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15 女? 男?
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マクシミリアンを休ませている間、ミッチェルはロイドとイースを一階の西の端に位置する謁見控えの間に連れていった。
訪問客がいなければ近寄る者がいない部屋だ。家具もない。ただの箱のような小さな部屋。
そこに入るや否や、イースが口を開いた。
「ロイド! さっきのはなんだ? 魔術を使ったのか? マクシミリアンはお前の魔術でぶっ倒れたのか?!」
いつもならイースをなだめるミッチェルも、手厳しい言葉で怒りをそのままロイドにぶつけた。
「魔術は使用禁止と言ったはずです! どうして守れないのですか! 王族相手に自分が何をしたのか、分かっているのですか!」
(全く分かりません。失態をおかした分は、直後に穴埋めできたと思いますが)
「まったく。マクシミリアンには私からもう一度念を押すつもりですが、従者たちがうっかり口をすべらそうものなら、王宮からどんな要求をされることやら――」
ロイドは発言を躊躇した。何を言っても、今はミッチェルを逆上させてしまいそうな気がした。
マザーのアドバイスがほしいところだ。
イースは政治的な話題には興味がないようで、しきりに試合中に何があったのかを知りたがった。
「従者にはマクシミリアンが厳しく申し付けるはずだ。負けたなんて言えるはずがないからな。それより、さっきのはなんだったんだ? どうしてマクシミリアンはぶっ倒れたんだ?」
(本当になぜでしょう?)
「さあ。彼がなぜ、ああも狼狽して倒れたのか、私にも分かりません」
ミッチェルは仏頂面のままつぶやいた。
「まあ、それは――。彼の悪しき習慣です。あの行為は軍隊仕込みなのですよ。彼の幼少期の指南役が悪いのです」
イースもロイドもピンときていない表情で、ミッチェルの言葉の続きを待っている。
皆まで言わねば分からないのかと、ミッチェルは頭痛がしてきそうで目頭を抑えた。
「こちらが相手より絶対的に優っていると分からせるために、股間を――。その、――を握るのですよ」
ミッチェルは口にするのも汚らわしいと、モゴモゴと曖昧にしゃべったが、イースは合点がいったようだ。
「うへっ。きもち悪い!」
「股間? ……ああ。そういえば、マクシミリアン――王子殿下にまさぐられましたね。それで優位に立てるのですか?」
「まさぐられた? お前、握りつぶされたんじゃないのか? 平気か? 相当痛かっただろう?」
「何も握られていませんし、痛みも感じなかったです」
「本当か?」
「はい。この通り」
信じられないという顔のイースに向かって、ロイドはパンツと下着を一緒にずり下ろして股間を露出した。
「ひいーーっ!」
(おや? イースもマクシミリアンと同じ反応をするのですね)
「な、何をっ! 早くしまいなさい!」
ミッチェルは赤面しながらも慌てて上着を脱ぐと、それをロイドの腰に巻いた。
イースの顔も真っ赤だ。
「おまっ、おまっ、お前! まさか――。お、お、女――なのか?」
ロイドの股間はつるっぺただった。
「なぜ黙っていたのです? そんな短い髪で、男の格好をして。なぜですか?」
「ええと――」
(「標準モデルなのです」などと言っても通じませんよね)
「面倒くさいので、魔術で性別をなくしたのです」
ミッチェルとイースは、二人揃ってポカンと馬鹿面をさらした。
「男性器も女性器も付いていません。なので、今は無性です」
ミッチェルはほとほと困り果てた様子で嘆いた。
「魔術師というものが、これほどの変わり者だとは知りませんでした」
ミッチェルは改めてロイドによく言い含めた。
「今の発言は二度としないでください。絶対に誰にも言ってはなりません。いいですか。ここにいる三人だけの秘密ですよ。まったく君って人は――」
ミッチェルはマクシミリアンのことを思うと胸が痛んだ。
