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8章
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第69話『まあるい声を、つなげていく』
*
町の集会所。
リィナは、胸の前でノートを抱えて、住人たちの前に立っていた。
「今回、王都から“交流拠点”としてこの町を広げたいという話が来ました。
でも、それが“管理”になってしまうのは、わたしも、皆さんも望んでいません」
「だから――“この町らしいかたちでの共存”を、わたしは提案したいんです」
ピノとモルは隅の席でおとなしく(してるつもりで)座っている。
ユルも、壁際で小さくなっていたが、ちゃんとその場にいた。
⸻
パン屋の奥さん
「外の人が増えるのは不安。でも、ピノたちと暮らしてきたこの町なら……受け入れる形を選べると思う」
雑貨屋のおばあちゃん
「“王都に見せる町”じゃなく、“町を見せる王都”であってほしいねえ」
⸻
それぞれの声が、リィナのノートにひとつずつ積み重ねられていった。
(わたしが決めるんじゃない。わたしたちが、作っていく)
*
その帰り道。広場で、小さな女の子が転んで泣いていた。
手には、屋台で買ったばかりの飴玉がころんと転がっている。
誰より早く駆け寄ったのは――ユルだった。
影をすべらせるように近づき、そっと飴玉を拾い、
自分のポーチから取り出した“自分用クッキー”を差し出す。
「……ごめん。これ、かわり」
女の子は涙を止めて、ぽかんとしたあと――にっこり笑った。
「ありがとう、くろねこさん!」
遠くでそれを見ていた町の人たちが、どこかほっとした顔になる。
リィナはその様子を見て、小さくつぶやいた。
「ユルは、ちゃんとこの町に“いる”」
*
その夜、リィナはレオとともにノートを広げ、王都への提案をまとめていた。
「“共存拠点”ではなく、“交流の窓”という名称で」
「“町の側から受け入れる”という順序をはっきりさせて」
「そして、魔物たちの“意志”が尊重される仕組みも」
レオは静かに頷く。
「まるで、この町そのものを“言葉”にするようですね」
「……この町が、“わたしたち”のまま未来に続いていくように、言葉を選びたいんです」
*
町の集会所。
リィナは、胸の前でノートを抱えて、住人たちの前に立っていた。
「今回、王都から“交流拠点”としてこの町を広げたいという話が来ました。
でも、それが“管理”になってしまうのは、わたしも、皆さんも望んでいません」
「だから――“この町らしいかたちでの共存”を、わたしは提案したいんです」
ピノとモルは隅の席でおとなしく(してるつもりで)座っている。
ユルも、壁際で小さくなっていたが、ちゃんとその場にいた。
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パン屋の奥さん
「外の人が増えるのは不安。でも、ピノたちと暮らしてきたこの町なら……受け入れる形を選べると思う」
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「“王都に見せる町”じゃなく、“町を見せる王都”であってほしいねえ」
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それぞれの声が、リィナのノートにひとつずつ積み重ねられていった。
(わたしが決めるんじゃない。わたしたちが、作っていく)
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その帰り道。広場で、小さな女の子が転んで泣いていた。
手には、屋台で買ったばかりの飴玉がころんと転がっている。
誰より早く駆け寄ったのは――ユルだった。
影をすべらせるように近づき、そっと飴玉を拾い、
自分のポーチから取り出した“自分用クッキー”を差し出す。
「……ごめん。これ、かわり」
女の子は涙を止めて、ぽかんとしたあと――にっこり笑った。
「ありがとう、くろねこさん!」
遠くでそれを見ていた町の人たちが、どこかほっとした顔になる。
リィナはその様子を見て、小さくつぶやいた。
「ユルは、ちゃんとこの町に“いる”」
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その夜、リィナはレオとともにノートを広げ、王都への提案をまとめていた。
「“共存拠点”ではなく、“交流の窓”という名称で」
「“町の側から受け入れる”という順序をはっきりさせて」
「そして、魔物たちの“意志”が尊重される仕組みも」
レオは静かに頷く。
「まるで、この町そのものを“言葉”にするようですね」
「……この町が、“わたしたち”のまま未来に続いていくように、言葉を選びたいんです」
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