31 / 44
31
しおりを挟む
【第29話:名もなき感応、それは優しさという刃】
ギルド地下の記録室。
誰もいないはずのその場所で、Luaは古びた“封印済み”の資料棚に手を伸ばしていた。
【アクセス注意】
《共鳴因子と未分類スキルの生成》
《分類不能:通常の戦闘系/回復系に属さない精神感応型スキル》
Luaは、開いたページに記された一文を読んだ。
『スキル名未定:“心景浸透(仮)”』
《高感応個体が幻獣とリンクすることで発現。意識の一部を他者へ投影し、心の状態を読む/和らげる》
《※戦闘中に発動した場合、敵意を緩和する可能性あり》
《現在は実装予定なし》
Luaの胸が、静かに波打った。
「……実装予定なし……でも、私とラテなら」
ページの角に、かすかに光る印があった。
《スキル条件一致:感応リンクLv2/幻獣共鳴安定中》
《新スキルを習得しますか?》
→ YES
Luaは迷わず、手を添えた。
《新スキル:心景浸透(しんけいしんとう) を習得しました》
《ラテとの共鳴によって使用可能。効果:対象の精神状態に共鳴し、安定をもたらす。副効果:敵意緩和》
《注意:スキルの使用中、Luaの感情にも影響あり》
⸻
Luaはラテを見た。
ラテは、静かに近づいてきて、Luaの手に鼻先を寄せた。
「……これって、ラテと私が一緒にここまで来たから、生まれたスキルだよね」
ラテは、きゅうっと鳴いた。
まるで「そうだよ」と言うように。
Luaは胸に手を当てる。
「この力、きっと“影”にも届く。……届かせてみせる」
ギルド地下の記録室。
誰もいないはずのその場所で、Luaは古びた“封印済み”の資料棚に手を伸ばしていた。
【アクセス注意】
《共鳴因子と未分類スキルの生成》
《分類不能:通常の戦闘系/回復系に属さない精神感応型スキル》
Luaは、開いたページに記された一文を読んだ。
『スキル名未定:“心景浸透(仮)”』
《高感応個体が幻獣とリンクすることで発現。意識の一部を他者へ投影し、心の状態を読む/和らげる》
《※戦闘中に発動した場合、敵意を緩和する可能性あり》
《現在は実装予定なし》
Luaの胸が、静かに波打った。
「……実装予定なし……でも、私とラテなら」
ページの角に、かすかに光る印があった。
《スキル条件一致:感応リンクLv2/幻獣共鳴安定中》
《新スキルを習得しますか?》
→ YES
Luaは迷わず、手を添えた。
《新スキル:心景浸透(しんけいしんとう) を習得しました》
《ラテとの共鳴によって使用可能。効果:対象の精神状態に共鳴し、安定をもたらす。副効果:敵意緩和》
《注意:スキルの使用中、Luaの感情にも影響あり》
⸻
Luaはラテを見た。
ラテは、静かに近づいてきて、Luaの手に鼻先を寄せた。
「……これって、ラテと私が一緒にここまで来たから、生まれたスキルだよね」
ラテは、きゅうっと鳴いた。
まるで「そうだよ」と言うように。
Luaは胸に手を当てる。
「この力、きっと“影”にも届く。……届かせてみせる」
0
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
後宮妃よ、紅を引け。~寵愛ではなく商才で成り上がる中華ビジネス録~
希羽
ファンタジー
貧しい地方役人の娘、李雪蘭(リ・セツラン)には秘密があった。それは、現代日本の化粧品メーカーに勤めていた研究員としての前世の記憶。
彼女は、皇帝の寵愛を勝ち取るためではなく、その類稀なる知識を武器に、後宮という巨大な市場(マーケット)で商売を興すという野望を抱いて後宮入りする。
劣悪な化粧品に悩む妃たちの姿を目の当たりにした雪蘭は、前世の化学知識を駆使して、肌に優しく画期的な化粧品『玉肌香(ぎょくきこう)』を開発。その品質は瞬く間に後宮の美の基準を塗り替え、彼女は忘れられた妃や豪商の娘といった、頼れる仲間たちを得ていく。
しかし、その成功は旧来の利権を握る者たちとの激しい対立を生む。知略と心理戦、そして科学の力で次々と危機を乗り越える雪蘭の存在は、やがて若き皇帝・叡明(エイメイ)の目に留まる。齢二十五にして帝国を統べる聡明な彼は、雪蘭の中に単なる妃ではない特別な何かを見出し、その類稀なる才覚を認めていく。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる