23 / 27
23 私は貴方の味方です
しおりを挟む
話終わると、ルーカスは自嘲を浮かべた。
「こんなことを気にするなんて、小さな男だろう」
そんなことない、セリーヌはそう言いたかった。
しかし、ルーカスの瞳には見たことのないどす黒い闇が渦巻いており、息が詰まった。
私が貴方にできることは……。
セリーヌはルーカスをぎゅっと抱きしめた。
小さな子を抱きしめるように優しく、包み込んだ。
ルーカスが目を丸くする。
「セリーヌ……?」
「私は、貴方の味方です」
そしてルーカスの頭を優しく、ゆっくり撫でる。
「もう一度言います。私は貴方の味方です」
ルーカスが顔を上げ、セリーヌを見つめた。
「信じてもいいのか……?」
ルーカスの痛々しい表情に、セリーヌの心がずきん、と傷んだ。
「信じていいんですよ。なんてったって私はルーカス様のことが大好きなんですから」
少し冗談めかして言った後、セリーヌは恥ずかしさで顔から火が出る思いだった。
全く反応がないのでセリーヌがルーカスの方をちらりと見ると、ルーカスのトパーズのような瞳から涙がこぼれ落ちていた。
ルーカスの泣き顔は、普段の凛々しい姿からは想像できないほど幼さを感じた。
いつも騎士団長として気を張っていたからかもしれない。
セリーヌがルーカスを気遣い、一旦離れようとするとルーカスが手を引っ張った。
「……行かないでくれ」
「えっ」
セリーヌが硬直する。
ルーカスはそのままセリーヌの手を自分の頬に当てた。
「……行かないでくれ」
「可愛っ……」
セリーヌは興奮のあまり心の声を抑えることができなかった。
セリーヌの脳内は意外と甘え上手なルーカスのいつもとのギャップで渦巻いていた。
涙で目を潤ませながら甘えてくるルーカスを見て、セリーヌはこの人を精一杯甘やかそう、そう決心したのであった。
「こんなことを気にするなんて、小さな男だろう」
そんなことない、セリーヌはそう言いたかった。
しかし、ルーカスの瞳には見たことのないどす黒い闇が渦巻いており、息が詰まった。
私が貴方にできることは……。
セリーヌはルーカスをぎゅっと抱きしめた。
小さな子を抱きしめるように優しく、包み込んだ。
ルーカスが目を丸くする。
「セリーヌ……?」
「私は、貴方の味方です」
そしてルーカスの頭を優しく、ゆっくり撫でる。
「もう一度言います。私は貴方の味方です」
ルーカスが顔を上げ、セリーヌを見つめた。
「信じてもいいのか……?」
ルーカスの痛々しい表情に、セリーヌの心がずきん、と傷んだ。
「信じていいんですよ。なんてったって私はルーカス様のことが大好きなんですから」
少し冗談めかして言った後、セリーヌは恥ずかしさで顔から火が出る思いだった。
全く反応がないのでセリーヌがルーカスの方をちらりと見ると、ルーカスのトパーズのような瞳から涙がこぼれ落ちていた。
ルーカスの泣き顔は、普段の凛々しい姿からは想像できないほど幼さを感じた。
いつも騎士団長として気を張っていたからかもしれない。
セリーヌがルーカスを気遣い、一旦離れようとするとルーカスが手を引っ張った。
「……行かないでくれ」
「えっ」
セリーヌが硬直する。
ルーカスはそのままセリーヌの手を自分の頬に当てた。
「……行かないでくれ」
「可愛っ……」
セリーヌは興奮のあまり心の声を抑えることができなかった。
セリーヌの脳内は意外と甘え上手なルーカスのいつもとのギャップで渦巻いていた。
涙で目を潤ませながら甘えてくるルーカスを見て、セリーヌはこの人を精一杯甘やかそう、そう決心したのであった。
620
あなたにおすすめの小説
ほんの少しの仕返し
turarin
恋愛
公爵夫人のアリーは気づいてしまった。夫のイディオンが、離婚して戻ってきた従姉妹フリンと恋をしていることを。
アリーの実家クレバー侯爵家は、王国一の商会を経営している。その財力を頼られての政略結婚であった。
アリーは皇太子マークと幼なじみであり、マークには皇太子妃にと求められていたが、クレバー侯爵家の影響力が大きくなることを恐れた国王が認めなかった。
皇太子妃教育まで終えている、優秀なアリーは、陰に日向にイディオンを支えてきたが、真実を知って、怒りに震えた。侯爵家からの離縁は難しい。
ならば、周りから、離縁を勧めてもらいましょう。日々、ちょっとずつ、仕返ししていけばいいのです。
もうすぐです。
さようなら、イディオン
たくさんのお気に入りや♥ありがとうございます。感激しています。
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?
白雲八鈴
恋愛
我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。
離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?
あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。
私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【完結】本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
◇全56話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる