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脱獄しました3
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「もしかして、顔も変わってるのかな」
鏡が無いから、自分の容姿を確認できない。ただ、多分だけど、
「見た目はほとんど一緒だろうな。レイナの記憶にある自分の顔、私とそっくりだったし」
公爵令嬢レイナとして日々鏡に向き合ってきたお馴染みの顔は、私とよく似ていた。背中の中ほどまでの黒髪も、麗奈と同じだ。
「でも、これで希望が見えたかも」
私は、レイナから麗奈に切り替えても外れなかった、右手の腕輪を見た。
呪いの装備、魔封じの腕輪だ。
この世界は、剣と魔法が当たり前にあるファンタジー世界で、レイナはそこそこ強い魔導士の才能を持っていた。
そのレイナを閉じ込めておくために、さっき騎士に捕まったときに、外せない魔封じの呪いの装備を着けられた。
「“魔封じ”って言っているけど、正確には強制INT:0状態なのよね」
レイナのジョブである魔導士は、強力な攻撃魔法が打てる、攻撃力最高峰のアタッカーだ。でも、攻撃魔法しか使えず、小回りがきかない。ゲームでは“固定砲台”と呼ばれていたジョブだ。魔封じの腕輪をされると何もできなくなる。
魔封じの腕輪の呪いは、術者のINTというステータスをゼロにしてしまう。魔導士の攻撃力はステータス値のINT依存なので、INT:0だと、ダメージもゼロになってしまう。
ただ、MPはそのままなので、武器スキルなら使えるし、魔法自体も、ダメージがなくなるだけで発動はするのだ。
「……神聖術士の魔法は、INTとは別ステータス値のMIND依存なんだよねー」
魔導士は腕輪で無力化されたけど、この世界のルールがゲームと同じなら、私の神聖術はそのまま通る。そして、神聖術士は“解呪”が使えた。
この世界で魔法を使う感覚はレイナが持っていた。それに従って、腕輪に左手をかざして念じると、パキリと腕輪が割れて外れた。
「……よし!」
理由は分からないけど、今の私はプレイしていたゲームキャラになってるみたいだ。ゲームで使っていたスキルが使えるなら、光明が見えてきた。
「呪いの腕輪が外れたから、魔導士のレイナも動ける。“レイナ・ヴェネディクト”」
次に私は牢のカギを、レイナの攻撃魔法でこじ開けた。
ドゴッ……!!
「何事だ!???」
爆音に牢の警備兵が集まってくる。でも、問題ない。
「“睡眠誘導”」
麗奈の魔法で、集まった兵士たちはみんなスヤスヤお休みだ。
「レベル差が5以上あると、スリープが100%決まるからね」
強い人に気づかれる前に、さっさと逃げ出そう。
鏡が無いから、自分の容姿を確認できない。ただ、多分だけど、
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公爵令嬢レイナとして日々鏡に向き合ってきたお馴染みの顔は、私とよく似ていた。背中の中ほどまでの黒髪も、麗奈と同じだ。
「でも、これで希望が見えたかも」
私は、レイナから麗奈に切り替えても外れなかった、右手の腕輪を見た。
呪いの装備、魔封じの腕輪だ。
この世界は、剣と魔法が当たり前にあるファンタジー世界で、レイナはそこそこ強い魔導士の才能を持っていた。
そのレイナを閉じ込めておくために、さっき騎士に捕まったときに、外せない魔封じの呪いの装備を着けられた。
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魔封じの腕輪の呪いは、術者のINTというステータスをゼロにしてしまう。魔導士の攻撃力はステータス値のINT依存なので、INT:0だと、ダメージもゼロになってしまう。
ただ、MPはそのままなので、武器スキルなら使えるし、魔法自体も、ダメージがなくなるだけで発動はするのだ。
「……神聖術士の魔法は、INTとは別ステータス値のMIND依存なんだよねー」
魔導士は腕輪で無力化されたけど、この世界のルールがゲームと同じなら、私の神聖術はそのまま通る。そして、神聖術士は“解呪”が使えた。
この世界で魔法を使う感覚はレイナが持っていた。それに従って、腕輪に左手をかざして念じると、パキリと腕輪が割れて外れた。
「……よし!」
理由は分からないけど、今の私はプレイしていたゲームキャラになってるみたいだ。ゲームで使っていたスキルが使えるなら、光明が見えてきた。
「呪いの腕輪が外れたから、魔導士のレイナも動ける。“レイナ・ヴェネディクト”」
次に私は牢のカギを、レイナの攻撃魔法でこじ開けた。
ドゴッ……!!
「何事だ!???」
爆音に牢の警備兵が集まってくる。でも、問題ない。
「“睡眠誘導”」
麗奈の魔法で、集まった兵士たちはみんなスヤスヤお休みだ。
「レベル差が5以上あると、スリープが100%決まるからね」
強い人に気づかれる前に、さっさと逃げ出そう。
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