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ちさの章ーわたしの家族を紹介しますー
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「……お待ちなさい二人とも」
靴を脱いで家に上がり、カイお兄ちゃんの目の前を洗面所に向かう(手を洗うためです)わたしたちが通り過ぎた時です。カイお兄ちゃんが静かに呼び止めました。あれ? 心なしか声音が変わったような……。
そうして、急に気温が下がったみたいに寒気がしました。空気がはりつめます。
これはもしや。やばいやつ……?
「今、あなた達からイチゴの甘い匂いがしました……何故ですか?」
ゴゴゴゴ、という見えない効果音をバックに、カイお兄ちゃんはゆっくりとわたしたちに顔を向けます。その表情は笑顔ですが、さながら般若のよう。怖くてチビりそうです。
「『給食だより』によると貴方達の今日の給食メニューはカレーとサラダにヨーグルト……イチゴの要素は全くありません……というか食後に歯磨きをするのでそもそも匂いなどしないはず……」
カイお兄ちゃんはブツブツ呪文のごとく呟き推理をします。こえぇ。
そう、カイお兄ちゃんは怒るとめっちゃ恐ろしいのです。
横をチラ見すると社の姿はありません。あいつ逃げやがった……。
「ということはあなた達は買い食いをしたということッ…! 買い食いは禁止だとあれほど」
「帰り道にそこの駄菓子屋さんで貰いました」
「あ、そうだったんですか。お礼をしないといけませんね」
わたしは早口で捲し立てると90度に腰を曲げ、キャンディの残骸(袋)をカイお兄ちゃんに差し出します。誤解は早く解くに限ります。
カイお兄ちゃんはあっさり般若モードから聖母モードに戻ってくれました。あのままだったら数時間は説教タイムだったでしょう。
良かった……本当に良かった……。
靴を脱いで家に上がり、カイお兄ちゃんの目の前を洗面所に向かう(手を洗うためです)わたしたちが通り過ぎた時です。カイお兄ちゃんが静かに呼び止めました。あれ? 心なしか声音が変わったような……。
そうして、急に気温が下がったみたいに寒気がしました。空気がはりつめます。
これはもしや。やばいやつ……?
「今、あなた達からイチゴの甘い匂いがしました……何故ですか?」
ゴゴゴゴ、という見えない効果音をバックに、カイお兄ちゃんはゆっくりとわたしたちに顔を向けます。その表情は笑顔ですが、さながら般若のよう。怖くてチビりそうです。
「『給食だより』によると貴方達の今日の給食メニューはカレーとサラダにヨーグルト……イチゴの要素は全くありません……というか食後に歯磨きをするのでそもそも匂いなどしないはず……」
カイお兄ちゃんはブツブツ呪文のごとく呟き推理をします。こえぇ。
そう、カイお兄ちゃんは怒るとめっちゃ恐ろしいのです。
横をチラ見すると社の姿はありません。あいつ逃げやがった……。
「ということはあなた達は買い食いをしたということッ…! 買い食いは禁止だとあれほど」
「帰り道にそこの駄菓子屋さんで貰いました」
「あ、そうだったんですか。お礼をしないといけませんね」
わたしは早口で捲し立てると90度に腰を曲げ、キャンディの残骸(袋)をカイお兄ちゃんに差し出します。誤解は早く解くに限ります。
カイお兄ちゃんはあっさり般若モードから聖母モードに戻ってくれました。あのままだったら数時間は説教タイムだったでしょう。
良かった……本当に良かった……。
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