソ野郎が、王との謁見に臨む私とリンドヴルムの事を、狐につままれたような表情で、唖然として見ていたと言う事であった。
「リンドヴルム殿、これより長きにわたり、このカスタリア国とそなたらドラゴンとの間に良好な関係が築かれることを儂は願っているぞ」
「はは、我々も同じことを願っております。そして、彼女こそ、人間とドラゴンとの友好の証となってくれるでしょう」
手を取り合うリンドヴルムと王。ここに、正式に人間とドラゴンとの同盟が結ばれたと言うわけである。その場にいた皆々も、拍手をして盛り上がった。なにせ、人間にとって、何よりも脅威だったドラゴンとの史上初の同盟なのだ。
ただ1人、アレン・カルミナを除いては。
そして、リンドヴルムとの握手を終えた王は、隣にいた私へと言葉をかけてきた。
「シャルロット・アストルフィア。そなたこそがこの同盟の架け橋。そなたには感謝の言葉以外無い。大義であった」
大義と言われてもぴんとこない。別に王国のために、リンドヴルムと結婚を決めたわけではない。彼が、彼なら信じられると、私がそう思ったからだ。
その時である。突然に、王に向かって口を開いたのは、隣にいたリンドヴルムであった。
「王様、一つ私よりお話したいことがあるのですが」
「なんだリンドヴルム殿? このカスタリア国王で聞ける話であれば、是非聞かせて頂きたい」
「これより話すは、私がどうしてシャルロットという女性に惚れたのかという話です」
「ほほっ、それは是非聞かせてもらいたいの」
リンドヴルムの提案に、笑顔を浮かべた王。そんなものを聞いたところで、何が楽しいのかは私にはわからないが、何か、リンドヴルムにも考えがありそうだし、私は何も言わずにいた。
「シャルロットは、元々この国の人間と婚約しておりました。その者の名は『アレン・カルミナ』」
リンドヴルムの言葉に、一気に周囲がざわつく。私自身、突然のリンドヴルムの話に困惑していた。そして、王はリンドヴルムに向かって話の続きを問いかけたのだ。
「カルミナか? だが、どうして婚約していたのに……」
「それは、カルミナが彼女を手にかけようとしていたからに他なりません」
更にざわつく周囲。流石にカルミナも顔色を変えて、声を荒げる。
「何を言っている! 貴様!」
「黙れカルミナ。この者は我々の同盟相手だ。そなたごときが口を出すでない」
王の一喝により、カルミナは黙りこんだ。流石のアレンという男も、王の前では大人しくなるらしい。周囲のざわつきなど全く気にする素振りもなく、リンドヴルムは更に話を続ける。
「彼はシャルロットと婚約していたのにもかかわらず、他の女性に恋をした。そして、彼にとってシャルロットが邪魔になった。だから、彼は彼女を始末しようとしたのです。それも、モンスターに襲われた様に偽造して」
王の間に呼ばれていた重臣達の目が一気にアレン・カルミナへと注がれる。冷たい視線を一身に受けたアレンは、焦ったように叫んだ。
「どこにそんな証拠があると言うんだ! 言いがかりもいい所だ!」」
その言葉を待っていたかのように、リンドヴルムは懐より一枚の紙を取り出した。それはまさしく、私を始末するという約束が記載された契約書。そこには、他でもないアレン自身のサインが乗っていたのだ。
「王よ、これを見て頂きたい」
「……これは」
アレンは、その書類が残って居るだなんて想像もしていなかったのだろう。書類を見るやいなや、血の気が引いたように顔が青ざめていく。もはや言い逃れは出来ない。
「衛兵! そやつを捕らえろ!」
王の号令の直後、鎧を着た兵士達がアレンを取り囲む。すぐに身を拘束され、地に膝をつけたアレンは、懇願するように私の方を見上げていた。
「……シャルロット!」
縋るような声を私にかけるアレン。契約が破棄された今、私とアレンはもはや、全くの他人。私が彼を助けるような理由も、義理も無いのである。それに、彼は私を殺そうとしたのだ。
それでも、彼が私の婚約者であったという事実は変わらない。彼が与えてくれた思い出だってある。楽しい思い出、そうじゃないもの、様々だけど。だからこそ、私は、彼に笑顔を向けた。
「アレン、あなたのお陰で、素敵な人と出会えたわ。本当にありがとう。私を殺そうとしてくれて!」
カスタリア国とドラゴンとの間に、正式に同盟が結ばれた。
