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子どもの頃(入学前)編
セレスの小話
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朝食を食べ終わったセレスは、毎日の日課でもある魔法の訓練を終え、最近凝っているお菓子作りをしていた。
前回のお茶会でマイヤが作ってきたクッキー。
悔しいけど美味しかったわ。
マイヤにできて、私にできない事なんてないわ!
でも……今出来上がったクッキー。見た目はいいけど、味はまぁまぁね。
もっともっと、美味しいクッキーを作れるようにならないと!
家庭教師の方がいらっしゃるまで、まだ時間もあるわね。
もう一度、クッキーを作ってみましょう。
そういえば“鬼ごっこ”をした日以来、何度かアリアの家にお邪魔しているけど、アリアってば、全然魔法を使える気配がないわね。
……後、2年で10歳。
10歳になったら学校が始まってしまうから、それまでに魔法が使えるようになるといいのだけれども。
なんせ魔法のレベルによってクラスが決まるから、今のままだと魔法が使えないアリアとは、確実にクラスが離れてしまうわ!!
これは友人である私が直々に魔法を教えてあげないとダメかしら?
“鬼ごっこ”といえば……エレに初めて会った時、本当に失礼な子だったわ!
どこに行っても「美しい」、「キレイ」と言われる私に向かってブスよ? 、ブス。
ブスなんて“私の辞書”には存在しない言葉だわ。
今まであんなに失礼な事を言われた事はないし、あんなに怒った事もなかったわね。
本当はエレに言い返そうと思ったけど……一瞬、よぎっちゃったのよねぇ。
《闇の魔法》が使えるって言葉を。
本当かどうか分からないけど、本当だったら……って考えてしまって、私としたことが怖くなってしまったのよね。
今にして思えば、この私が《闇の魔法》なんかに負けるはずないわ!!
あぁ!! なんであの時、怖くなってしまったのかしら。
あれは──私の人生最大の汚点ね。
そうそう、あの時エレは「アリアの友達と認めない」とも言っていたわね。
まぁ、帰る頃には「少しだけ認めてあげるよ」って……年下なのに上から目線で本当に生意気っ!!
そういえば、この前アリアの家に遊びに行った時、珍しくエレがいなかったわね。
久しぶりにエレ抜きで、アリアと2人で話ができたのは良かったわ。
会話中、私が思い切って「オーンの事が好きなの」って伝えたけど、アリアったら「あっ、やっぱりね。前から話を聞いてて、そうかなぁって思ってたよ」って……反応が薄すぎるわ!
“記憶喪失”でオーンの事を忘れているから、反応が薄かったのかしら?
オーンに好意を持っている事を、今まで誰にも話した事がなかったから、もう少し驚いてほしかったわ。
オーンはこの国の第一王子で何をしても完璧だから、まさに私にふさわしい人なのよね。
アリアにもその事を伝えたら「王子? 王子なんているんだ! 知らなかった!! 王子って事は、王もいるの?」って、なぜか王子がいる事に驚いてたし。
なんかずれているのよねぇ、あの子。不安だわ。
アリアのご両親は、記憶がなくなる前の出来事や一般常識、この国の事などをちゃんと説明しているのかしら?
心配だわ。
学校に通い始めたら頻繁に会うようになるから、私が色々と教えてあげなきゃいけないわね。
アリアって不思議なのよね。
記憶がなくなる前のアリアとは半年に1回か、少ない時には1年に1回開催される親も含めたお茶会でしか会っていなかったけど、特にこれといった特徴もなく、得意な事もなく、正直、眼中になかったというか。
……まぁ、気にも留めていなかったわね。
アリアが“記憶喪失”になってからは、今の生活に慣れるまでは……という事でお茶会を欠席してるけど……。
良くも悪くも存在感がなかったから、来なくても気にならなかったし。
アリアに初めて会いに行った日。
参加したお茶会があまりにも楽しくないお茶会だったから、誰かに不満を聞いてもらいたかったのよね。
聞いてくれそうな人を思い浮かべたら、たまたまアリアを思い出して会いに行っただけだったのよね……。
今思い返せば、会いに行ってよかったわ。
一緒にいて楽というか、気を張らなくていいのよね。
それにアリアと一緒にいると、私自身が知らなかった一面にも気付かされるというか。
そういえば、以前エレが「アリアはまだ魔法は使えないけど《言葉の魔法》が使えるから」って言ってたのを思い出したわ。
《言葉の魔法》……?
