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嵐のあと
武たちは二日ほど滞在して帰って行った。その間に学院都市をいろいろと巡り、在校生たちの様々な言葉に耳を傾けて改革や改善を学院側に要請した。
その有様はまるで野分が辺りをかき乱して行ったかのようだった。
しかし確実に生徒たちの意識が変化したのがわかる。葵が行っていたのは所謂『恐怖政治』だ。彼の意向に沿うことだけが要求されていて、それ以外は無視か……時と場合によっては怒りを買った。それは朔耶と三日月が去った後に更に顕著になり、怪我を理由に月耶が学院から搬送され、同級生の一部や教諭である行長がいなくなってからは更に酷く激しくなった。
元の穏やかな学院生活を懐かしみ、変貌した有様に疲れて去って行った生徒も多かった。それすらも『裏切り者』と呼び、武に与する者と葵は呼んだ。
武が三年生の内の身分の高い者を幾人か呼んで、皆がいなくなった後の高等部の状態を聞いて謝罪したのを、静麿も蓮も見て驚いた。武には何の責任もない。むしろ葵は彼に強く反発して、敵対視すらしていたという証言を聞いたばかりだったのだ。
その点を静麿が口にすると武はこう答えた。
「薫は本人がどう思おうとも、俺の弟分だからな。その伴侶である葵の所業も俺の監督責任だ」
「そうですね。同じ立場として彼に教え諭せなかった私にも責任があります」
夕麿も静かに頭を垂れて謝罪する。
二人のその姿は美しくもあった。
真の意味で『誇り高く』ある姿と意味を示された気分だった。しかも二人は自然に当たり前のように振る舞った。
「静麿、あれが武さまだ」
周が穏やかに微笑んで言った。
静麿はもう一度自分を省みてみようと考えていた。同時に行長と月耶に二人のことをもっと聞いてみたかった。蓮も同じことを考え、相談して来たので二人で動くことにした。
……蓮はずっと考えていた。羽林は『主』を得られれば一番である。いかなる職業に就こうとも『主』がある者は揺るがない。彼の特異な能力を嫌いながらも、祖父は羽林の家に生まれる意味をそう告げた。
そして『良岑 貴之』という尊敬する先輩が、武をただ一人の『主』として仕えている。今ならば彼が誇らしげに語った理由が何となく理解できた。
彼ならばこの能力を理解し受け入れてくれる。同時に自分ならば彼のあの能力を理解して、心身にかかる負担を軽減できる。それはわかっている。わかっているからこそ悩むのだ。
能力だけで彼の側近くに仕えるのは正しいことであるかを。そして……忠義とは何であるのか。
かつての貴之と蓮の違いは渇望のあるなしであろうか。あの頃の貴之は決して実るはずのない恋に疲れ果てていた。だから恋に代わるものを痛烈に欲していた。
『氷壁』と呼ばれた夕麿の心を溶かし、またたく間に友人たちの心を捉えた武にいつしか貴之も心に強く惹かれるものがあった。
武しかいないと感じたからこそ、貴之の忠節の誓いがある。
もちろん、蓮はあの当時の貴之の『想い』を知ってはいない。誓いに至った経緯も知る由もない。
ただ、紫霄を訪れた武と伴侶である夕麿の人と成りを、しっかりと実感できた。尊き方々である前に、尊敬と親しみを強く感じていた。
何かの折に都市部で垣間見た薫と葵とは真逆の存在であるとも思った。
また学院内で警護する静麿との違いも感じられた。特に夕麿は静麿と異母兄弟でありながら、こんなに似ることがあるのかと初めて会った時には驚かされた。
だが……夕麿は凄かった。伝説の生徒会長と執行部。彼が率いた第81代は今でもそう呼ばれて、教職員たちからも尊敬され、特別視され続けている。本人のあらゆる言動を経験して、誇張ではなく真実であることも納得した。
ずっと歳上で先輩である雫たち、そして武ですら時として夕麿の言葉に従う。彼の言葉や行動はあまりにも正しく、潔く美しかった。物事の本質を見つめる観察力、必要な情報を集めて瞬時に判断する能力は、彼の弛まない努力の末に存在し、決して一朝一夕で成し遂げられるものではない。
その夕麿が全身全霊で愛も忠節も捧げ尽くしているのが、伴侶であり『主』である武だ。彼の武への『想い』の強さをはっきりと感じた。
そして……武は夕麿とは逆に直観的な人間である。彼の『皇家の霊感』がさらにこの特徴を強めている感じだった。見ていてわかるのは彼は懐に受け入れた者をとても大切にしていることだった。年齢・立場・身分の関係なく、家族や友人、仲間と認めた相手を分け隔てなく扱っている。ただし、当然ではあるが伴侶である夕麿は別である。武は伴侶に対して深い愛情と共に、強い尊敬と憧憬の念も抱いている。
