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午後の陽射しが、窓から淡く差し込んでいた。
シュヴァリエ公爵家の書斎。
ノエルとアリスは、奨学金財団の今後の運営について資料を広げ、向かい合っていた。
「この候補校については、先方の対応も前向きでした。あとは予算配分ですね」
「……なるほど。けれど、ここの地域は貴族の支援が少ない分、寄附が不安定で……」
アリスは地図を見ながら首をかしげる。その横顔を、ノエルがそっと見つめていた。
(真剣な顔も、やっぱり……かわいいな)
そんな想いを口には出さず、ノエルはさらりと声をかける。
「……地図、こちらを」
「あっ、はい……」
アリスが手を伸ばしたとき、指先がノエルの手の甲にふれて、ぴたりと止まった。
「あ……」
一瞬の静寂。
アリスが思わず見上げると、ノエルの瞳がまっすぐ、真剣にこちらを見ていた。
その距離の近さに、アリスの心臓が跳ねた。
(……近い……)
こんなふうにまじまじと見つめられたのは、初めてだった。
深い青の瞳。穏やかなのに、どこか熱を秘めたまなざし。
気づけば、呼吸が浅くなっていた。
「……すみません、わたし……!」
あわてて手を引くアリスに、ノエルはふっと微笑んだ。
「……大丈夫。僕の方こそ、驚かせましたね」
その微笑みが、また心を揺らす。
こんなふうに優しくて、穏やかで、静かに支えてくれる人だっただろうか――七年前の彼は。
(……ノエル様って、こんな人だった?)
どこか知らない人のようで、でも懐かしくて、安心できる。
不思議な感情が胸に広がっていた。
***
帰り際。ノエルはアリスを玄関先まで送ってくれた。
「……今日の議論、さすがでした。あなたがいれば、財団は必ず大きく成長します」
「……そんな、私はただ……自分にできることをと思っているだけです」
アリスがうつむくと、ノエルはそっと言った。
「……謙遜は、あなたの美徳ですね。でも、僕にはわかっています。あなたがどれだけ、誰かのために動いているのか」
その言葉に、アリスはまた胸がきゅっとなった。
(……ノエル様……)
なぜこんなに心が動くのだろう。
ただの友人だと、言い聞かせているはずなのに。
「気をつけて、お帰りください。次のレッスンも、お待ちしていますからね」
「……ええ。楽しみにしています」
言葉を交わし、扉が閉まる。
アリスは小さく息を吐いた。
(……おかしいわ。なんだか、胸がずっと落ち着かない……)
知らず知らずのうちに、ノエルを目で追っている自分に気づき、アリスはふと頬を押さえた。
気のせい。きっと、気のせい。
けれどその“気のせい”が、やけに温かく、長く残っていた。
***
ある日ーー
カップに注がれた紅茶から、ほのかな香りが立ちのぼる。
アリスはシュヴァリエ公爵家の客間の一角に腰を下ろし、膝の上にそっと手を重ねた。
応接のテーブルには、舞踏会の夜に撮られた写真が、銀の額に収められている。
(……まさか、自分があんな場所に立つなんて)
ノエルの隣で笑っている自分――それは、自分ではない誰かのように思えた。
「……写真、お気に召しませんでしたか?」
穏やかな声に、アリスは顔を上げる。
ノエルがティーポットを手にして、優しく微笑んでいた。
「あ、いえ……とても綺麗に写していただいて。なんだか、照れくさくて」
「ふふ。けれど、あの夜のあなたは、本当に誰よりも輝いていましたよ」
胸がきゅっと締めつけられたような気がした。それは、かつてクロードがくれた言葉と、どこか似ていた。
(……クロード様・・・)
そのことに気づいた瞬間、アリスの心に波紋が広がった。
(どうして、こんなに……)
自分の中から、少しずつクロードとの思い出が遠ざかっている。時間が流れていくことが、これほどまでに怖いとは知らなかった。