「それは何?」って聞こうとしたら、エレにはぐらかされてしまって聞けなかったけど……。
今なら何となく分かるわ。
「セレスは元々すごいのかもしれないけど、魔法も勉強も剣術も武術もぜーんぶ人の倍以上、努力してるから今があるんだね。それってよくよく考えたら、すごい事だよね! 私はセレスのそういう所、大好きだし見習いたいって思う」
そう言ったアリア。
今まで私は、何でも出来て当然という扱いしかされた事がなかった。それで妬まれた事もある。
まぁ、私くらい何でも出来てしまうと、妬まれるのはしょうがないし、『存分に妬みなさい。凡人!』位にしか思っていなかったけど……。
分かってくれる人がいるっていうのは嬉しいものね。
「セレスはいつも可愛いね」
そう言ったアリア。
その言葉はお世辞とかではなく、本心で言っているというのも伝わってくる。
今まで「美しい」、「キレイ」は言われた事があっても「可愛い」と言われたのは初めてで、最初言われた時は驚いたけど……。
今ではそれを言われるのが嬉しいって思う自分がいる事も認めなきゃいけないわね。
それにしても、何を見て可愛いって思っているのかしら?
本当に不思議だわ。
「セレスは話が長いけど面白いよ。最近はその長い話も面白くなってきたし」
そう言ったアリア。
今まで面白いなんて言われた事がなかったから、言われた時は驚いたけど……なぜか悪い気もしなかったのよね。
“話が長い”は余計だけど、ね。
それにしても、何を見て面白いって言ったのかも謎だわ。
それにいつも私が話を始めると「ププっ」てうっすら笑うのも気になるわ。
よくよく考えたら、失礼な姉弟ね!!
次に開催されるお茶会は「セレスもいるし、参加するつもりだよ」とアリアが話していたから……もしオーンが来なくても行かなきゃいけなくなったじゃない。
きっと私が行かなかったら、寂しがると思うし、もしかするとお茶会に来ない可能性もあるわね。
これは予定があったとしても、どうにかして行かなきゃいけないわ!!
あら? いつの間にかクッキーが焼けたみたい。
見た目はいいわね。
味は……人に食べさせてもいいくらいには美味しいわね。
明日アリアにクッキーを持って行ってあげましょう。
なんせ、私はアリアの親友ですからね。
前回のお茶会でマイヤが作ってきたクッキー。
悔しいけど美味しかったわ。
マイヤにできて、私にできない事なんてないわ!
でも……今出来上がったクッキー。見た目はいいけど、味はまぁまぁね。
もっともっと、美味しいクッキーを作れるようにならないと!
家庭教師の方がいらっしゃるまで、まだ時間もあるわね。
もう一度、クッキーを作ってみましょう。
そういえば“鬼ごっこ”をした日以来、何度かアリアの家にお邪魔しているけど、アリアってば、全然魔法を使える気配がないわね。
……後、2年で10歳。
10歳になったら学校が始まってしまうから、それまでに魔法が使えるようになるといいのだけれども。
なんせ魔法のレベルによってクラスが決まるから、今のままだと魔法が使えないアリアとは、確実にクラスが離れてしまうわ!!
これは友人である私が直々に魔法を教えてあげないとダメかしら?
“鬼ごっこ”といえば……エレに初めて会った時、本当に失礼な子だったわ!
どこに行っても「美しい」、「キレイ」と言われる私に向かってブスよ? 、ブス。
ブスなんて“私の辞書”には存在しない言葉だわ。
今まであんなに失礼な事を言われた事はないし、あんなに怒った事もなかったわね。
本当はエレに言い返そうと思ったけど……一瞬、よぎっちゃったのよねぇ。
《闇の魔法》が使えるって言葉を。
本当かどうか分からないけど、本当だったら……って考えてしまって、私としたことが怖くなってしまったのよね。
今にして思えば、この私が《闇の魔法》なんかに負けるはずないわ!!
あぁ!! なんであの時、怖くなってしまったのかしら。
あれは──私の人生最大の汚点ね。
そうそう、あの時エレは「アリアの友達と認めない」とも言っていたわね。
まぁ、帰る頃には「少しだけ認めてあげるよ」って……年下なのに上から目線で本当に生意気っ!!
そういえば、この前アリアの家に遊びに行った時、珍しくエレがいなかったわね。
久しぶりにエレ抜きで、アリアと2人で話ができたのは良かったわ。
会話中、私が思い切って「オーンの事が好きなの」って伝えたけど、アリアったら「あっ、やっぱりね。前から話を聞いてて、そうかなぁって思ってたよ」って……反応が薄すぎるわ!
