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慶弥の章ー脇役でも全力の男ー
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よほど酷い顔をしてるんだろう、私服の侑兄は俺を見ると驚いたように瞠目した。
ああ、もう開店時間なのか。やべぇな、早く戻んねーと。そうは思うが体が動かない。クソが。
侑兄は眉間にシワを寄せると、「カイ」と後ろを向いた。
俺も何となくそっちに視線を移すと、俺達から少し離れた所にカイ兄・社・ちさが立っている。三人も驚いたように俺を凝視していた。真ん中に立つカイ兄に、侑兄は命じる。
「社とちさを連れて中に入ってろ」
「でも、侑兄さん……慶弥、具合悪いのでは」
「大丈夫だ、俺がついてるから」
「……わかりました……」
ぴしゃりとした侑兄の物言いに負け、カイ兄は社とちさを連れてショッピングモールの入り口に向かう。ちらちらコッチを心配そうに振り返りながら。マジごめんなカイ兄。
社とちさも空気を読んでこういう時に騒ぎ立てたりしないから、余計に情けなさが募る。はは、と乾いた笑いが俺の口から飛び出た。
「カッコ悪ぃな俺……こんなとこ見せて……」
「そんなの気にすんな。火か?」
侑兄の端的な問いに、俺は微かに頷く。
俺が火恐怖症なのは家族全員知っている事だ。テレビの火事の映像でもダメだから。はあ、と俺は溜め息をつく。
ああ、もう開店時間なのか。やべぇな、早く戻んねーと。そうは思うが体が動かない。クソが。
侑兄は眉間にシワを寄せると、「カイ」と後ろを向いた。
俺も何となくそっちに視線を移すと、俺達から少し離れた所にカイ兄・社・ちさが立っている。三人も驚いたように俺を凝視していた。真ん中に立つカイ兄に、侑兄は命じる。
「社とちさを連れて中に入ってろ」
「でも、侑兄さん……慶弥、具合悪いのでは」
「大丈夫だ、俺がついてるから」
「……わかりました……」
ぴしゃりとした侑兄の物言いに負け、カイ兄は社とちさを連れてショッピングモールの入り口に向かう。ちらちらコッチを心配そうに振り返りながら。マジごめんなカイ兄。
社とちさも空気を読んでこういう時に騒ぎ立てたりしないから、余計に情けなさが募る。はは、と乾いた笑いが俺の口から飛び出た。
「カッコ悪ぃな俺……こんなとこ見せて……」
「そんなの気にすんな。火か?」
侑兄の端的な問いに、俺は微かに頷く。
俺が火恐怖症なのは家族全員知っている事だ。テレビの火事の映像でもダメだから。はあ、と俺は溜め息をつく。
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