正気に戻ったマクシミリアンは女性の股間をまさぐったという、取り返しのつかない自分の愚行に打ちひしがれるだろう。
彼はああ見えて女性や子どもには優しい。
それに「王族としての品位」にうるさい兄を見て育ったのだ。
使用人とはいえ女性の股間を――しかも大衆の面前で――触ったとなると、それ相応の対応をしなければならない。
マクシミリアンが世間知らずとはいえ、その事実が公になった時にもたらされる影響については十分想像できるはずだ。
ロイドの件は公にされることはないだろう。マクシミリアンが罪悪感を抱えて終わりだ。
(当の本人が正気に戻ってから、おかしな行動を取らなければいいのですが……)
ミッチェルはロイドの「性」問題を片付けることにした。
「ロイド。先ほどマクシミリアンに触られた時、君は無性だったと言いましたね。本当に女性ではなかったのですね?」
「はい。女性性を付けると、こうなりますから」
(確か、胸は大きければ大きいほど好まれるのでしたね)
ロイドは女性性を実装した。
シャツを着たまま九十センチのGカップまで一気に膨らませたため、膨張に耐えかねて前ボタンが二つ弾け飛んだ。
「うわっ」
イースは飛んできたボタンを避けながらもロイドの胸を凝視している。
「お前――。マジか――。私のことも女にしたり男にしたりできるのか?」
「いえ。自分の性しか変更できません」
「なんだよ――。期待させんなよ」
イースはあからさまに気落ちしていた。
「本物の女性になりたいのですか?」
ミッチェルとイースが同時にビクンと弾かれたようにロイドを睨んだ。
「どういう意味ですか? いえ。イースを貶めるような発言は許しません。今後一切、この話題は禁止します」
(なぜでしょう? それにしても二人の心拍数の上昇は異常です)
「とにかく!」
ミッチェルは全身から殺意を放出し始めた。
「ロイド。君はこの城では男として認識されています。今後もそのように振る舞ってください。ただし、マクシミリアンが君を女性と認識してしまった以上、女性になる可能性も残しておくことにします。この先誰かに性別を尋ねられても――まあそんなことは起こらないと思いますが、答えてはなりません。無言を貫くのですよ」
(男性のように振る舞いながらも、いざという時には女性にもなれるように?)
「分かりました」
「分かったのなら、元の状態に戻しなさい!」
イースがおずおずと尋ねた。
「お、お祖父様に報告は――」
ミッチェルの頭に王宮にいる面々が、特に王の側に控えている不気味な男のにやけた顔が浮かんだ。
「マルク様の頭痛の種が増えるだけです。やめておきましょう。ロイドもこれまで通りにするのですから」
ミッチェルに、「魔術を使わないこと」「性別を語らないこと」を誓わされて、ロイドは解放された。
マクシミリアンは二時間程で意識を取り戻すと、マルクやミッチェルの見舞いも断り、そそくさと帰宮の準備を始めた。
マルクたちが見送りに立つ中、マクシミリアンは来た時とは別人のような大人しさで馬に乗っていた。
マクシミリアンを落馬させないためだろう、従者がマクシミリアンの左右にピッタリと付き添っている。
そうして一行は挨拶もそこそこに城門を出ていった。
ロイドは見送りの列に紛れながら未詳Xの姿を追っていた。
つい先程までは厨房の近くでウロウロしていると思ったのに、今や農民たちの後ろを、さも同行者のように歩いている。
どうやら農民の一団に紛れて堂々と城門を出ていくらしい。
城へ入る者には目的や人数を確認するのだが、出ていく者には関心が払われず素通りしている。
(こんな体制では見張っているうちには入りませんね)
ロイドはため息をつきたくなった。
(未詳Xの目的を知りたいですね。誰の差し金でしょうか。それに王族たちはミッチェルと懇意にしているようですから、この先お会いすることがあるかもしれません。俄然、興味がわいてきました)
ロイドは王宮にもドローンを派遣することにした。
