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【第4話:あたためる布】
「……冷たいですね、今日」
ぬいぐるみの袖をまつっていたココが、指先をぎゅっと握って言った。
「この季節、布が冷えるんですね。針、ちょっと持ちにくくて……」
ゼクは隣で黙々と縫っていたが、その言葉にほんの一瞬、針の動きを止めた。
「手袋、忘れちゃって」
ココは笑った。いつも通りの、柔らかくて、あったかい笑顔。
「でも大丈夫です。ベリィさんに触ると、ぽかぽかしますから」
棚の上のベリィに、そっと触れるココを見て、
ゼクは「……あいつは、ストーブじゃねぇぞ」とぼそりと呟いた。
•
その日の閉店後、ココは一度ギルドに戻ると言って帰っていった。
ゼクは、誰もいなくなった静かな店内で、そっと棚の布箱を開ける。
出したのは、淡いラベンダー色のやわらかい布。
普段は使わない、少しだけ花の香りがするもの。
「……あのやわらかい手じゃ、冬場の針はきついか」
ゼクは、自分でも理由がわからないまま、
その布を手に取って、手袋の型紙を探し始めた。
音も立てず、手だけが動いていく。
気づけば――ベリィが、針箱の上でこてんと首を傾けていた。
「……見てんなよ」
ゼクはつぶやいた。けれど、手は止まらなかった。
•
翌週、いつもの曜日にココがやってくる。
「こんにちは、ゼクさん! あっ……これ、私の席の上に……?」
そこには、小さく折りたたまれたラベンダー色の手袋。
ぬいぐるみ用にしては大きく、でも、ココの手にぴったりだった。
「……サイズ間違えて作った。捨てるのももったいねぇから、置いといただけだ」
「……ふふ。ありがとうございます」
「違ぇよ」
「ありがとうございます、ゼクさん」
ゼクは何も言わなかった。
けれどベリィが、小さく笑ったように見えた。
「……冷たいですね、今日」
ぬいぐるみの袖をまつっていたココが、指先をぎゅっと握って言った。
「この季節、布が冷えるんですね。針、ちょっと持ちにくくて……」
ゼクは隣で黙々と縫っていたが、その言葉にほんの一瞬、針の動きを止めた。
「手袋、忘れちゃって」
ココは笑った。いつも通りの、柔らかくて、あったかい笑顔。
「でも大丈夫です。ベリィさんに触ると、ぽかぽかしますから」
棚の上のベリィに、そっと触れるココを見て、
ゼクは「……あいつは、ストーブじゃねぇぞ」とぼそりと呟いた。
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その日の閉店後、ココは一度ギルドに戻ると言って帰っていった。
ゼクは、誰もいなくなった静かな店内で、そっと棚の布箱を開ける。
出したのは、淡いラベンダー色のやわらかい布。
普段は使わない、少しだけ花の香りがするもの。
「……あのやわらかい手じゃ、冬場の針はきついか」
ゼクは、自分でも理由がわからないまま、
その布を手に取って、手袋の型紙を探し始めた。
音も立てず、手だけが動いていく。
気づけば――ベリィが、針箱の上でこてんと首を傾けていた。
「……見てんなよ」
ゼクはつぶやいた。けれど、手は止まらなかった。
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翌週、いつもの曜日にココがやってくる。
「こんにちは、ゼクさん! あっ……これ、私の席の上に……?」
そこには、小さく折りたたまれたラベンダー色の手袋。
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「……サイズ間違えて作った。捨てるのももったいねぇから、置いといただけだ」
「……ふふ。ありがとうございます」
「違ぇよ」
「ありがとうございます、ゼクさん」
ゼクは何も言わなかった。
けれどベリィが、小さく笑ったように見えた。
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