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新章 序章は終わりを告げる――【佇む『観測者』は、脚本を綴る】
復興は進む
しおりを挟む集められた黒焔騎士団の面々――
集められた内容は分かりきっていた。
「あの戦いの後に、敵として刃を向けた3人は……俺の友人だった。だが、何か理由があるんだろう……きっと、俺が思うよりもずっと複雑な何かが」
黒は淡々と言葉を続け、師団長やそれに属する騎士の前で語る。
友人達との楽しい思い出や辛い記憶、失った後のドン底の苦しみ。
太陽によって、救われて今ここに自分がいる。
「まぁ、何が言いたいって言うとだな……アイツらは俺が殺す。その為に、邪魔してくる奴らの相手を頼みたい……1年後なのか、今すぐなのか俺にはわからない。だが、戦いが続くのは確かだ。倭を守りながら、大切な家族を守る。その為に、力を貸して欲しい……」
黒の演説は終わり、直ぐに元の倭を取り戻す為の復興作業がを進められる。
その復興の先駆けの1つとして、倭全域に黒焔騎士団の団員が配置された。
様々な種族の長所を活かして、2年前の倭を取り戻す為に全員が奮闘する。
――復興作業に皆が奮闘し、少しずつかつての倭が姿を取り戻す。
そんな作業の休憩中、未来がドリンクを両手に持って誰かを探して修復工事中の建物の中をウロウロしている。
誰の目からも明らかで、きっと誰かを探しているのだろう。
各師団長がそんな未来の姿に、笑みを浮かべる。このようなひと時を待ち望んでいた。
異形のない世界で、平和に暮らす――
それが、どんなに大変で困難な道のりなのか知りもしない。ただ、異形との戦いの日々が続けば続くほど、平和な日常が愛おしい。
「みなさーん。水分補給を忘れないで下さーい」
黒焔騎士団の面々が倭の復興に勤しむ者達へ水分を渡し歩く。
クーラーボックスを肩に担いで、黒焔の女性陣は力仕事で疲労困憊な男共労う。
「お疲れ様です。水分補給と適度な休憩を忘れないで下さい――」
第十二師団長のミィーファの笑顔で、男達の肉体的な疲労が塵と消える。
天使の笑顔に癒やされ、少しでもミィーファにカッコいい所を見せようと若い男達は立ち上がり作業続ける。
「頑張りますね~。みなさん、凄い力持ちです」
ミィーファの言葉でドーピングされ、男達は馬車馬の如く2年の間に積まれた瓦礫や廃棄された家屋を撤去する。
同じ女性として、なぜか負けた気がするメンバー達が笑顔を振りまくミィーファを見る。
第二師団の夏菜、第三師団の恭子、第四師団のソラリス、第八師団のシャルル――
各師団長が女として、ミィーファには負けた。否、男達が欲望に忠実なだけだ。
「まぁ、ミィーファの方が女の子らしいわよね……もしかして私って、女として見られてない?」
「夏菜は、もっとカワイイ服着て、愛想よくすれば男はよって来るよ」
「こーら、シャルルは夏菜をバカにしない。ミィーは普段通りにしているだけよ。ただ、それにオスが発情しているだけよ」
「ミィーファって、いつか襲われない? ……ちょっと心配」
「恭子は、ミィーファの事を心配し過ぎ。それに、手を出しても、黒焔メンバーが容赦しないわよ」
ホワホワしていて、どこか危なそうなミィーファを欲望に忠実な男の魔の手が迫る。
しかし、その手がミィーファの肌に触れる事は無い。一人の男がその手を伸ばして硬直する。
鋭い殺気が、その男を縛る。黒焔メンバーで唯一の人族にして、卓越した剣術の使い手――アッシュ・レンナー。
「ねぇ、ミィーに何しようとしたの?」
「――え、」
ミィーファが気づくよりも速く。アッシュが動いて、姿を隠す。
危害を加えようとした男も共に消え、ミィーファが不思議そうな顔をしながらもドリンクを配る。
「なるほど……確かに、安全ね」
「本人は、この危険性を理解してないけれどね」
恭子、夏菜の2人がミィーファの認識は問題と理解する。
ソラリスが背中の両翼を羽ばたかせ、空へと飛び立つ。
シャルルにクーラーボックスを預けて、建物の屋上で空を見上げる人物の元へと降り立つ。
「……サボりですか?」
「まさか……って言いたいけど、似たようなものかな?」
赤い髪の毛先を揺らしながら、暁が復興が進む倭を見下ろす。
倭の首都やその近辺は、聖騎士の手によって守られた。しかし、それ以外の箇所は見るも無惨に破壊された痕が残っている。
今回の侵攻に加えて、2年もの異形からの攻撃をここまで耐え抜いた。
本来ならば、この場所は人々の活気が満ちた場所で、少し大通りを反れれば住宅街となる。
しかし、今は瓦礫の山であった。
「復興は、時間が掛かる……」
「そうですね……ですが、いつの日か再びあの景色は蘇ります。必ず――」
「ソラリスちゃんなら、そう言うと思ってたよ。それで、他国の動きは?」
「……数は、少なくとも3つと思われます。倭を目標に向かって来ております」
「そうだよね。そりゃ、来るよね――」
ソラリスの報告を受けて、暁は海の方を睨む。まだ姿は見えない。
だが、確かに魔力は感じる。とてつもなくデカイ上に強力な魔力が、少なくとも3名分こちらへと真っ直ぐ向かっていた。
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