王族と未詳Xの監視。未詳Xを放った首謀者の解明。それとついでに王宮のマップ作成。
軽い飛行音を鳴らして、銅貨ほどのドローン十機が飛びたっていった。
訪問客がいなければ近寄る者がいない部屋だ。家具もない。ただの箱のような小さな部屋。
そこに入るや否や、イースが口を開いた。
「ロイド! さっきのはなんだ? 魔術を使ったのか? マクシミリアンはお前の魔術でぶっ倒れたのか?!」
いつもならイースをなだめるミッチェルも、手厳しい言葉で怒りをそのままロイドにぶつけた。
「魔術は使用禁止と言ったはずです! どうして守れないのですか! 王族相手に自分が何をしたのか、分かっているのですか!」
(全く分かりません。失態をおかした分は、直後に穴埋めできたと思いますが)
「まったく。マクシミリアンには私からもう一度念を押すつもりですが、従者たちがうっかり口をすべらそうものなら、王宮からどんな要求をされることやら――」
ロイドは発言を躊躇した。何を言っても、今はミッチェルを逆上させてしまいそうな気がした。
マザーのアドバイスがほしいところだ。
イースは政治的な話題には興味がないようで、しきりに試合中に何があったのかを知りたがった。
「従者にはマクシミリアンが厳しく申し付けるはずだ。負けたなんて言えるはずがないからな。それより、さっきのはなんだったんだ? どうしてマクシミリアンはぶっ倒れたんだ?」
(本当になぜでしょう?)
「さあ。彼がなぜ、ああも狼狽して倒れたのか、私にも分かりません」
ミッチェルは仏頂面のままつぶやいた。
「まあ、それは――。彼の悪しき習慣です。あの行為は軍隊仕込みなのですよ。彼の幼少期の指南役が悪いのです」
イースもロイドもピンときていない表情で、ミッチェルの言葉の続きを待っている。
皆まで言わねば分からないのかと、ミッチェルは頭痛がしてきそうで目頭を抑えた。
「こちらが相手より絶対的に優っていると分からせるために、股間を――。その、――を握るのですよ」
ミッチェルは口にするのも汚らわしいと、モゴモゴと曖昧にしゃべったが、イースは合点がいったようだ。
「うへっ。きもち悪い!」
「股間? ……ああ。そういえば、マクシミリアン――王子殿下にまさぐられましたね。それで優位に立てるのですか?」
「まさぐられた? お前、握りつぶされたんじゃないのか? 平気か? 相当痛かっただろう?」
「何も握られていませんし、痛みも感じなかったです」
「本当か?」
「はい。この通り」
信じられないという顔のイースに向かって、ロイドはパンツと下着を一緒にずり下ろして股間を露出した。
「ひいーーっ!」
(おや? イースもマクシミリアンと同じ反応をするのですね)
「な、何をっ! 早くしまいなさい!」
ミッチェルは赤面しながらも慌てて上着を脱ぐと、それをロイドの腰に巻いた。
イースの顔も真っ赤だ。
「おまっ、おまっ、お前! まさか――。お、お、女――なのか?」
ロイドの股間はつるっぺただった。
「なぜ黙っていたのです? そんな短い髪で、男の格好をして。なぜですか?」
「ええと――」
(「標準モデルなのです」などと言っても通じませんよね)
「面倒くさいので、魔術で性別をなくしたのです」
ミッチェルとイースは、二人揃ってポカンと馬鹿面をさらした。
「男性器も女性器も付いていません。なので、今は無性です」
ミッチェルはほとほと困り果てた様子で嘆いた。
「魔術師というものが、これほどの変わり者だとは知りませんでした」
ミッチェルは改めてロイドによく言い含めた。
「今の発言は二度としないでください。絶対に誰にも言ってはなりません。いいですか。ここにいる三人だけの秘密ですよ。まったく君って人は――」
ミッチェルはマクシミリアンのことを思うと胸が痛んだ。
正気に戻ったマクシミリアンは女性の股間をまさぐったという、取り返しのつかない自分の愚行に打ちひしがれるだろう。
彼はああ見えて女性や子どもには優しい。