けれど、それと同じくらい――ノエルの隣にいる自分が自然に思えてしまったことも、また怖かった。
「……ノエル様は、どうして……こんなに優しくしてくださるんですか?」
思わず、問いかけていた。
ノエルは、しばし目を伏せて、そして答える。
「あなたを、放っておけないからです」
「……わたしを?」
「ええ。頑張っているのを知っていますから。……自分で道を切り拓こうとする人には、少しの支えが必要だと思うんです」
その声音には、かつての自分を重ねているような響きがあった。
アリスは何も言えず、ただ彼の言葉を受け止めた。
やさしい。
あたたかい。
だけど、それがただの友情だと思っていいのか、わからない。
(――だめ。私は、恋をするつもりなんて、もう……)
そう思ったはずだったのに。
クロードとの想い出を胸に、静かに過ごしていこうと決めていたのに。
最近の自分は、まるで――
(まるで、ノエル様に……)
その先を考えることが怖くて、アリスは思考を打ち切った。
「……ありがとうございます。いつも、助けてくださって……」
小さく、心からの言葉だけを残すと、ノエルが柔らかく笑った。
「……アリス嬢。次の舞踏会の予定が、もう決まりました。また、ご一緒しませんか?」
「えっ……」
「今度は、もっと多くの人にあなたを紹介したいんです。財団の後援者になってくれそうな方も、いらっしゃるはずですから」
「舞踏会、ですね」
「今度は、もう少し長く踊れそうですね。あなたのステップは、もう僕と釣り合うくらいですから」
アリスは、恥ずかしさに頬を染めつつ、小さく頷いた。
「……でしたら、また練習を……お願いしても、いいですか?」
ノエルの笑顔が、少しだけ深まった。
「もちろん。何度でも、お付き合いします。友人として――ね」
その優しい微笑みに、アリスはふと胸がざわめいた。
彼の友情は、どこまでも行き届いていて、温かくて、手厚い。気づけば、心がその優しさに甘えている自分がいた。
(……こんなふうにされて、また誰かを好きになってしまったら――)
その“誰か”の顔が、もうはっきりしてしまっていることに、アリスは気づかないふりをした。
「……それでは、よろしくお願いします」
「もちろん」
ノエルの返事はどこまでも穏やかだった。
だが、その胸の内では、すでに次の一手が静かに動き始めていた。
シュヴァリエ公爵家の書斎。
ノエルとアリスは、奨学金財団の今後の運営について資料を広げ、向かい合っていた。
「この候補校については、先方の対応も前向きでした。あとは予算配分ですね」
「……なるほど。けれど、ここの地域は貴族の支援が少ない分、寄附が不安定で……」
アリスは地図を見ながら首をかしげる。その横顔を、ノエルがそっと見つめていた。
(真剣な顔も、やっぱり……かわいいな)
そんな想いを口には出さず、ノエルはさらりと声をかける。
「……地図、こちらを」
「あっ、はい……」
アリスが手を伸ばしたとき、指先がノエルの手の甲にふれて、ぴたりと止まった。
「あ……」
一瞬の静寂。
アリスが思わず見上げると、ノエルの瞳がまっすぐ、真剣にこちらを見ていた。
その距離の近さに、アリスの心臓が跳ねた。
(……近い……)
こんなふうにまじまじと見つめられたのは、初めてだった。
深い青の瞳。穏やかなのに、どこか熱を秘めたまなざし。
気づけば、呼吸が浅くなっていた。
「……すみません、わたし……!」
あわてて手を引くアリスに、ノエルはふっと微笑んだ。
「……大丈夫。僕の方こそ、驚かせましたね」
その微笑みが、また心を揺らす。
こんなふうに優しくて、穏やかで、静かに支えてくれる人だっただろうか――七年前の彼は。
(……ノエル様って、こんな人だった?)
