難攻不落の黒竜帝 ――Reload――

遊木晶

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逃げる者達

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 前方の機械兵器達の勢いが減り始めたのを感じる。それとと同時に、魔力感知の範囲外から2つの魔力が勢い良く衝突しているのを肌で感じる。
 本能という物だろうか、あの一帯には手出しは不要。それに、片方が皇帝なのかは不明だが。互いに皇帝クラスの戦いに水を差すのは――ルール違反だ。

 「えーと、トゥーリ…と、ガゼルだったか? ここは任せるが良いよな?」
 「えっ? この量を僕達2人で?」
 「んだよ。できねーのか?」
 「いえ、ガゼルも私もイシュルワの人間です。結託している可能性などは、考えないのですか?」

 ここまで、機械兵器を相手にしていた。が、2人のそれが演技という可能性を黒が考えていないのかとトゥーリが尋ねる。
    ガゼルも同様に頷きながらも、黒の頭にはその考えは無かった。
 驚きを隠せない2人の質問に続けて、黒もまた尋ねた。

 「――今の・・俺を敵に回すメリットがお前らには、あるのか?」

 その1言で、2人は納得してしまう。この男は、自分の強さをよく理解している。
 そして、それによって自分の希少価値も心得ている。世界で、黒の命を奪うのが目的の人物が半数いても、残りの半数は黒と戦うのが目的の人物に分かれる。
 そして、黒と戦い為に――決して殺さない人物が、皇帝だとも知っている。

 「二人共、少なからず……見てんだろ? 自分の居る場所よりも、更に上を」
 「「……まぁ」」
 「なら、ローグの後に戦ってやるよ。もちろん、俺が力を取り戻した後にな――」

 それだけ残して、黒の魔力がグランヴァーレ内部に移動する。そこで、微かな魔力反応の残る場所から微弱な生体反応が生まれる。
 2人は、気付いた。この半壊したグランヴァーレの中には、瓦礫で下敷きになった生存者が少ないながらも残っている。
 であれば、自分達の役目と言う物も自然と理解できた。

 「はぁー。仕事、押し付けられたね」
 「でも、簡単でしょ? それに、結果次第じゃ……ローグよりも先に戦えるかもしれないわ」
 「あれ? 結構、戦う気ある? ローグよりも戦う気バリバリじゃん」

 再び姿を現した機械兵器を前に、2人の瞳が光る――









 黒が、瓦礫を持ち上げる。薄い魔力の膜で防御された場所では、セラが呼吸を荒くしながらも子供や老人。逃げ遅れた人達を瓦礫から守っていた。
    その近くでは、ロルトやナドレの魔力も感じる。
 だが、グランヴァーレの上空から現れた機械兵器達の破壊行為から守る為にセラ達は魔力が限界に近かった。
 特に、セラは回復が間に合っていない状態であった。

 「セラ、ナドレ、ロルト。良くやった。ナドレは、生存者を1箇所集めておいてくれ。ロルトは、セラを頼む」
 「「……はい」」

 ナドレ、ロルトの弱々しい返事を聞いてから、黒が再びその場を離れる。
 向かう先は、ローグとクラトの横を抜けた先の道――イオと避難者達の元へ。

 「クソ……間に合ってくれよ」

 全力で走る中で、地面に残る杖のような痕跡を見て、少しばかり焦りを覚えた。
 走る道中で、グランヴァーレの魔力とは異なる魔力を弱くとも感じる。
 それは、グランヴァーレを囲む機械兵器を動かしている存在の魔力と判断出来る。
 それが、逃げるイオ達へと近付きつつあるのであった。

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