それに「王族としての品位」にうるさい兄を見て育ったのだ。
使用人とはいえ女性の股間を――しかも大衆の面前で――触ったとなると、それ相応の対応をしなければならない。
マクシミリアンが世間知らずとはいえ、その事実が公になった時にもたらされる影響については十分想像できるはずだ。
ロイドの件は公にされることはないだろう。マクシミリアンが罪悪感を抱えて終わりだ。
(当の本人が正気に戻ってから、おかしな行動を取らなければいいのですが……)
ミッチェルはロイドの「性」問題を片付けることにした。
「ロイド。先ほどマクシミリアンに触られた時、君は無性だったと言いましたね。本当に女性ではなかったのですね?」
「はい。女性性を付けると、こうなりますから」
(確か、胸は大きければ大きいほど好まれるのでしたね)
ロイドは女性性を実装した。
シャツを着たまま九十センチのGカップまで一気に膨らませたため、膨張に耐えかねて前ボタンが二つ弾け飛んだ。
「うわっ」
イースは飛んできたボタンを避けながらもロイドの胸を凝視している。
「お前――。マジか――。私のことも女にしたり男にしたりできるのか?」
「いえ。自分の性しか変更できません」
「なんだよ――。期待させんなよ」
イースはあからさまに気落ちしていた。
「本物の女性になりたいのですか?」
ミッチェルとイースが同時にビクンと弾かれたようにロイドを睨んだ。
「どういう意味ですか? いえ。イースを貶めるような発言は許しません。今後一切、この話題は禁止します」
(なぜでしょう? それにしても二人の心拍数の上昇は異常です)
「とにかく!」
ミッチェルは全身から殺意を放出し始めた。
「ロイド。君はこの城では男として認識されています。今後もそのように振る舞ってください。ただし、マクシミリアンが君を女性と認識してしまった以上、女性になる可能性も残しておくことにします。この先誰かに性別を尋ねられても――まあそんなことは起こらないと思いますが、答えてはなりません。無言を貫くのですよ」
(男性のように振る舞いながらも、いざという時には女性にもなれるように?)
「分かりました」
「分かったのなら、元の状態に戻しなさい!」
イースがおずおずと尋ねた。
「お、お祖父様に報告は――」
ミッチェルの頭に王宮にいる面々が、特に王の側に控えている不気味な男のにやけた顔が浮かんだ。
「マルク様の頭痛の種が増えるだけです。やめておきましょう。ロイドもこれまで通りにするのですから」
ミッチェルに、「魔術を使わないこと」「性別を語らないこと」を誓わされて、ロイドは解放された。
マクシミリアンは二時間程で意識を取り戻すと、マルクやミッチェルの見舞いも断り、そそくさと帰宮の準備を始めた。
マルクたちが見送りに立つ中、マクシミリアンは来た時とは別人のような大人しさで馬に乗っていた。
マクシミリアンを落馬させないためだろう、従者がマクシミリアンの左右にピッタリと付き添っている。
そうして一行は挨拶もそこそこに城門を出ていった。
ロイドは見送りの列に紛れながら未詳Xの姿を追っていた。
つい先程までは厨房の近くでウロウロしていると思ったのに、今や農民たちの後ろを、さも同行者のように歩いている。
どうやら農民の一団に紛れて堂々と城門を出ていくらしい。
城へ入る者には目的や人数を確認するのだが、出ていく者には関心が払われず素通りしている。
(こんな体制では見張っているうちには入りませんね)
ロイドはため息をつきたくなった。
(未詳Xの目的を知りたいですね。誰の差し金でしょうか。それに王族たちはミッチェルと懇意にしているようですから、この先お会いすることがあるかもしれません。俄然、興味がわいてきました)
ロイドは王宮にもドローンを派遣することにした。
王族と未詳Xの監視。未詳Xを放った首謀者の解明。それとついでに王宮のマップ作成。
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