どこか知らない人のようで、でも懐かしくて、安心できる。
不思議な感情が胸に広がっていた。
***
帰り際。ノエルはアリスを玄関先まで送ってくれた。
「……今日の議論、さすがでした。あなたがいれば、財団は必ず大きく成長します」
「……そんな、私はただ……自分にできることをと思っているだけです」
アリスがうつむくと、ノエルはそっと言った。
「……謙遜は、あなたの美徳ですね。でも、僕にはわかっています。あなたがどれだけ、誰かのために動いているのか」
その言葉に、アリスはまた胸がきゅっとなった。
(……ノエル様……)
なぜこんなに心が動くのだろう。
ただの友人だと、言い聞かせているはずなのに。
「気をつけて、お帰りください。次のレッスンも、お待ちしていますからね」
「……ええ。楽しみにしています」
言葉を交わし、扉が閉まる。
アリスは小さく息を吐いた。
(……おかしいわ。なんだか、胸がずっと落ち着かない……)
知らず知らずのうちに、ノエルを目で追っている自分に気づき、アリスはふと頬を押さえた。
気のせい。きっと、気のせい。
けれどその“気のせい”が、やけに温かく、長く残っていた。
***
ある日ーー
カップに注がれた紅茶から、ほのかな香りが立ちのぼる。
アリスはシュヴァリエ公爵家の客間の一角に腰を下ろし、膝の上にそっと手を重ねた。
応接のテーブルには、舞踏会の夜に撮られた写真が、銀の額に収められている。
(……まさか、自分があんな場所に立つなんて)
ノエルの隣で笑っている自分――それは、自分ではない誰かのように思えた。
「……写真、お気に召しませんでしたか?」
穏やかな声に、アリスは顔を上げる。
ノエルがティーポットを手にして、優しく微笑んでいた。
「あ、いえ……とても綺麗に写していただいて。なんだか、照れくさくて」
「ふふ。けれど、あの夜のあなたは、本当に誰よりも輝いていましたよ」
胸がきゅっと締めつけられたような気がした。それは、かつてクロードがくれた言葉と、どこか似ていた。
(……クロード様・・・)
そのことに気づいた瞬間、アリスの心に波紋が広がった。
(どうして、こんなに……)
自分の中から、少しずつクロードとの思い出が遠ざかっている。時間が流れていくことが、これほどまでに怖いとは知らなかった。
けれど、それと同じくらい――ノエルの隣にいる自分が自然に思えてしまったことも、また怖かった。
「……ノエル様は、どうして……こんなに優しくしてくださるんですか?」
思わず、問いかけていた。
ノエルは、しばし目を伏せて、そして答える。
「あなたを、放っておけないからです」
「……わたしを?」
「ええ。頑張っているのを知っていますから。……自分で道を切り拓こうとする人には、少しの支えが必要だと思うんです」
その声音には、かつての自分を重ねているような響きがあった。
アリスは何も言えず、ただ彼の言葉を受け止めた。
やさしい。
あたたかい。
だけど、それがただの友情だと思っていいのか、わからない。
(――だめ。私は、恋をするつもりなんて、もう……)
そう思ったはずだったのに。
クロードとの想い出を胸に、静かに過ごしていこうと決めていたのに。
最近の自分は、まるで――
(まるで、ノエル様に……)
その先を考えることが怖くて、アリスは思考を打ち切った。
「……ありがとうございます。いつも、助けてくださって……」
小さく、心からの言葉だけを残すと、ノエルが柔らかく笑った。
「……アリス嬢。次の舞踏会の予定が、もう決まりました。また、ご一緒しませんか?」
「えっ……」
「今度は、もっと多くの人にあなたを紹介したいんです。財団の後援者になってくれそうな方も、いらっしゃるはずですから」
「舞踏会、ですね」
「今度は、もう少し長く踊れそうですね。あなたのステップは、もう僕と釣り合うくらいですから」
アリスは、恥ずかしさに頬を染めつつ、小さく頷いた。
「……でしたら、また練習を……お願いしても、いいですか?」
ノエルの笑顔が、少しだけ深まった。
「もちろん。何度でも、お付き合いします。友人として――ね」
その優しい微笑みに、アリスはふと胸がざわめいた。
彼の友情は、どこまでも行き届いていて、温かくて、手厚い。気づけば、心がその優しさに甘えている自分がいた。
(……こんなふうにされて、また誰かを好きになってしまったら――)
その“誰か”の顔が、もうはっきりしてしまっていることに、アリスは気づかないふりをした。
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「もちろん」
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