『転生モブと魔獣の相棒ごはん屋 秘密を抱えた常連様に惹かれて』

miigumi

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2章

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◆第40話 「もう一膳ください」

「……いらっしゃいませ」

朝より少し遅れて開けた「モフのしっぽ亭」に、扉の音が響いた。

ミレイアは、ラテの「もふ」という控えめな鳴き声に気づいて顔を上げる。

そこに立っていたのは――

「おかわり、いいですか?」

少しだけ照れたように笑う、騎士の青年――レオンだった。

ミレイアは驚いたように目を見開いて、すぐに笑顔になった。

「うん。もちろん。今日の“こころのだし膳”、炊き込みには山菜も入れてみたんだ」

「それは……楽しみです」

レオンは甲冑の一部を外して、そっと椅子に腰を下ろす。

そして湯気の立つごはんと茶碗蒸しが運ばれてくると、
手を合わせて言った。

「……いただきます」

* * *

その姿を、通りからそっと覗く者たちがいた。

詰所でレオンの様子を聞いた数名の騎士たちが、
どこか信じられない思いで店を見ていた。

「あいつ、また行ったのか……」

「……あの顔、泣いてた人間の顔じゃなかったな」

「逆に、救われてる顔だった」

彼らは店に入らなかった。
けれど、その場を離れた時、
どこか心の中に温かいものが残っていた。

* * *

「おかわり、いる?」

「……ください」

ミレイアが笑って差し出したごはんを、
レオンは黙って頷いて受け取った。

「前より、ちょっと顔がやわらかくなった気がするよ」

「たぶん、それは……あなたのごはんのせいです」

ミレイアは少しだけ頬を赤らめた。

「ありがとう。でも、わたし、何もしてないよ。
ここで、ただ……ごはんを作ってるだけ」

「それが、今の僕には“十分すぎること”なんです」

レオンはふと、スプーンを止めた。

「……また来ていいですか?」

「もちろん!」

ミレイアの笑顔は、どこまでもまっすぐだった。

そしてそれは、
剣も盾も持たない彼女の、いちばん強い“光”だった。
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