最初、蓮にはそれの理由がよくわからない部分もあった。そこで武の同級生であり、彼が生徒会長であった折の副会長でもあった行長に、詳しくその人と成りについて尋ねてみた。
「君は武さまに仕えるべきだと思ってはいる。けれどそれは私の考えで願いに過ぎない。君は君の意思で未来の道を選択しなさい。たとえ『否』という結論を出したとしても惜しまれはするだろうが、咎める者は誰一人いないだろう。あの方のお側に仕えるということは時として、理不尽さを感じることや……生命の危険に晒されることもある。ゆえに個々の人間が自分で選ばなければ、到底務まるものではないのだよ、あの方の側近の立場は」
はじめにこう言ってから行長は連の疑問に知っている限りの答えてくれた。同時に彼もまた強く忠義を尽くす覚悟でいる一人なのだとも理解した。
「私には『忠義』というものがよくわからないのです」
こう言うと行長は笑って答えた。
「言葉にするのは難しい。ただある人は『恋に似ている』と表現した」
「恋?」
「ある種の愛情であるのかもしれない。そしてそれは人によって姿かたちが違っているのだろう」
こう言われてますます蓮はわからなくなった。
実は蓮には恋の経験がない。『巫』としての能力は古来より『穢れ』を嫌う。性の営みは異性同性を問わず『穢れ』と考えられて来た。場合によっては恋心すら『穢れ』と言われる。それが自分の『宿命』であるとすら思って生きて来た。
たとえ生涯この学院都市に閉じ込められて、持てる能力を使う機会などなかったとしても、天より賜った能力を大切にしなくてはならないと信じていた。だから恋愛そのものを忌避し、自分から遠ざけた。武道を始めたのもどこまでも心身共に強固な『自分』をつくるのが目的だった。小等部の頃は武道の鍛錬のためだけに外に出ることを一族が許してくれた。だが中等部からはその望みも絶たれかけた。救ってくれたのが良岑父子だった。
蓮にとって謎なのは武が、伴侶を得てなおも強い能力を保持している事実だった。あの口伝による禁忌は偽りだったのであろうか。
この点も率直に行長に問いかけた。
「口伝……については私にはわからない。ただ、武さまの能力は幼少時からあられて、あまりにも弊害が多かったそうだ。それでご生母であられる小夜子さまが、暗示のようなもので封印されたとうかがっている。もちろん、素人の行ったことであるから、元々感受性のお高いあの方は周囲の悪意や善意を敏感に察知されて、ストレスで寝込まれることもあったらしい」
それはそうだろう、と蓮は思う。
「能力が再び発動を始めたのは、夕麿さまというご伴侶を得られてからだ。当時、事件があってな……81代執行部のメンバーが狙われた。しかも武さまのご身分が詳らかにされておらず、生徒たちの反感も凄まじかった……」
御園生当主夫人の連れ子が、学院一の身分が貴い生徒会長の伴侶となったのだ。それは反感や反発は当たり前だっただろう。
「ちょっと待って先生、それってイジメがあったってこと?」
黙って二人の会話に耳を傾けていた月耶が口をはさんだ。
「そうだ。正直に言うと私も不満だった」
「ええ⁉もしかして先生もイジメてたの?」
「まさか。そんなことをしたら夕麿さまに睨まれるだろう?」
「うわっ、出た。夕麿さま崇拝」
行長の夕麿への憧れと崇拝については、高等部時代に久留島 成美が散々からかいのネタにしていたので、月耶もよく知るところであった。
「うるさいです、月耶」
「はいはい、黙ります」
両手を軽く挙げて降参したとばかりに言い放つ。
蓮にとってはこの二人の関係も謎だった。行長が学院都市に復帰する条件に彼の大学部への転校許可があったのは聞いている。現在、相談役として高等部の生徒会に顔を出し、住処はこの特待生寮だ。一応は空いている部屋を使用していることになってはいるが、実際には行長の部屋にいる。
しかしこの二人、そういう関係に至ってはいない様子だ。恋愛関係ではあるとは思えるのだが。
「別に黙れとは言っていない。
で、月耶、禁忌についてはお前は何か聞いているか?」
「う~ん、多分、俺より兄さんたちの方が詳しいと思う。ただ俺も同じことを聞いてはいる」
「御影も口伝なのか?」
「うん。でも三日月兄さんがデータにして保存してると思うよ。俺たちが家を継がないならば、家がなくなる可能性もあるからさ。そういうのが消えるのはさすがに問題がある」
兄弟揃って家を出た。両親は傍流から養子を迎えるつもりらしいが、彼らは夫妻の朔耶に対する仕打ちを知っている。そんな所へ大切な子供を養子に出す者はいない。
