21 / 27
第7章
第2話
しおりを挟む
「子供用の武器があればいいんだがな」
武器庫前では、聖騎士団専用の支給武器が、ずらりと並んでいた。
イバンはその中から、予備隊の剣を選ぶ。
「そういえば、あれから剣の訓練を続けているか?」
俺は首を横に振った。
これは訓練用の武器なのだろうか。
随分使い込まれているが、しっかりと整備され、ご丁寧に加護までついている。
「……。あのメンバーの中じゃ、それは出来ないか」
イバンは子供用の剣を手に取ると、丹念に一本一本、その刃先を確認している。
「魔道士の体質を持って生まれてくることは、それは恵まれたことだ。だけどもしあの魔王に、剣の腕があったらどうだったのだろうと、私は思うのだよ。それは単純に、私が剣士だからかもしれない。だから余計に、そんなことを考えるのかもな」
「魔王は剣士に敗れたから」
俺はイバンを見上げる。
「きっと魔道士より、剣士の方が強いよ。だって、大魔王エルグリムを倒した勇者スアレスさまは、剣士だったもの」
「そうだな」
イバンの大きな手が、俺の頭をしっかりと撫でる。
「お前が心配することは、何もない。これは大人の問題だ。未来にツケは残さない。そのために私たちがここにいる」
「俺もここにいるのに?」
「はは、そうだったな。ナバロも立派な、調査隊の一員だ」
調査期間は、十日で一区切りとされていた。
一度に携帯できる食料の問題と、悪夢を我がものにせんとするヤカラを排するための他、経過報告など、色々理屈があるようだ。
コンパクトにまとめられた携帯備品を受け取る。
「十日で本当に見つけられると、思ってるのかしらね? 中央議会はやる気あんの?」
フィノーラは、ナイフ状の双剣を背に担いでいる。
またよりにもよって、乱暴な武器を選んだものだ。
「ローラー作戦だ。代表者に地図が配られている。人員を増やして、担当地区を手分けし、くまなく捜索するんだ」
ディータはライフルを肩にかけてた。
「どっちにしろ、先に見つけたモン勝ちだろ。報奨金を手にするか、砕いて持ち去るか」
「ハンマーは私が持っている」
それは聖騎士団の団員だけが持てる、特殊なハンマーだった。
大賢者ユファの祝福が与えられたハンマーで、悪夢を打ち砕くことの出来る、唯一のマジックアイテムだという。
「とにかく、十日で与えられた範囲を調査する。準備は出来たか? 出発だ!」
空を見上げる。
青く高く澄んだ空に、闇よりも黒く巨城がそびえ立つ。
俺たちはそこへ向かって、侵入を開始した。
武器庫前では、聖騎士団専用の支給武器が、ずらりと並んでいた。
イバンはその中から、予備隊の剣を選ぶ。
「そういえば、あれから剣の訓練を続けているか?」
俺は首を横に振った。
これは訓練用の武器なのだろうか。
随分使い込まれているが、しっかりと整備され、ご丁寧に加護までついている。
「……。あのメンバーの中じゃ、それは出来ないか」
イバンは子供用の剣を手に取ると、丹念に一本一本、その刃先を確認している。
「魔道士の体質を持って生まれてくることは、それは恵まれたことだ。だけどもしあの魔王に、剣の腕があったらどうだったのだろうと、私は思うのだよ。それは単純に、私が剣士だからかもしれない。だから余計に、そんなことを考えるのかもな」
「魔王は剣士に敗れたから」
俺はイバンを見上げる。
「きっと魔道士より、剣士の方が強いよ。だって、大魔王エルグリムを倒した勇者スアレスさまは、剣士だったもの」
「そうだな」
イバンの大きな手が、俺の頭をしっかりと撫でる。
「お前が心配することは、何もない。これは大人の問題だ。未来にツケは残さない。そのために私たちがここにいる」
「俺もここにいるのに?」
「はは、そうだったな。ナバロも立派な、調査隊の一員だ」
調査期間は、十日で一区切りとされていた。
一度に携帯できる食料の問題と、悪夢を我がものにせんとするヤカラを排するための他、経過報告など、色々理屈があるようだ。
コンパクトにまとめられた携帯備品を受け取る。
「十日で本当に見つけられると、思ってるのかしらね? 中央議会はやる気あんの?」
フィノーラは、ナイフ状の双剣を背に担いでいる。
またよりにもよって、乱暴な武器を選んだものだ。
「ローラー作戦だ。代表者に地図が配られている。人員を増やして、担当地区を手分けし、くまなく捜索するんだ」
ディータはライフルを肩にかけてた。
「どっちにしろ、先に見つけたモン勝ちだろ。報奨金を手にするか、砕いて持ち去るか」
「ハンマーは私が持っている」
それは聖騎士団の団員だけが持てる、特殊なハンマーだった。
大賢者ユファの祝福が与えられたハンマーで、悪夢を打ち砕くことの出来る、唯一のマジックアイテムだという。
「とにかく、十日で与えられた範囲を調査する。準備は出来たか? 出発だ!」
空を見上げる。
青く高く澄んだ空に、闇よりも黒く巨城がそびえ立つ。
俺たちはそこへ向かって、侵入を開始した。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる