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ちさの章ーわたしの家族を紹介しますー
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しおりを挟むわたしの暮らす町は、おだやかでのんびりとしています。
都会の人から見ると田舎かもしれませんが、学校はあるし、小さいけどショッピングモールもあるし、図書館も、公園だってあります。
緑も豊かで川の水もきれい。そんな静かな、とても良い所です。
あ、申し遅れました。わたしは境木ちさと言います。この町にある水鏡小学校の四年生です。9歳です。
口下手ですが、言葉は年齢の割に知ってる方だと思います。趣味は読書で、図書委員でもあります。
今は学校を出て、とぼとぼ下校中です。お友達はそれなりにいますが、同じ帰り道ではないので一人ぼっちです。
「おや、ちさちゃん。お帰り」
通学路にある商店の前を通ると、そこのご主人がわたしに気づいて声を掛けてくれます。わたしは時々、ここのお店で駄菓子を買うおとくいさんです。
わたしは笑ったつもりですが、実を言うと表情筋はぴくりとも動いていません。いつもこうです。
「……ただいま」
「相変わらず照れ屋さんだねぇ」
我ながら無表情の上に無愛想で可愛くもクソもない子供だと思いますが、大人の人たちは恥ずかしがり屋だと勝手に勘違いしてくれます。
境木家の評判にも関わるので、勘違いさせたままでいようと思います。ご近所付き合い、だいじ。
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