「お前たちに能力は?」
「ないよ。強いて言うなら一番近いのは、三日月兄さんかな?」
三日月は朔耶の病気への配慮も手伝ってか、兄弟の中では一番周囲の変化にも敏感であるし、ある種のカンのようなものも働く。
「あ~直接聞いた方が良くない、先生?」
「そうだな」
「了解」
月耶はスマホを取り出してコールする。するとすぐに三日月が出た。
『はい』
「あ、三日月兄さん、ちょっと聞きたいことがあってさ……」
月耶がここでの話を兄に説明する。
「あ、みんないるからスピーカーにする」
『こちらも兄さんがいるのでスピーカーにします』
「え?あ~もしかして周先生も一緒?」
『月耶、僕がいると不都合なのか?それならば席を外すが?』
少し離れた場所に立っているのだろう。彼の声が遠めに聴こえる。
「い、いや、大丈夫」
何となく外せと言うと朔耶に怒られそうな気がする。
「周先輩は一時は武さまの大夫を務めていらしたし、何よりも主治医としても近い位置にいられる。意見を伺うのもありだろう」
代わって行長が答えた。
「でも何で朔耶兄さんや周先生も一緒?」
「長与先生も一緒ですよ」
三日月のパートナーである長与 秀一は紫霄の元教諭だ。現在は三日月の卒業時に共に学院都市を出て、現在は難関校受験専門の予備校で教えている。
「そっか。じゃあ、一緒に聞いて意見を聞かせて」
少しでも参考になるものは多い方がいい。
『ですが正解も答えもないかもしれません』
そう言ったのは秀一だった。彼は歴史の教諭だ。ここにいる誰よりも問題に近い場所にいるのかもしれない。
『正解も答えもない?』
朔耶が呟く。
『ああ、あり得るな。武さまのお能力を見て来た側としては、頷けるように感じられる」
周が同意する。
「ケースバイケース、ということでしょうか」
行長が考え込む。
『巫女は処女であるべき、という考えはおそらくは斎宮にそれを求めたからという考え方があります。もっと古い時代になりますとむしろ、能力者の婚姻は推奨されていたのではないかという仮説もあります』
秀一の言葉が響く。
「婚姻を推奨?何で?」
月耶には意味がわからない。彼の知っている『巫能力』を持った人間は男女構わず未婚というのが、伝説的な通説であると信じていたからだった。
「なるほど」
「え?先生、意味が分かるの?」
「多分……長与さん、それはつまり能力者の優秀な血統を確実に継承させるためということですね」
『そうです。その極端な例が日本の皇室や我が皇国の皇家だと考えれば、長きに亘って系統が守られて来た理由がはっきりするでしょう。諸外国はそこに重点をおかず、どちらかと言うと権力志向や宗教的なものが強かったのやもしれません』
「え~だって日本も皇国も宗教関わってるじゃん」
『両国と諸外国の違いは宗教のトップが誰か、ということですね』
得心したというように朔耶が言う。
「あ、そうか。国家元首が宗教の法皇の両国とローマ教皇というトップが別の欧州か」
『中国では禅譲という血筋が移る時に行う儀式がありました』
『天に皇統の移動を報告するわけだな』
周が言う。他の者も電話の向こう側でその言葉に同意する声がした。
『紀記や我が国の歴史書には、天皇や皇帝は主に政事を行い。后が祭祀を行うとされています。ゆえにかつては后も妃も皇統もしくは、その血を受け継いでいる傍流からしか選ばれませんでした』
皇統からの后・妃選び。これが覆されたのは日本では平城京時代の聖武天皇の皇后、藤原安宿媛こと光明皇后である。蓬莱皇国でも似たようなことがあり、現在でもその末裔が宮中で権力を振るい、ある意味では専横を行っている。
『もちろん、あくまでもこれは一つの仮説ではあります。しかし斎宮も任を解かれた後は結婚した方が多いです。ただ平安後期から江戸時代にかけて皇女は婚姻しないのが通例という暗黙の慣習が出来上がっていくのですが、これは斎宮制度とは別に発達しました。皇子も生母の身分が低い方は平安前期では臣籍降下したのですが、後期以降になると出家して法親王になる方が増えています。これは皇統の血の拡散を防いだことが考えられます』
『皮肉なことだな、現代はその皇統の血が先細り傾向にあるというのに』
周が吐き捨てるように言った。
武の祖父である現皇帝に世継ぎの皇子は三人。皇后腹の第一皇子である前の皇太子は既に薨御(皇太子に対して使う言葉)している。彼こそが武の父である。
第二皇子が現在の皇太子で、生母は弘徽殿(後宮の部屋の一つ)女御 九條 嵐子。第三皇子の生母は女官の一人で、家柄も低い。
