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高等部2年生
それぞれの思惑 4/4
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※カウイ視点の話です。
カウイの分析と思惑
---------------------------------------
気がつくと、いつも自然とアリアの話題になっている。
今もそうだ。
みんなで『アリアが踊れるか』という会話で盛り上がっている。
少し考えるような素振りを見せた後、オーンが口を開いた。
「事前に説明をして、練習しておいてもらうしかないね」
「そ、そうだな。アリアならすぐに覚えるさ!」
自分に言い聞かせるようにエウロが応えている。
そもそも、アリアが踊れないという前提で、話が進んでいるのが可笑しい。
思えば、アリアと一緒にこういったパーティーに出るのは初めてだな。
みんなも同じ事を考えてそうだけど、折角なら一緒に踊りたい。
逆にアリア以外の人と踊るのは抵抗があるけど、今回ばかりはそうも言ってられない。
ダンスの時に協力を仰ぐのだから。
「……さっきのは冗談として、俺は(元別館メンバーの)誰に声を掛ければいいかな?」
俺からの質問に、ミネルが淡々と答える。
「そうだな。ネヴェサさんをエウロに。リイさんをカウイに頼もうと思っていたが……難しいんだろ?」
ミネルから話を振られたエウロが、小さく頷く。
「……ああ、ごめんな。理由は分からないが、避けられてるみたいなんだ」
エウロが少し気まずそうに顔をしかめた。
「ネヴェサさんに何か失礼な事を言ってしまったのかもしれない」
失礼な事?
エウロが人を傷つけるような事を言うとは思えない。
そう考えると、別な理由がありそうだけど。
「よって、エウロはリイさんに。カウイはネヴェサさんに変更する」
「分かったよ」
ミネルの指示に逆らう事なく返事をする。
状況的に見て、妥当な判断だろう。
「オーンは立場上、いつ動けるか分からない。僕の方は、親との交渉の場を中心に動きたい」
「了解!」
エウロが明るく声を上げる。
──後々の話だけど、エウロがネヴェサさんをダンスに誘い、俺がリイさんをダンスに誘う事になる。
ネヴェサさんが、再びエウロと仲良くなるからだ──
それにしても……俺は愛想がないから、相手を不快にせず話せるか心配ではある。
さらに、大勢の人がいる場はどうも慣れないし、得意でもない。
アリアだったら、笑顔で話せるんだけどなぁ。
他の人だと、ついつい受け身になってしまう。
でも、今回はアリアに関わる事だから、頑張れるかな?
少しでも前向きに考えていると、ふいにミネルが神妙な面持ちで語り始めた。
「ジメス上院議長はきっと、何か理由をつけてアリアとの接触を図るだろう」
ミネルが僕達を見渡し、忠告するように話を続ける。
「僕の予想では、アリアの父親が傍で対応してくれるはずだ。警戒している、というオーラは出してもいいが、その場で変な動きはするなよ」
警戒している事は示していいんだ。
きっと向こうも気がついている事だろうから、気にしなくていいのかな?
どちらかというと、アリアが初めて会ったジメス上院議長と何を話すのか興味がある。
「それと……迷っている事がある」
……珍しいな。
ミネルが結論を出す前に話すなんて滅多にない。
「先ほど計画を話していた際に頭をよぎったんだが、エレに協力してもらうかどうか迷っている」
「ああ、オーラが見えるからだね」
オーンの言葉にミネルが黙って頷いた。
そっか。
エレくんは《闇の魔法》が使える。
見ようと思えば、人の気持ちに関するオーラが見える。
温かいオーラや怯えているオーラ、嘘をついているオーラ……など、色々だ。
元別館メンバーの親達と話をする時にエレくんが一緒にいれば……という事かな。
それを迷ってるという事は……。
「やっぱり、ミネルは優しいよ」
「うるさい」
《闇の魔法》は希少である分、負担やリスクを伴う事もある。
恐らくはミネルなりに気を遣っているのだろう。
気持ちは分かるけれど、迷わなくても大丈夫という事だけは伝えておこう。
「こちらから言わなくても、きっとエレくんは自分からオーラを見ると思うよ」
エレくんは、ミネルとは違った策士だ。
自分の使える武器を惜しむ事なく使っている。
他人が自分を心酔するように仕向ける事で、アリアを守っているのだと思う。
実際、エレくんの同学年の人達は『エレ様の大切な姉』という事で、アリアを慕っているらしい。
弟だからこそ、使える技だし、エレくんだからこそ、出来た事だと思う。
今回の計画を話した時点で、自分が何をすべきかすぐに気がつくだろうな。
それにエレくんはアリアの為なら、喜んで何でもするだろう。
俺も、エレくんに負けないようパーティーでは、きっちりと自分の役目は果たさなきゃね。
……でも困ったな。
アリア以外の人と、どうも積極的に話したいという気持ちが湧いてこない。
女性が苦手だと話しているエウロだけど、そもそもコミュニケーション能力に長けている。
だから苦手と言っていても、上手に話している。
俺は女性と言うより、人と話すのが苦手だ。
……とはいえ、何かいい方法がないか考える。
そうだ。
パーティーで接する人をアリアだと思って、接すれば上手くいくかな?
