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【第42話:誘いの手と、今の居場所】
仮拠点でスープの鍋を洗っていたLuaのもとに、
ギルド《トリムレイド》から一通のメッセージが届いた。
【ギルド《トリムレイド》:副官ミナより】
お時間があれば、軽い情報交換などいかがでしょうか。
強制ではありません。現在地付近のカフェにおります。
Luaはその名前に見覚えがあった。
以前、街の中で少しだけ言葉を交わした“情報屋の女性”。
丁寧で控えめな態度だったが、どこか“探ってくる”雰囲気を感じていた。
⸻
カフェに向かうと、ミナは落ち着いた様子で席に着いていた。
彼女はにこやかに頭を下げる。
「来てくださってありがとうございます、Luaさん。
まずは、あなたのスキルについて無理に聞くつもりはありません」
Luaは少しだけ表情をゆるめた。
ラテが足元でちょこんと座っている。
「……じゃあ、なにを?」
「最近、あなたと幻獣のスキルに興味を持っているギルドや個人が増えています。
中には、スカウトを名目に接触してくる方もいるようで」
Luaは少しだけ顔を伏せた。
「……ありがたいけど、今は――まだ、いい。
ラテと、静かにやっていきたいから」
ミナは静かに頷いた。
「分かりました。私は、それを尊重します。
ただ、もし何か困ったことがあれば……いつでも連絡ください。
あなたのような人が、この世界にいること自体が、“価値”ですから」
Luaは目を見開き、少しだけ笑った。
「……ありがとう。でも、私は……」
ほんの少しだけ喉が詰まる。
Luaはラテの頭を撫でた。
「私、モブでいいと思ってた。
でも……ラテと過ごして、料理して、時々戦って……
なんか、これが私の“場所”なのかもって、思い始めてる」
⸻
ミナはその言葉を聞き、静かに立ち上がった。
「――あなたは、もうモブではありません。
ただ、“静かな主役”なのかもしれませんね」
⸻
Luaは、去っていく背中を見送りながら、ラテと視線を交わす。
「……ラテ、帰ろっか」
「わんっ」
Luaは立ち上がり、少しだけ背筋を伸ばした。
(この世界で、“私”を見つけていく――それで、いい)
仮拠点でスープの鍋を洗っていたLuaのもとに、
ギルド《トリムレイド》から一通のメッセージが届いた。
【ギルド《トリムレイド》:副官ミナより】
お時間があれば、軽い情報交換などいかがでしょうか。
強制ではありません。現在地付近のカフェにおります。
Luaはその名前に見覚えがあった。
以前、街の中で少しだけ言葉を交わした“情報屋の女性”。
丁寧で控えめな態度だったが、どこか“探ってくる”雰囲気を感じていた。
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カフェに向かうと、ミナは落ち着いた様子で席に着いていた。
彼女はにこやかに頭を下げる。
「来てくださってありがとうございます、Luaさん。
まずは、あなたのスキルについて無理に聞くつもりはありません」
Luaは少しだけ表情をゆるめた。
ラテが足元でちょこんと座っている。
「……じゃあ、なにを?」
「最近、あなたと幻獣のスキルに興味を持っているギルドや個人が増えています。
中には、スカウトを名目に接触してくる方もいるようで」
Luaは少しだけ顔を伏せた。
「……ありがたいけど、今は――まだ、いい。
ラテと、静かにやっていきたいから」
ミナは静かに頷いた。
「分かりました。私は、それを尊重します。
ただ、もし何か困ったことがあれば……いつでも連絡ください。
あなたのような人が、この世界にいること自体が、“価値”ですから」
Luaは目を見開き、少しだけ笑った。
「……ありがとう。でも、私は……」
ほんの少しだけ喉が詰まる。
Luaはラテの頭を撫でた。
「私、モブでいいと思ってた。
でも……ラテと過ごして、料理して、時々戦って……
なんか、これが私の“場所”なのかもって、思い始めてる」
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ミナはその言葉を聞き、静かに立ち上がった。
「――あなたは、もうモブではありません。
ただ、“静かな主役”なのかもしれませんね」
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Luaは、去っていく背中を見送りながら、ラテと視線を交わす。
「……ラテ、帰ろっか」
「わんっ」
Luaは立ち上がり、少しだけ背筋を伸ばした。
(この世界で、“私”を見つけていく――それで、いい)
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