この第二皇子が薫の父である。
実は第三皇子には男子を含めて五人の子供がいる。臣籍降下は現在の皇子たちの代はしないと決められ、今後もこの例に従って行わないだろう。
表向きは皇籍にある者の減少が理由である。前皇太子は亡く、遺児である武は継承権を持っていない。現皇太子の皇子は御香宮一人で、彼の双子の弟である薫は継承権を持ってはいない。第三皇子は一応、継承第三位で彼の息子たちのも継承権を与えられている。
九條家はこれが気に入らないのではあるが、御香宮が病弱である事実が第三皇子一家を排除するわけには行かなくなったのだ。
ならば第三皇子を九條家に取り込んでしまえば良い……と動いたのだが、彼の生母は今は亡き皇后付の女官だった。表立っての嫌がらせは王女御として入内した彼女にはできなかったが、裏側での陰湿な嫌がらせは人目につかぬ方法で、皇后に決められるまで数年続いた。第三皇子の生母はそれをよく知っている。
ゆえに九條家は取り込むことがどうしてもできなかった。
この経緯を周たちは護院 行方から聞いている。しかも九條家は継承権を持たない武の暗殺を繰り返し狙い、日常生活にも数多くの規制をかけられて、どれほどこの十年余り、武と夕麿は苦しめられて来ただろう。
だからこそ彼らは蓮の能力を欲する。少なくとも武が皇家の霊感で苦しむのを緩和できる可能性があるからだ。
『蓮、僕たちがある意味で理不尽な願いをしているのはわかっている。しかし武さまのあの能力を消せないのはわかっている。皆は緩和できる方法があるのであれば、でき得ることはしたいと望んでいる……』
学生時代から側近くに仕え、現在は主治医として侍る周の本心からの言葉だった。
彼らのこういった言動は連には、武を中心に回りながら動く嵐のようだった。悪い意味ではない。確かに嵐は様々なものを破壊する力がある。だが同時に吹き払い洗い清めるという一面もある。
中には本当に破壊行為のみの人間もいるだろう。武は違う。薫と葵が残したある種の澱みのようなものが、学院全体に薄く膜をはるように存在していた。それが蓮には不快ではあったが、あまりにも薄く広範囲過ぎて手を打てずにいた。ここを訪れることで見事に、武はこれらを吹き払ってしまったのだ。
ただ特別室に残るものはいつか、訪れるであろう武本人に向けられた憎悪だ。安易に払拭できるものではなく、彼は自分に直接向けられるものには自身の性格からであろうが、対処できない様子である。
武に忠節を誓い、側近の一人として仕えるということは、自分も嵐の腕の一つになるということだ。いや……既に巻き込まれている。低気圧が周囲の空気を吸い込んで成長する様に、武は素直に周囲の影響を受け入れている。同時に周囲も武の影響を強く受けている。
目の前にいる行長がその良き見本とも言える。
そして……伴侶である夕麿はまるで双子の星が共に回転するように、一緒に中心を回っている。二人は互いを支え、互いに影響を与え合う。
だからこそ武の身体的な弱さは彼らの致命的な欠点なのだ。武に何かあれば片翼になった夕麿のバランスが破壊される。その先はこの集団がどうなってしまうのかはわからない。
暴走を止める一番の道は殉じることだろう。
「わかりました、夕麿さまのお言葉に従い、武さまにお仕えさせていただきます」
未来が視えた気がした。武を失うことは蓬莱皇国そのものへの損失だ。たとえ彼が高御座に就くことがなくとも、皇祖である月三貴神が選ばれた方であるのは確信できる。謂わば武は現代の皇国の『現人神』ともいえる。そもそも神であるのだから、穢れそのものが身に付くことはなく、能力が消えることはないのではないだろうか。
『良いのですか?あなたは後悔しませんか?』
朔耶の穏やかな声が聞こえた。
「はい。私はこのために先祖返りとも言える能力をいただいて生まれたのだと思います」
迷いはなかった。彼らのとの会話の中で天が道を示されたように感じる。
「あ、何か感じてるだろ?」
月耶が顔を覗き込むようにして言った。
「武さまが時々、同じ顔すんだよな」
彼らは蓮の能力を歓迎こそすれ、恐れたり気味悪がったりしない。むしろ居心地がいいのではないだろうか。
『僕からも礼を言う。感謝する、ありがとう。武さまと夕麿に連絡しておく』
「はい、よろしくお願いします」
『瀬田くん、相談の件は私はやはりケースバイケースであると考えます。ですからこの先はあなたの心のままに選んで良いと思います。きっと武さまもそう仰せになられるでしょう』
三日月が締め括る。
「はい、ありがとうございます」