うん、そうしよう。
そして自分の役目以外の時は、なるべくアリアの傍にいて一番近くで守ろう。
俺の一番は、ずっとアリアだから。
カウイの分析と思惑
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気がつくと、いつも自然とアリアの話題になっている。
今もそうだ。
みんなで『アリアが踊れるか』という会話で盛り上がっている。
少し考えるような素振りを見せた後、オーンが口を開いた。
「事前に説明をして、練習しておいてもらうしかないね」
「そ、そうだな。アリアならすぐに覚えるさ!」
自分に言い聞かせるようにエウロが応えている。
そもそも、アリアが踊れないという前提で、話が進んでいるのが可笑しい。
思えば、アリアと一緒にこういったパーティーに出るのは初めてだな。
みんなも同じ事を考えてそうだけど、折角なら一緒に踊りたい。
逆にアリア以外の人と踊るのは抵抗があるけど、今回ばかりはそうも言ってられない。
ダンスの時に協力を仰ぐのだから。
「……さっきのは冗談として、俺は(元別館メンバーの)誰に声を掛ければいいかな?」
俺からの質問に、ミネルが淡々と答える。
「そうだな。ネヴェサさんをエウロに。リイさんをカウイに頼もうと思っていたが……難しいんだろ?」
ミネルから話を振られたエウロが、小さく頷く。
「……ああ、ごめんな。理由は分からないが、避けられてるみたいなんだ」
エウロが少し気まずそうに顔をしかめた。
「ネヴェサさんに何か失礼な事を言ってしまったのかもしれない」
失礼な事?
エウロが人を傷つけるような事を言うとは思えない。
そう考えると、別な理由がありそうだけど。
「よって、エウロはリイさんに。カウイはネヴェサさんに変更する」
「分かったよ」
ミネルの指示に逆らう事なく返事をする。
状況的に見て、妥当な判断だろう。
「オーンは立場上、いつ動けるか分からない。僕の方は、親との交渉の場を中心に動きたい」
「了解!」
エウロが明るく声を上げる。
──後々の話だけど、エウロがネヴェサさんをダンスに誘い、俺がリイさんをダンスに誘う事になる。
ネヴェサさんが、再びエウロと仲良くなるからだ──
それにしても……俺は愛想がないから、相手を不快にせず話せるか心配ではある。
さらに、大勢の人がいる場はどうも慣れないし、得意でもない。
アリアだったら、笑顔で話せるんだけどなぁ。
他の人だと、ついつい受け身になってしまう。
でも、今回はアリアに関わる事だから、頑張れるかな?
少しでも前向きに考えていると、ふいにミネルが神妙な面持ちで語り始めた。
「ジメス上院議長はきっと、何か理由をつけてアリアとの接触を図るだろう」
ミネルが僕達を見渡し、忠告するように話を続ける。
「僕の予想では、アリアの父親が傍で対応してくれるはずだ。警戒している、というオーラは出してもいいが、その場で変な動きはするなよ」
警戒している事は示していいんだ。
きっと向こうも気がついている事だろうから、気にしなくていいのかな?
どちらかというと、アリアが初めて会ったジメス上院議長と何を話すのか興味がある。
「それと……迷っている事がある」
……珍しいな。
ミネルが結論を出す前に話すなんて滅多にない。
「先ほど計画を話していた際に頭をよぎったんだが、エレに協力してもらうかどうか迷っている」
「ああ、オーラが見えるからだね」
オーンの言葉にミネルが黙って頷いた。
そっか。
エレくんは《闇の魔法》が使える。
見ようと思えば、人の気持ちに関するオーラが見える。
温かいオーラや怯えているオーラ、嘘をついているオーラ……など、色々だ。
元別館メンバーの親達と話をする時にエレくんが一緒にいれば……という事かな。
それを迷ってるという事は……。
「やっぱり、ミネルは優しいよ」
「うるさい」
《闇の魔法》は希少である分、負担やリスクを伴う事もある。
恐らくはミネルなりに気を遣っているのだろう。
気持ちは分かるけれど、迷わなくても大丈夫という事だけは伝えておこう。
「こちらから言わなくても、きっとエレくんは自分からオーラを見ると思うよ」
エレくんは、ミネルとは違った策士だ。
自分の使える武器を惜しむ事なく使っている。
他人が自分を心酔するように仕向ける事で、アリアを守っているのだと思う。
実際、エレくんの同学年の人達は『エレ様の大切な姉』という事で、アリアを慕っているらしい。
弟だからこそ、使える技だし、エレくんだからこそ、出来た事だと思う。
今回の計画を話した時点で、自分が何をすべきかすぐに気がつくだろうな。
それにエレくんはアリアの為なら、喜んで何でもするだろう。
俺も、エレくんに負けないようパーティーでは、きっちりと自分の役目は果たさなきゃね。
……でも困ったな。
アリア以外の人と、どうも積極的に話したいという気持ちが湧いてこない。
女性が苦手だと話しているエウロだけど、そもそもコミュニケーション能力に長けている。
だから苦手と言っていても、上手に話している。
俺は女性と言うより、人と話すのが苦手だ。
……とはいえ、何かいい方法がないか考える。
そうだ。
パーティーで接する人をアリアだと思って、接すれば上手くいくかな?
うん、そうしよう。
そして自分の役目以外の時は、なるべくアリアの傍にいて一番近くで守ろう。
俺の一番は、ずっとアリアだから。
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