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当然の結果《Ⅰ》
しおりを挟む単身で、倭と呼ばれる島国の中へと進む。
自然豊かな土地に加え、科学技術が進んだ国――
長い道の道中。ふと、脇へと反れて行く。
その先は、崩れて倒壊した家が数軒が並ぶ光景が目に飛び込む。
人が通る事が無い為か、瓦礫の山が道を塞いでいても瓦礫の撤去作業の痕跡が見えない。
所々で木々が薙ぎ倒されており、中には燃えて黒炭になった木がある。
黒が木片に触れれば、木片は触れた箇所から簡単に崩れる。
この景色を見て、この家や瓦礫の山は既に放棄された場所と判断が出来る。
あの港も交易目的ではなく。別の目的の為に造れた場所だろうか。
異形との最前線と呼ばれる島国であれば戦う為の場所が必要となった。
それが、こういった既に放棄された場所なのかもしれない。
「以前の俺なら、気にして見てなかったかもな……」
倒壊した建物の側で、思わず朽ち果てて落ちていた人形を手に取る。
原形を留めているイスの上に人形を置いて、歩を進める。
本来ならば、この様な場所を通る必要性は無い。港から倭の中心部へそのまま行ける。
が、この廃棄された土地へと赴く。何かに吸い寄せられる様に、ゆっくりと歩を進める。
どれだけの時間が過ぎたのだろうか、日が傾いている。真っ暗闇な闇の中で――黒は、その場所を1人静かに見下ろしていた。
「ここが、全ての原因――」
暗闇の中でも、その場所は僅かに赤く色付き、未だに熱を帶びている事を表していた。
巨大な隕石でも落ちたのか、その窪みの中心部は怒りと憎みの魔力が今尚渦巻いている。
窪みであれば、大雨なので水が溜まる。しかし、その場所は水分を蒸発させる。
まるで、誰も近付けさせないように常に魔力で威嚇するかのように――
「……未来、もう少しだ。もう少しだけ、待っててくれ」
焼け焦げた地面をゆっくりと踏み締める。焼け焦げた事で、地面本来の柔らかさは何一つ残っていない。
薄皮1枚程度の厚さしかないが、表面はパリパリの海苔のように簡単に割れる。
その下に広がるのは、焼け溶けた鋼鉄を敷き詰めた広大な大地の成れの果て――
表面の脆さとは真逆に、鋼鉄の上を歩いているかのような命の欠片も感じない冷たさの地面。
踏み締める度に、あの日の光景が目に浮かぶ。
「こんな所に、居たのですか――」
黒の背後から声が聞こえる。
メガネをかけて、いかにも優等生な見た目に加えて整った顔立ちの男が黒へと声を掛ける。
月光が黒達を頭上から照らすこの場で、その者の金髪はよく映える。
すらっと伸びた手足、白を貴重とした軍服のような所属する騎士団の正装。
間違いなく。《円卓の聖騎士団》の1人――
「メリアナの使いか?」
「いや、違う――」
黒の問い掛けに、男はその行動で答える。
黒の瞬きを狙って、腰に下げていた直剣を鞘から一瞬で抜く。
僅かに遅れていれば、黒の首はそのまま落ちていた。
それほどまでに速い速度で、黒が反応する事が遅れるレベルで首を斬り落とすかの一閃を放った。
大気が切り裂かれ、紫色の稲妻が斬撃として飛来する。
その場から飛び退いて、黒が頬から流れる血を拭う。
「あの距離から、よく避けれますね。流石は、皇帝だな……」
「お前、何が目的だ……?」
男は、その問い掛けには答えない。答えの代わりにとばかりに再び剣を振るう。
先程よりも速度、範囲、魔力共に増幅された一閃は、黒の腕に深い傷を与える。
鮮血が地面を赤く染め、吹き出した大量の汗と腕から滴り落ちる鮮血の量は黒の予想を大きく上回っていた。
(直撃は、避けた。掠り傷程度ならと……油断したな。掠り傷で、この威力か――)
黒に考える隙きを与えない為、男は何度も剣を振った。その度に、地面は深く抉れる。
一閃の速度は、黒でも目視で捉えれる。しかし、一閃後にこちらへと飛来する斬撃までは避け切れない。
黒が一閃を避けたとしても、その後に迫る一閃の範囲外から飛来する斬撃は確実に黒へとダメージを与える。
「これが、聖騎士の力か?」
「そうだ、これが倭の聖騎士の持ち得る力だッ!!。倭、最高位の騎士という誇りを胸に……今尚お一人で、最後まで立ち続けている。我らが姫――《メリアナ・C・ペンドラゴン》が、配下――円卓の聖騎士団第1師団――《ルーク・メセス》の力だッ!!」
ルークが、剣を前に構える。その眼光は、殺気立っている。
獲物を狙う獣のように、黒へと刃先を向ける。
「――姫様を裏切ったお前を、殺す者の名だ。よく覚えておけ」
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