まだ恋愛をしようとは思わないが、少し肩の荷が下りた気がした。
その有様はまるで野分が辺りをかき乱して行ったかのようだった。
しかし確実に生徒たちの意識が変化したのがわかる。葵が行っていたのは所謂『恐怖政治』だ。彼の意向に沿うことだけが要求されていて、それ以外は無視か……時と場合によっては怒りを買った。それは朔耶と三日月が去った後に更に顕著になり、怪我を理由に月耶が学院から搬送され、同級生の一部や教諭である行長がいなくなってからは更に酷く激しくなった。
元の穏やかな学院生活を懐かしみ、変貌した有様に疲れて去って行った生徒も多かった。それすらも『裏切り者』と呼び、武に与する者と葵は呼んだ。
武が三年生の内の身分の高い者を幾人か呼んで、皆がいなくなった後の高等部の状態を聞いて謝罪したのを、静麿も蓮も見て驚いた。武には何の責任もない。むしろ葵は彼に強く反発して、敵対視すらしていたという証言を聞いたばかりだったのだ。
その点を静麿が口にすると武はこう答えた。
「薫は本人がどう思おうとも、俺の弟分だからな。その伴侶である葵の所業も俺の監督責任だ」
「そうですね。同じ立場として彼に教え諭せなかった私にも責任があります」
夕麿も静かに頭を垂れて謝罪する。
二人のその姿は美しくもあった。
真の意味で『誇り高く』ある姿と意味を示された気分だった。しかも二人は自然に当たり前のように振る舞った。
「静麿、あれが武さまだ」
周が穏やかに微笑んで言った。
静麿はもう一度自分を省みてみようと考えていた。同時に行長と月耶に二人のことをもっと聞いてみたかった。蓮も同じことを考え、相談して来たので二人で動くことにした。
……蓮はずっと考えていた。羽林は『主』を得られれば一番である。いかなる職業に就こうとも『主』がある者は揺るがない。彼の特異な能力を嫌いながらも、祖父は羽林の家に生まれる意味をそう告げた。
そして『良岑 貴之』という尊敬する先輩が、武をただ一人の『主』として仕えている。今ならば彼が誇らしげに語った理由が何となく理解できた。
彼ならばこの能力を理解し受け入れてくれる。同時に自分ならば彼のあの能力を理解して、心身にかかる負担を軽減できる。それはわかっている。わかっているからこそ悩むのだ。
能力だけで彼の側近くに仕えるのは正しいことであるかを。そして……忠義とは何であるのか。
かつての貴之と蓮の違いは渇望のあるなしであろうか。あの頃の貴之は決して実るはずのない恋に疲れ果てていた。だから恋に代わるものを痛烈に欲していた。
『氷壁』と呼ばれた夕麿の心を溶かし、またたく間に友人たちの心を捉えた武にいつしか貴之も心に強く惹かれるものがあった。
武しかいないと感じたからこそ、貴之の忠節の誓いがある。
もちろん、蓮はあの当時の貴之の『想い』を知ってはいない。誓いに至った経緯も知る由もない。
ただ、紫霄を訪れた武と伴侶である夕麿の人と成りを、しっかりと実感できた。尊き方々である前に、尊敬と親しみを強く感じていた。
何かの折に都市部で垣間見た薫と葵とは真逆の存在であるとも思った。
また学院内で警護する静麿との違いも感じられた。特に夕麿は静麿と異母兄弟でありながら、こんなに似ることがあるのかと初めて会った時には驚かされた。
だが……夕麿は凄かった。伝説の生徒会長と執行部。彼が率いた第81代は今でもそう呼ばれて、教職員たちからも尊敬され、特別視され続けている。本人のあらゆる言動を経験して、誇張ではなく真実であることも納得した。
ずっと歳上で先輩である雫たち、そして武ですら時として夕麿の言葉に従う。彼の言葉や行動はあまりにも正しく、潔く美しかった。物事の本質を見つめる観察力、必要な情報を集めて瞬時に判断する能力は、彼の弛まない努力の末に存在し、決して一朝一夕で成し遂げられるものではない。
その夕麿が全身全霊で愛も忠節も捧げ尽くしているのが、伴侶であり『主』である武だ。彼の武への『想い』の強さをはっきりと感じた。
そして……武は夕麿とは逆に直観的な人間である。彼の『皇家の霊感』がさらにこの特徴を強めている感じだった。見ていてわかるのは彼は懐に受け入れた者をとても大切にしていることだった。年齢・立場・身分の関係なく、家族や友人、仲間と認めた相手を分け隔てなく扱っている。ただし、当然ではあるが伴侶である夕麿は別である。武は伴侶に対して深い愛情と共に、強い尊敬と憧憬の念も抱いている。
最初、蓮にはそれの理由がよくわからない部分もあった。そこで武の同級生であり、彼が生徒会長であった折の副会長でもあった行長に、詳しくその人と成りについて尋ねてみた。
