もう演じなくて結構です

梨丸

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23 私は貴方の味方です

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 話終わると、ルーカスは自嘲を浮かべた。

 「こんなことを気にするなんて、小さな男だろう」

 そんなことない、セリーヌはそう言いたかった。
 しかし、ルーカスの瞳には見たことのないどす黒い闇が渦巻いており、息が詰まった。

 私が貴方にできることは……。


 セリーヌはルーカスをぎゅっと抱きしめた。
 小さな子を抱きしめるように優しく、包み込んだ。
 ルーカスが目を丸くする。

 「セリーヌ……?」
 「私は、貴方の味方です」

 そしてルーカスの頭を優しく、ゆっくり撫でる。

 「もう一度言います。私は貴方の味方です」

 ルーカスが顔を上げ、セリーヌを見つめた。

 「信じてもいいのか……?」

 ルーカスの痛々しい表情に、セリーヌの心がずきん、と傷んだ。

 「信じていいんですよ。なんてったって私はルーカス様のことが大好きなんですから」

 少し冗談めかして言った後、セリーヌは恥ずかしさで顔から火が出る思いだった。


 全く反応がないのでセリーヌがルーカスの方をちらりと見ると、ルーカスのトパーズのような瞳から涙がこぼれ落ちていた。

 ルーカスの泣き顔は、普段の凛々しい姿からは想像できないほど幼さを感じた。
 いつも騎士団長として気を張っていたからかもしれない。

 セリーヌがルーカスを気遣い、一旦離れようとするとルーカスが手を引っ張った。

 「……行かないでくれ」
 「えっ」

 セリーヌが硬直する。
 ルーカスはそのままセリーヌの手を自分の頬に当てた。

 「……行かないでくれ」
 「可愛っ……」

 セリーヌは興奮のあまり心の声を抑えることができなかった。
 セリーヌの脳内は意外と甘え上手なルーカスのいつもとのギャップで渦巻いていた。


 涙で目を潤ませながら甘えてくるルーカスを見て、セリーヌはこの人を精一杯甘やかそう、そう決心したのであった。
 


 



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