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冒険者になりました1
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夜明け前。
無事に平民区画にたどり着いた。
建物はすべて閉まっていたから、私は広場の噴水前で休憩して時間をつぶした。
そして、朝になって、冒険者ギルドを訪れる。
これも王道パターンだけど、この世界にもあったよ、冒険者ギルド。
ヒーラーだから、教会に行くか迷ったけど、教会って王家と繋がっているイメージがある。顔見知りと会うリスクが高まるかもしれない。
冒険者ギルドは、誰でも登録できる何でも屋だ。
モンスターが蔓延るこの世界では、モンスター駆除の需要が常にあった。
王都には王様お抱えの騎士団が存在するので、街全体の脅威になるような魔物は、国軍が討伐してくれた。
ただ、数の多い雑魚、一部の庶民が困るだけの魔物には、いちいち騎士団は出てくれない。それは民間で解決することになっていて、冒険者ギルドが作られていた。
他にも、さまざまな雑用の依頼もある。Gランクの依頼などは、子どもが小遣い稼ぎに受けていた。
受付に並んで、冒険者登録をしてもらう。
「ジョブは神聖術士ですか。珍しい。鑑定させてもらいますね」
ギルド受付に備え付けの水晶玉に手をかざす。
「スズキ・レナさん。ジョブは神聖術士。確かに。……すごいですね。どうして、ギルドに……?」
「言わないとダメですか?」
質問に質問で返すと、受付のお姉さんは首を振った。
「いいえ。この水晶で名前が分かり、二重登録も、犯罪者としての登録もありませんから、これ以上の詮索をギルドからすることはありません。失礼しました。では、ギルド登録料として、銅貨3枚を頂きます」
私は3枚の銅貨をカウンターに出した。
「では、こちらが仮のギルドカードになります」
受付嬢から1枚の紙のカードを受け取った。
「そのカードでは、下から3番目の、ランクEまでの依頼しか受けられません。神聖術士であれば、Cランクで登録可能ですが、手続きに1日かかります。明日以降に、このカードと引き換えに正式なカードをお渡しします」
おお、いきなりCランクスタートでいいんだ。ラッキー!
「ありがとうございます」
カードを持ち、ギルドの建物から外へ出た。
お金は、ゲームの手持ちが使えた。アイテムも少し。ただ、ゲームのものをすべて持ち込めてはいなかった。
地球でやっていたゲームは、持ち運べるアイテム枠が50しかなかった。
50あれば十分と思うかもしれないが、装備品もこの枠に入るので、けっこう狭い。
それと、戦闘不能になると手持ちのお金がランダムに消えてしまう仕様があった。だから、手元には少額の小遣いだけを持って、残りは消えない倉庫に貯金していた。
アイテム倉庫は街に固定で、存在するなら冒険者ギルド内にそれらしい機能があるはずだった。でも、見当たらない。倉庫に入れていたお金やアイテムは、こっちに持ってこれなかったようだ。
「この調子だと、個人用ハウスも無さそうだなぁ。ああ、ハウスに一番時間をかけてプレイしてたのに、ガッカリ」
戦闘下手くそのライトプレイヤーだった私は、プレイヤー1人1つ持てるハウスの家具とかにばかりこだわって遊んでいた。
「まあ、厳しい戦闘をあまりしないプレイスタイルだったから、所持金を手持ちにたくさん置いていたのはラッキーだったのかな」
宿屋に1年泊まり続けられるくらいの資金はあった。でも、ずっと働かなくて良いほどではない。仕事が必要だ。
無事に平民区画にたどり着いた。
建物はすべて閉まっていたから、私は広場の噴水前で休憩して時間をつぶした。
そして、朝になって、冒険者ギルドを訪れる。
これも王道パターンだけど、この世界にもあったよ、冒険者ギルド。
ヒーラーだから、教会に行くか迷ったけど、教会って王家と繋がっているイメージがある。顔見知りと会うリスクが高まるかもしれない。
冒険者ギルドは、誰でも登録できる何でも屋だ。
モンスターが蔓延るこの世界では、モンスター駆除の需要が常にあった。
王都には王様お抱えの騎士団が存在するので、街全体の脅威になるような魔物は、国軍が討伐してくれた。
ただ、数の多い雑魚、一部の庶民が困るだけの魔物には、いちいち騎士団は出てくれない。それは民間で解決することになっていて、冒険者ギルドが作られていた。
他にも、さまざまな雑用の依頼もある。Gランクの依頼などは、子どもが小遣い稼ぎに受けていた。
受付に並んで、冒険者登録をしてもらう。
「ジョブは神聖術士ですか。珍しい。鑑定させてもらいますね」
ギルド受付に備え付けの水晶玉に手をかざす。
「スズキ・レナさん。ジョブは神聖術士。確かに。……すごいですね。どうして、ギルドに……?」
「言わないとダメですか?」
質問に質問で返すと、受付のお姉さんは首を振った。
「いいえ。この水晶で名前が分かり、二重登録も、犯罪者としての登録もありませんから、これ以上の詮索をギルドからすることはありません。失礼しました。では、ギルド登録料として、銅貨3枚を頂きます」
私は3枚の銅貨をカウンターに出した。
「では、こちらが仮のギルドカードになります」
受付嬢から1枚の紙のカードを受け取った。
「そのカードでは、下から3番目の、ランクEまでの依頼しか受けられません。神聖術士であれば、Cランクで登録可能ですが、手続きに1日かかります。明日以降に、このカードと引き換えに正式なカードをお渡しします」
おお、いきなりCランクスタートでいいんだ。ラッキー!
「ありがとうございます」
カードを持ち、ギルドの建物から外へ出た。
お金は、ゲームの手持ちが使えた。アイテムも少し。ただ、ゲームのものをすべて持ち込めてはいなかった。
地球でやっていたゲームは、持ち運べるアイテム枠が50しかなかった。
50あれば十分と思うかもしれないが、装備品もこの枠に入るので、けっこう狭い。
それと、戦闘不能になると手持ちのお金がランダムに消えてしまう仕様があった。だから、手元には少額の小遣いだけを持って、残りは消えない倉庫に貯金していた。
アイテム倉庫は街に固定で、存在するなら冒険者ギルド内にそれらしい機能があるはずだった。でも、見当たらない。倉庫に入れていたお金やアイテムは、こっちに持ってこれなかったようだ。
「この調子だと、個人用ハウスも無さそうだなぁ。ああ、ハウスに一番時間をかけてプレイしてたのに、ガッカリ」
戦闘下手くそのライトプレイヤーだった私は、プレイヤー1人1つ持てるハウスの家具とかにばかりこだわって遊んでいた。
「まあ、厳しい戦闘をあまりしないプレイスタイルだったから、所持金を手持ちにたくさん置いていたのはラッキーだったのかな」
宿屋に1年泊まり続けられるくらいの資金はあった。でも、ずっと働かなくて良いほどではない。仕事が必要だ。
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