「君は武さまに仕えるべきだと思ってはいる。けれどそれは私の考えで願いに過ぎない。君は君の意思で未来の道を選択しなさい。たとえ『否』という結論を出したとしても惜しまれはするだろうが、咎める者は誰一人いないだろう。あの方のお側に仕えるということは時として、理不尽さを感じることや……生命の危険に晒されることもある。ゆえに個々の人間が自分で選ばなければ、到底務まるものではないのだよ、あの方の側近の立場は」
はじめにこう言ってから行長は連の疑問に知っている限りの答えてくれた。同時に彼もまた強く忠義を尽くす覚悟でいる一人なのだとも理解した。
「私には『忠義』というものがよくわからないのです」
こう言うと行長は笑って答えた。
「言葉にするのは難しい。ただある人は『恋に似ている』と表現した」
「恋?」
「ある種の愛情であるのかもしれない。そしてそれは人によって姿かたちが違っているのだろう」
こう言われてますます蓮はわからなくなった。
実は蓮には恋の経験がない。『巫』としての能力は古来より『穢れ』を嫌う。性の営みは異性同性を問わず『穢れ』と考えられて来た。場合によっては恋心すら『穢れ』と言われる。それが自分の『宿命』であるとすら思って生きて来た。
たとえ生涯この学院都市に閉じ込められて、持てる能力を使う機会などなかったとしても、天より賜った能力を大切にしなくてはならないと信じていた。だから恋愛そのものを忌避し、自分から遠ざけた。武道を始めたのもどこまでも心身共に強固な『自分』をつくるのが目的だった。小等部の頃は武道の鍛錬のためだけに外に出ることを一族が許してくれた。だが中等部からはその望みも絶たれかけた。救ってくれたのが良岑父子だった。
蓮にとって謎なのは武が、伴侶を得てなおも強い能力を保持している事実だった。あの口伝による禁忌は偽りだったのであろうか。
この点も率直に行長に問いかけた。
「口伝……については私にはわからない。ただ、武さまの能力は幼少時からあられて、あまりにも弊害が多かったそうだ。それでご生母であられる小夜子さまが、暗示のようなもので封印されたとうかがっている。もちろん、素人の行ったことであるから、元々感受性のお高いあの方は周囲の悪意や善意を敏感に察知されて、ストレスで寝込まれることもあったらしい」
それはそうだろう、と蓮は思う。
「能力が再び発動を始めたのは、夕麿さまというご伴侶を得られてからだ。当時、事件があってな……81代執行部のメンバーが狙われた。しかも武さまのご身分が詳らかにされておらず、生徒たちの反感も凄まじかった……」
御園生当主夫人の連れ子が、学院一の身分が貴い生徒会長の伴侶となったのだ。それは反感や反発は当たり前だっただろう。
「ちょっと待って先生、それってイジメがあったってこと?」
黙って二人の会話に耳を傾けていた月耶が口をはさんだ。
「そうだ。正直に言うと私も不満だった」
「ええ⁉もしかして先生もイジメてたの?」
「まさか。そんなことをしたら夕麿さまに睨まれるだろう?」
「うわっ、出た。夕麿さま崇拝」
行長の夕麿への憧れと崇拝については、高等部時代に久留島 成美が散々からかいのネタにしていたので、月耶もよく知るところであった。
「うるさいです、月耶」
「はいはい、黙ります」
両手を軽く挙げて降参したとばかりに言い放つ。
蓮にとってはこの二人の関係も謎だった。行長が学院都市に復帰する条件に彼の大学部への転校許可があったのは聞いている。現在、相談役として高等部の生徒会に顔を出し、住処はこの特待生寮だ。一応は空いている部屋を使用していることになってはいるが、実際には行長の部屋にいる。
しかしこの二人、そういう関係に至ってはいない様子だ。恋愛関係ではあるとは思えるのだが。
「別に黙れとは言っていない。
で、月耶、禁忌についてはお前は何か聞いているか?」
「う~ん、多分、俺より兄さんたちの方が詳しいと思う。ただ俺も同じことを聞いてはいる」
「御影も口伝なのか?」
「うん。でも三日月兄さんがデータにして保存してると思うよ。俺たちが家を継がないならば、家がなくなる可能性もあるからさ。そういうのが消えるのはさすがに問題がある」
兄弟揃って家を出た。両親は傍流から養子を迎えるつもりらしいが、彼らは夫妻の朔耶に対する仕打ちを知っている。そんな所へ大切な子供を養子に出す者はいない。
「お前たちに能力は?」
「ないよ。強いて言うなら一番近いのは、三日月兄さんかな?」
