stray Crow

慧サト

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ちさの章ーわたしの家族を紹介しますー

15

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 ふう、と侑お兄ちゃんは背もたれに寄りかかりました。「お前達にもしもの事があったら……」と目を伏せます。

「俺は……お前達のご両親に顔向けできない」





 ――わたしたちは――


 わたしたち兄妹は、実は皆それぞれ親が違います。
 血は、誰も繋がっていません。わたしと社は、奇跡的(?)に生年月日が同じなだけです。


 わたしたちの親は、互いに親友同士でした。そして大変な旅行好きでした。
 わたしと社が産まれた年も、親たちだけで海外旅行に行き――飛行機事故に遭って亡くなったそうです。

 当時未成年だった侑お兄ちゃんを始め遺されたわたしたちは、遠縁の親戚である竹淵おじさんに引き取られました。そして、わたしにはよく分かりませんが――侑お兄ちゃんが、わたしたちの親代わりになりました。


 でも、正直わたしは。


「ちさ……?」


 わたしは立ち上がると、テーブルを迂回して侑お兄ちゃんの傍に行きます。そして無言で彼に抱き付きました。ぎゅうっと力をこめて、抱きしめました。


 わたしにとって侑お兄ちゃんは、親代わりなどではありません。
 もはや、親なのです。冷たいかもしれませんが、顔も知らない両親は想像の中にしかいません。


 わたしは侑お兄ちゃんが大好きです。
 カイお兄ちゃんも慶弥お兄ちゃんも社も、みんなみんな大好きです。血は繋がってなくても、かけがえのない大切な家族です。


 だから侑お兄ちゃんには、そんな風に自分を追い込まないで欲しいのです。
 ……悲しそうな、寂しそうな顔をしないで欲しいのです。
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