“記憶喪失”でオーンの事を忘れているから、反応が薄かったのかしら?
オーンに好意を持っている事を、今まで誰にも話した事がなかったから、もう少し驚いてほしかったわ。
オーンはこの国の第一王子で何をしても完璧だから、まさに私にふさわしい人なのよね。
アリアにもその事を伝えたら「王子? 王子なんているんだ! 知らなかった!! 王子って事は、王もいるの?」って、なぜか王子がいる事に驚いてたし。
なんかずれているのよねぇ、あの子。不安だわ。
アリアのご両親は、記憶がなくなる前の出来事や一般常識、この国の事などをちゃんと説明しているのかしら?
心配だわ。
学校に通い始めたら頻繁に会うようになるから、私が色々と教えてあげなきゃいけないわね。
アリアって不思議なのよね。
記憶がなくなる前のアリアとは半年に1回か、少ない時には1年に1回開催される親も含めたお茶会でしか会っていなかったけど、特にこれといった特徴もなく、得意な事もなく、正直、眼中になかったというか。
……まぁ、気にも留めていなかったわね。
アリアが“記憶喪失”になってからは、今の生活に慣れるまでは……という事でお茶会を欠席してるけど……。
良くも悪くも存在感がなかったから、来なくても気にならなかったし。
アリアに初めて会いに行った日。
参加したお茶会があまりにも楽しくないお茶会だったから、誰かに不満を聞いてもらいたかったのよね。
聞いてくれそうな人を思い浮かべたら、たまたまアリアを思い出して会いに行っただけだったのよね……。
今思い返せば、会いに行ってよかったわ。
一緒にいて楽というか、気を張らなくていいのよね。
それにアリアと一緒にいると、私自身が知らなかった一面にも気付かされるというか。
そういえば、以前エレが「アリアはまだ魔法は使えないけど《言葉の魔法》が使えるから」って言ってたのを思い出したわ。
《言葉の魔法》……?
「それは何?」って聞こうとしたら、エレにはぐらかされてしまって聞けなかったけど……。
今なら何となく分かるわ。
「セレスは元々すごいのかもしれないけど、魔法も勉強も剣術も武術もぜーんぶ人の倍以上、努力してるから今があるんだね。それってよくよく考えたら、すごい事だよね! 私はセレスのそういう所、大好きだし見習いたいって思う」
そう言ったアリア。
今まで私は、何でも出来て当然という扱いしかされた事がなかった。それで妬まれた事もある。
まぁ、私くらい何でも出来てしまうと、妬まれるのはしょうがないし、『存分に妬みなさい。凡人!』位にしか思っていなかったけど……。
分かってくれる人がいるっていうのは嬉しいものね。
「セレスはいつも可愛いね」
そう言ったアリア。
その言葉はお世辞とかではなく、本心で言っているというのも伝わってくる。
今まで「美しい」、「キレイ」は言われた事があっても「可愛い」と言われたのは初めてで、最初言われた時は驚いたけど……。
今ではそれを言われるのが嬉しいって思う自分がいる事も認めなきゃいけないわね。
それにしても、何を見て可愛いって思っているのかしら?
本当に不思議だわ。
「セレスは話が長いけど面白いよ。最近はその長い話も面白くなってきたし」
そう言ったアリア。
今まで面白いなんて言われた事がなかったから、言われた時は驚いたけど……なぜか悪い気もしなかったのよね。
“話が長い”は余計だけど、ね。
それにしても、何を見て面白いって言ったのかも謎だわ。
それにいつも私が話を始めると「ププっ」てうっすら笑うのも気になるわ。
よくよく考えたら、失礼な姉弟ね!!
次に開催されるお茶会は「セレスもいるし、参加するつもりだよ」とアリアが話していたから……もしオーンが来なくても行かなきゃいけなくなったじゃない。
きっと私が行かなかったら、寂しがると思うし、もしかするとお茶会に来ない可能性もあるわね。
これは予定があったとしても、どうにかして行かなきゃいけないわ!!
あら? いつの間にかクッキーが焼けたみたい。
見た目はいいわね。
味は……人に食べさせてもいいくらいには美味しいわね。
明日アリアにクッキーを持って行ってあげましょう。
なんせ、私はアリアの親友ですからね。
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