嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸

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二章:貴方に報復を

純愛、なのでしょう?

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「あ゛……、あ゛あ゛……」

ロベルトはしゃがれた声を搾り出す。そんな彼をフレイアは笑い飛ばした。

「あら、マーガレット様とのはどうなさったのですか?そんな顔をしなくても、貴方にはマーガレット様がいらっしゃるでしょう?」

それはどこか、嘲りを含んだ笑みだった。顔面蒼白になり、カタカタと震えるロベルトにフレイアは続ける。

「純愛、なのでしょう?」

冷たい響きだった。
ロベルトが知らないフレイアの表情、声、姿。
全てがと違った。ロベルトの話に笑って頷く彼女はもういないし、ロベルトのために傷つく彼女ももういない。

ロベルトは愚かだった。婚約者の行動の変化にさえも気づかなかったのだから。彼はただ、適当にフレイアをあしらっていただけ。

自らの純愛劇で自らの首を絞めている、それすらも気づいていなかった彼は愚かとしか言いようがない。

「こちらをロベルト公爵令息にお渡ししますわ」

フレイアが一枚の紙を差し出す。それもまた、ロベルトに追い打ちをかけたのであった。

「フ、レイア、婚約、破棄なんて……」

ロベルトが渋るのも無理はないだろう。この婚約破棄で損害を受けるのはどう見たってロベルトの方だ。バルツァー公爵の言葉は実質勘当で、このままではフェルバウムの開拓の損害賠償を全てロベルトが背負うことになってしまう。資金援助を頼めるフレイアと婚約破棄しなければこれまでの行動全てが許されると思っているのだろうか。

全てが、手遅れだった。
縋りついても、泣いても、事実は変わらない。

「さあ、こちらにサインを」

呆然としているロベルトの掌を優しく自分の手で上から包み、サインを書かせる。少し歪んだ文字ができた。

フレイアの行動に異議を唱える者は誰一人いなかった。誰も口出しなんてできなかった。

ロベルトの愚かさに苛立ちを覚えた、というのも理由の一つだろうが、それを差し置いてもフレイアは完璧だった。柔らかな唇から吐かれる“毒”さえも美しさに変えてしまう。

「サインは頂戴したので帰らせていただきますわね」

微笑みを浮かべたフレイアの声でエーデルは我に帰った。そして礼をした。

「本日はご足労いただき有難うございました。どうぞ、お帰りください」

今度はバルツァー公爵も、イライザも、静かに礼をした。

「ご機嫌よう、バルツァー公爵家の皆様」

フレイアは微笑を浮かべながら、バルツァー公爵家を出た。


馬車に乗り込んだ後、フレイアは馬を操縦しているセレストにこう言った。

「ねえ、今から寄りたい所があるの。いいかしら?」

「へいへい」

「畏まりました、でしょう。やり直してください」

コレットとセレストが口論を始める。

最後まで違和感が拭えなかったこと。
フレイアはそれを確かめるため、二人の口論を止め、馬車を走らせた。



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