無愛想な仕立て屋と、ふわふわ受付嬢 〜ぬいぐるみ仕立て屋さんの日常〜

miigumi

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【第2話:週に一度のぬいぐるみ日和】

 翌週の決まった曜日、ゼクの仕立て屋の扉がまた、控えめに開いた。

 カラン──。

「……こんにちは。来ちゃいました」

 ぬいぐるみを届けた受付嬢――ココが、前と同じような控えめな笑顔で立っていた。

 ゼクは、ひと針を終えてから、ゆっくりと顔を上げる。

「……なんの用だ」

「用って……その、前に、ここでぬいぐるみを直してもらって……あの子、すごく嬉しそうだったから」

 言いながら、ココはバッグからその“あの子”を取り出す。
 片耳を縫い直されたうさぎのぬいぐるみは、布の光沢がきれいになって、確かにどこか、幸せそうな顔をしていた。

「お礼に来たのもあるんですけど……えっと、私、今日お休みなんです。もし迷惑じゃなければ、ちょっとだけ手伝っても……」

「……縫えるのか」

「……がんばります」

 ゼクはしばらく無言で彼女を見ていたが、やがて棚の上のベリィに目をやった。
 ベリィはいつも通り黙って座っていたが、なんとなく首がこてりと傾いたように見える。

 ため息ひとつ、静かに落とす。

「……そこに布がある。散らかすなよ」

「はい!」

 満面の笑みを浮かべて、ココはエプロンを取り出した。
 リボンがふわりと揺れた。

 ゼクは視線を戻し、針を手に取る。

 ──針先が、いつもより軽かった。
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