そして、私とリンドヴルムはカスタリア国王との謁見に臨んでいたのである。予想外で、そして少し痛快だったのは、あのアレンというクソ野郎が、王との謁見に臨む私とリンドヴルムの事を、狐につままれたような表情で、唖然として見ていたと言う事であった。
「リンドヴルム殿、これより長きにわたり、このカスタリア国とそなたらドラゴンとの間に良好な関係が築かれることを儂は願っているぞ」
「はは、我々も同じことを願っております。そして、彼女こそ、人間とドラゴンとの友好の証となってくれるでしょう」
手を取り合うリンドヴルムと王。ここに、正式に人間とドラゴンとの同盟が結ばれたと言うわけである。その場にいた皆々も、拍手をして盛り上がった。なにせ、人間にとって、何よりも脅威だったドラゴンとの史上初の同盟なのだ。
ただ1人、アレン・カルミナを除いては。
そして、リンドヴルムとの握手を終えた王は、隣にいた私へと言葉をかけてきた。
「シャルロット・アストルフィア。そなたこそがこの同盟の架け橋。そなたには感謝の言葉以外無い。大義であった」
大義と言われてもぴんとこない。別に王国のために、リンドヴルムと結婚を決めたわけではない。彼が、彼なら信じられると、私がそう思ったからだ。
その時である。突然に、王に向かって口を開いたのは、隣にいたリンドヴルムであった。
「王様、一つ私よりお話したいことがあるのですが」
「なんだリンドヴルム殿? このカスタリア国王で聞ける話であれば、是非聞かせて頂きたい」
「これより話すは、私がどうしてシャルロットという女性に惚れたのかという話です」
「ほほっ、それは是非聞かせてもらいたいの」
リンドヴルムの提案に、笑顔を浮かべた王。そんなものを聞いたところで、何が楽しいのかは私にはわからないが、何か、リンドヴルムにも考えがありそうだし、私は何も言わずにいた。
「シャルロットは、元々この国の人間と婚約しておりました。その者の名は『アレン・カルミナ』」
リンドヴルムの言葉に、一気に周囲がざわつく。私自身、突然のリンドヴルムの話に困惑していた。そして、王はリンドヴルムに向かって話の続きを問いかけたのだ。
「カルミナか? だが、どうして婚約していたのに……」
「それは、カルミナが彼女を手にかけようとしていたからに他なりません」
更にざわつく周囲。流石にカルミナも顔色を変えて、声を荒げる。
「何を言っている! 貴様!」
「黙れカルミナ。この者は我々の同盟相手だ。そなたごときが口を出すでない」
王の一喝により、カルミナは黙りこんだ。流石のアレンという男も、王の前では大人しくなるらしい。周囲のざわつきなど全く気にする素振りもなく、リンドヴルムは更に話を続ける。
「彼はシャルロットと婚約していたのにもかかわらず、他の女性に恋をした。そして、彼にとってシャルロットが邪魔になった。だから、彼は彼女を始末しようとしたのです。それも、モンスターに襲われた様に偽造して」
王の間に呼ばれていた重臣達の目が一気にアレン・カルミナへと注がれる。冷たい視線を一身に受けたアレンは、焦ったように叫んだ。
「どこにそんな証拠があると言うんだ! 言いがかりもいい所だ!」」
その言葉を待っていたかのように、リンドヴルムは懐より一枚の紙を取り出した。それはまさしく、私を始末するという約束が記載された契約書。そこには、他でもないアレン自身のサインが乗っていたのだ。
「王よ、これを見て頂きたい」
「……これは」
アレンは、その書類が残って居るだなんて想像もしていなかったのだろう。書類を見るやいなや、血の気が引いたように顔が青ざめていく。もはや言い逃れは出来ない。
「衛兵! そやつを捕らえろ!」
王の号令の直後、鎧を着た兵士達がアレンを取り囲む。すぐに身を拘束され、地に膝をつけたアレンは、懇願するように私の方を見上げていた。
「……シャルロット!」
縋るような声を私にかけるアレン。契約が破棄された今、私とアレンはもはや、全くの他人。私が彼を助けるような理由も、義理も無いのである。それに、彼は私を殺そうとしたのだ。
それでも、彼が私の婚約者であったという事実は変わらない。彼が与えてくれた思い出だってある。楽しい思い出、そうじゃないもの、様々だけど。だからこそ、私は、彼に笑顔を向けた。
「アレン、あなたのお陰で、素敵な人と出会えたわ。本当にありがとう。私を殺そうとしてくれて!」
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