stray Crow

ちさの章ーわたしの家族を紹介しますー

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　近くの物置から箱ティッシュを持ってくると、慶弥お兄ちゃんは床に付いた鼻血を綺麗に拭き取ります。カイお兄ちゃんが毎日家を丁寧に掃除してくれているので、汚れはすぐに分かってしまいます。証拠いんめつです。
　慶弥お兄ちゃんは、鼻にもティッシュを詰めるとパンッとわたしに向かって拝んできました。

「ちさ！　俺が練習中に鼻血出したことは侑兄ゆうにいには秘密な？　『やりすぎだ』って怒られるからさ」

　今日はよくお願いされる日です。わたしは「うん」と了承しました。慶弥お兄ちゃんはまたも「ありがとォ！」と頬擦りしてきます。
　慶弥お兄ちゃんは、わたしや社とスキンシップを取るのが好きです。社は全力で嫌がりますが。わたしも正直ちょっとウザいなと思う時もあるけれど、基本おとなしくしています。やっぱりわたしは兄思いですね。


　宿題をして、社と交代でお風呂に入ります。早い入浴ですが、お兄ちゃん達も入るので致し方ありません。
　髪を乾かして居間に行くと、良い匂いが漂っています。この匂いは唐揚げです。
　わたしはテンションが上がって(表面上は何ら変わりませんが)お皿やお箸を並べます。唐揚げも好物です。

　社と慶弥お兄ちゃんも居間にやってきて皆で手伝うと、食事の支度は存外早く済みました。カイお兄ちゃんは嬉しそうにパン、と手を叩きます。

「さあ、あとは侑兄さんのお帰りを待つだけですね。ちさ、玄関の灯りを点けてきてくれませんか？　そろそろだと思いますから」