三日月は朔耶の病気への配慮も手伝ってか、兄弟の中では一番周囲の変化にも敏感であるし、ある種のカンのようなものも働く。
「あ~直接聞いた方が良くない、先生?」
「そうだな」
「了解」
月耶はスマホを取り出してコールする。するとすぐに三日月が出た。
『はい』
「あ、三日月兄さん、ちょっと聞きたいことがあってさ……」
月耶がここでの話を兄に説明する。
「あ、みんないるからスピーカーにする」
『こちらも兄さんがいるのでスピーカーにします』
「え?あ~もしかして周先生も一緒?」
『月耶、僕がいると不都合なのか?それならば席を外すが?』
少し離れた場所に立っているのだろう。彼の声が遠めに聴こえる。
「い、いや、大丈夫」
何となく外せと言うと朔耶に怒られそうな気がする。
「周先輩は一時は武さまの大夫を務めていらしたし、何よりも主治医としても近い位置にいられる。意見を伺うのもありだろう」
代わって行長が答えた。
「でも何で朔耶兄さんや周先生も一緒?」
「長与先生も一緒ですよ」
三日月のパートナーである長与 秀一は紫霄の元教諭だ。現在は三日月の卒業時に共に学院都市を出て、現在は難関校受験専門の予備校で教えている。
「そっか。じゃあ、一緒に聞いて意見を聞かせて」
少しでも参考になるものは多い方がいい。
『ですが正解も答えもないかもしれません』
そう言ったのは秀一だった。彼は歴史の教諭だ。ここにいる誰よりも問題に近い場所にいるのかもしれない。
『正解も答えもない?』
朔耶が呟く。
『ああ、あり得るな。武さまのお能力を見て来た側としては、頷けるように感じられる」
周が同意する。
「ケースバイケース、ということでしょうか」
行長が考え込む。
『巫女は処女であるべき、という考えはおそらくは斎宮にそれを求めたからという考え方があります。もっと古い時代になりますとむしろ、能力者の婚姻は推奨されていたのではないかという仮説もあります』
秀一の言葉が響く。
「婚姻を推奨?何で?」
月耶には意味がわからない。彼の知っている『巫能力』を持った人間は男女構わず未婚というのが、伝説的な通説であると信じていたからだった。
「なるほど」
「え?先生、意味が分かるの?」
「多分……長与さん、それはつまり能力者の優秀な血統を確実に継承させるためということですね」
『そうです。その極端な例が日本の皇室や我が皇国の皇家だと考えれば、長きに亘って系統が守られて来た理由がはっきりするでしょう。諸外国はそこに重点をおかず、どちらかと言うと権力志向や宗教的なものが強かったのやもしれません』
「え~だって日本も皇国も宗教関わってるじゃん」
『両国と諸外国の違いは宗教のトップが誰か、ということですね』
得心したというように朔耶が言う。
「あ、そうか。国家元首が宗教の法皇の両国とローマ教皇というトップが別の欧州か」
『中国では禅譲という血筋が移る時に行う儀式がありました』
『天に皇統の移動を報告するわけだな』
周が言う。他の者も電話の向こう側でその言葉に同意する声がした。
『紀記や我が国の歴史書には、天皇や皇帝は主に政事を行い。后が祭祀を行うとされています。ゆえにかつては后も妃も皇統もしくは、その血を受け継いでいる傍流からしか選ばれませんでした』
皇統からの后・妃選び。これが覆されたのは日本では平城京時代の聖武天皇の皇后、藤原安宿媛こと光明皇后である。蓬莱皇国でも似たようなことがあり、現在でもその末裔が宮中で権力を振るい、ある意味では専横を行っている。
『もちろん、あくまでもこれは一つの仮説ではあります。しかし斎宮も任を解かれた後は結婚した方が多いです。ただ平安後期から江戸時代にかけて皇女は婚姻しないのが通例という暗黙の慣習が出来上がっていくのですが、これは斎宮制度とは別に発達しました。皇子も生母の身分が低い方は平安前期では臣籍降下したのですが、後期以降になると出家して法親王になる方が増えています。これは皇統の血の拡散を防いだことが考えられます』
『皮肉なことだな、現代はその皇統の血が先細り傾向にあるというのに』
周が吐き捨てるように言った。
武の祖父である現皇帝に世継ぎの皇子は三人。皇后腹の第一皇子である前の皇太子は既に薨御(皇太子に対して使う言葉)している。彼こそが武の父である。
第二皇子が現在の皇太子で、生母は弘徽殿(後宮の部屋の一つ)女御 九條 嵐子。第三皇子の生母は女官の一人で、家柄も低い。
この第二皇子が薫の父である。
実は第三皇子には男子を含めて五人の子供がいる。臣籍降下は現在の皇子たちの代はしないと決められ、今後もこの例に従って行わないだろう。
表向きは皇籍にある者の減少が理由である。前皇太子は亡く、遺児である武は継承権を持っていない。現皇太子の皇子は御香宮一人で、彼の双子の弟である薫は継承権を持ってはいない。第三皇子は一応、継承第三位で彼の息子たちのも継承権を与えられている。
九條家はこれが気に入らないのではあるが、御香宮が病弱である事実が第三皇子一家を排除するわけには行かなくなったのだ。
ならば第三皇子を九條家に取り込んでしまえば良い……と動いたのだが、彼の生母は今は亡き皇后付の女官だった。表立っての嫌がらせは王女御として入内した彼女にはできなかったが、裏側での陰湿な嫌がらせは人目につかぬ方法で、皇后に決められるまで数年続いた。第三皇子の生母はそれをよく知っている。
ゆえに九條家は取り込むことがどうしてもできなかった。
この経緯を周たちは護院 行方から聞いている。しかも九條家は継承権を持たない武の暗殺を繰り返し狙い、日常生活にも数多くの規制をかけられて、どれほどこの十年余り、武と夕麿は苦しめられて来ただろう。
だからこそ彼らは蓮の能力を欲する。少なくとも武が皇家の霊感で苦しむのを緩和できる可能性があるからだ。
『蓮、僕たちがある意味で理不尽な願いをしているのはわかっている。しかし武さまのあの能力を消せないのはわかっている。皆は緩和できる方法があるのであれば、でき得ることはしたいと望んでいる……』
学生時代から側近くに仕え、現在は主治医として侍る周の本心からの言葉だった。
彼らのこういった言動は連には、武を中心に回りながら動く嵐のようだった。悪い意味ではない。確かに嵐は様々なものを破壊する力がある。だが同時に吹き払い洗い清めるという一面もある。
中には本当に破壊行為のみの人間もいるだろう。武は違う。薫と葵が残したある種の澱みのようなものが、学院全体に薄く膜をはるように存在していた。それが蓮には不快ではあったが、あまりにも薄く広範囲過ぎて手を打てずにいた。ここを訪れることで見事に、武はこれらを吹き払ってしまったのだ。
ただ特別室に残るものはいつか、訪れるであろう武本人に向けられた憎悪だ。安易に払拭できるものではなく、彼は自分に直接向けられるものには自身の性格からであろうが、対処できない様子である。
武に忠節を誓い、側近の一人として仕えるということは、自分も嵐の腕の一つになるということだ。いや……既に巻き込まれている。低気圧が周囲の空気を吸い込んで成長する様に、武は素直に周囲の影響を受け入れている。同時に周囲も武の影響を強く受けている。
目の前にいる行長がその良き見本とも言える。
そして……伴侶である夕麿はまるで双子の星が共に回転するように、一緒に中心を回っている。二人は互いを支え、互いに影響を与え合う。
だからこそ武の身体的な弱さは彼らの致命的な欠点なのだ。武に何かあれば片翼になった夕麿のバランスが破壊される。その先はこの集団がどうなってしまうのかはわからない。
暴走を止める一番の道は殉じることだろう。
「わかりました、夕麿さまのお言葉に従い、武さまにお仕えさせていただきます」
未来が視えた気がした。武を失うことは蓬莱皇国そのものへの損失だ。たとえ彼が高御座に就くことがなくとも、皇祖である月三貴神が選ばれた方であるのは確信できる。謂わば武は現代の皇国の『現人神』ともいえる。そもそも神であるのだから、穢れそのものが身に付くことはなく、能力が消えることはないのではないだろうか。
『良いのですか?あなたは後悔しませんか?』
朔耶の穏やかな声が聞こえた。
「はい。私はこのために先祖返りとも言える能力をいただいて生まれたのだと思います」
迷いはなかった。彼らのとの会話の中で天が道を示されたように感じる。
「あ、何か感じてるだろ?」
月耶が顔を覗き込むようにして言った。
「武さまが時々、同じ顔すんだよな」
彼らは蓮の能力を歓迎こそすれ、恐れたり気味悪がったりしない。むしろ居心地がいいのではないだろうか。
『僕からも礼を言う。感謝する、ありがとう。武さまと夕麿に連絡しておく』
「はい、よろしくお願いします」
『瀬田くん、相談の件は私はやはりケースバイケースであると考えます。ですからこの先はあなたの心のままに選んで良いと思います。きっと武さまもそう仰せになられるでしょう』
三日月が締め括る。
「はい、ありがとうございます」
まだ恋愛をしようとは思わないが、少し肩の荷が下りた気がした。
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